第5回 ジャズの実況中継。

山下 よくよく考えてみると、
ドラムセットってへんなもので、
あんな楽器ができたっていうことが
不思議なんですけどね。

両手両足で叩くという……
実に異様なものです。
あんな乱暴な楽器はないんだから。

クラシックのオーケストラなら、
太鼓はひとり、
スネアはひとり、
シンバルはひとり。
それを、ぜんぶやるんだもんね。
タモリ 初期のドラムは、
スネアとバスドラとシンバルが
1個ずつぐらいあって。
それで行進していましたからね。
それがだんだん……
ハイハットって誰が発明したんだろう?
糸井 ハイハットって、
「空いてるからこれを使え」
というか、
「ついで」っぽくておもしろいですよね。

そう言えば、ドラムって、
あんなにたくさん叩く必要ないですよね?
タモリ (山下さんに)
糸井さんに不評みたいですよ、ドラム(笑)。
糸井 まぁ、ドラムソロも、
「俺の話を聞いてくれ」
だと先に知っていると、
聞く気にはなりますね。
山下 同じ曲をやっても
人間によって違うというのは
落語と似ているし、ジャズにも、
師匠どおりにやっている
アドリブだって、もちろんあるわけよ。

聞いていれば
「こいつは
 こういう勉強をして
 こうなったんだな」
とか、すべてお里が知れるもんね。

「こういう背景があるんだろうけど、
 こいつはこいつ本人の言葉を持っているなぁ」
というのは、ぼくはいいなぁと思います。

そういうのがキライな人もいて、
「自分」なんておもしろくないんだから、
ちゃんとチャーリー・パーカーの
マネをしなさいと言う人もいるわけで。
タモリ 「すごくきれいにしゃべっているけど、
 おまえの話はまったく聞きたくない」
というようなしゃべりの人も、中にはいるね。
糸井 (笑)
タモリ アナウンサーが延々と
「すみませんが、
 ちょっと聞いていただけますか?」
かなんか、話しはじめるんだけど、
ぜんぜん聞きたくないという……。
山下 いる、いる。
そういうジャズの実況放送は、
一度、やってみたいと思ってた。

「ほら、はじまった、はじまった……
 あ、この人、いきなり高音から出ました!」
とかいう。
タモリ 「やっちゃうんだよなぁ……
 もったいぶるんだよなぁ!」
山下 「まあ、それで
 観客をキャッチできればいいけど、
 逃げる人もいるでしょうね」
タモリ (笑)
 
(つづきます)



postman@1101.comまで、ぜひ感想をくださいね!
このページを友だちに知らせる。

2004-12-30-THU


戻る