山下 |
よくよく考えてみると、
ドラムセットってへんなもので、
あんな楽器ができたっていうことが
不思議なんですけどね。
両手両足で叩くという……
実に異様なものです。
あんな乱暴な楽器はないんだから。
クラシックのオーケストラなら、
太鼓はひとり、
スネアはひとり、
シンバルはひとり。
それを、ぜんぶやるんだもんね。
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タモリ |
初期のドラムは、
スネアとバスドラとシンバルが
1個ずつぐらいあって。
それで行進していましたからね。
それがだんだん……
ハイハットって誰が発明したんだろう?
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糸井 |
ハイハットって、
「空いてるからこれを使え」
というか、
「ついで」っぽくておもしろいですよね。
そう言えば、ドラムって、
あんなにたくさん叩く必要ないですよね?
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タモリ |
(山下さんに)
糸井さんに不評みたいですよ、ドラム(笑)。
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糸井 |
まぁ、ドラムソロも、
「俺の話を聞いてくれ」
だと先に知っていると、
聞く気にはなりますね。
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山下 |
同じ曲をやっても
人間によって違うというのは
落語と似ているし、ジャズにも、
師匠どおりにやっている
アドリブだって、もちろんあるわけよ。
聞いていれば
「こいつは
こういう勉強をして
こうなったんだな」
とか、すべてお里が知れるもんね。
「こういう背景があるんだろうけど、
こいつはこいつ本人の言葉を持っているなぁ」
というのは、ぼくはいいなぁと思います。
そういうのがキライな人もいて、
「自分」なんておもしろくないんだから、
ちゃんとチャーリー・パーカーの
マネをしなさいと言う人もいるわけで。
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タモリ |
「すごくきれいにしゃべっているけど、
おまえの話はまったく聞きたくない」
というようなしゃべりの人も、中にはいるね。
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糸井 |
(笑)
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タモリ |
アナウンサーが延々と
「すみませんが、
ちょっと聞いていただけますか?」
かなんか、話しはじめるんだけど、
ぜんぜん聞きたくないという……。
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山下 |
いる、いる。
そういうジャズの実況放送は、
一度、やってみたいと思ってた。
「ほら、はじまった、はじまった……
あ、この人、いきなり高音から出ました!」
とかいう。
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タモリ |
「やっちゃうんだよなぁ……
もったいぶるんだよなぁ!」
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山下 |
「まあ、それで
観客をキャッチできればいいけど、
逃げる人もいるでしょうね」
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タモリ |
(笑)
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(つづきます) |
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