さて、さて、アフリカの人たちが連れてこられたという
「奴隷制度」ですが‥‥
これは帝国主義が招いたものなんですねぇ、ええ。
で、だいたい列強諸国というものは
宗教といっしょにやってくることが多いもんです。
具体的にいいますと、キリスト教。
当時の列強は、すでに資本主義体制でございました。
資本主義というものはですね、
とくにバックボーンのない経済主義でございますから、
彼らは、自分たちの宗教である「キリスト教」と、
もうひとつ、「進化論」というものを
資本主義のバックボーンとしたわけなんですねぇ。
かならずや、いい方向に向かうのであるという、
あの「進化論」です。
資本主義の考えと、よ〜く似ておりますです。はい。
さらに、この「キリスト教」という宗教も
資本主義にとって、たいへん、都合がよかった!
なぜかといいますとですね、
キリスト教とは「増殖する宗教」だからなんでございます。
中沢新一くんなんかが、お詳しいですけれども、
「父」と「子」と「聖霊」という
三位一体という考えかたで、世界のことを見ている。
このうち「聖霊」という存在は、
「増殖する」という特徴を持っています。
まさに、この特徴こそが、資本主義と結びついてくると、
ま、ね、そんなわけである。
つまり、増殖する宗教。
われわれ、これを「インクリースド・レリジョン」と。
こう、呼んでおるわけなんです。
えー‥‥と。
こんな言葉あるんでしょうかね?
ま、ま、まぁ、細かいことはよしとしまして、
増殖する宗教。レリジョンです。
ここで、レリジョンを「レ」と「リジョン」に
わけて考えてみますと、
これは「結び付ける」という意味が出てくる。
「リ」というのは「ふたたび」という意味ですから、
「ふたたび結びつけるもの」が宗教であると。
マックス・シラーの有名な詩に、こういうものがあります。
神は離ればなれになりたるものを
ふたたび結びつける
これ、レリジョンの語源を説明してるだけなんですが、
ベートーベンのバカが
この言葉に、感激したもんだからタイヘンでした。
ベートーベン以前はですよ、クラシックだって、
すべて「即興演奏」で成り立っておったんです。
ところが、ベートーベンが、
「オレが作曲したものは、一言一句変えてはならん!
付点4分音符もなんもかも、
ぜんぶ言ったとおりにしなさい!」などと言ってから
音楽の硬直化がはじまってしまったのです! みなさん!
‥‥いや、はや、少々寄り道をしてしまいました。
話を元に戻しますと、そんなこんなで、
ブルースという音楽が誕生したのです。
そして、1900年代に入り、そのブルースをベースに、
今日の本題である「ジャズ」が生まれてくると、
ま、こういうことなんですねぇ。
このあとは、山下洋輔さんの演奏を交えながら
みなさんがたといっしょに
ジャズの歴史について具体的に学んでいきたいと
こう、思っているわけなんですが‥‥
私からも、ひとりくらい、
有名なジャズメンを紹介させていただきましょうか。
チック・コリアというピアニストがおります。
今日は、みなさんに
「誰にでもできるチック・コリア」ってのを
最後にちょっと、お教えしましょう。
まず、思わせぶりな態度を取る。
ええ、ええ。これなんです。
ひじょーうにユッタリと、
ピアノを弾いてみてください。
そうすると‥‥。
何となく「すごいんじゃないか!?」と。
そして、もうひとつ、
「絶対に黒鍵を使わない」。これです。
えー、左手はなるだけ間隔を空けて、
右手は狭く、間にポロンポロンと単音を入れる。
あとは「思わせぶり」です。
こんどやってみてください、ええ。
ちなみにですね、あまった「黒鍵」は
どうしたらいいかと言いますと、
これ、デタラメにテンポよく弾いてみてください。
そこに、インチキな中国語をのせてみる。
そうするとこれ‥‥
「中国人の弾き語り」みたいなものが
カンタンに、できてしまうんですねぇ‥‥。
あー‥‥、そんなわけで、これでもう
ジャズのことは
だいたいわかったんじゃないかと、
わたくし、思っております。
これから、このあと、
1900年代はじめくらいからのジャズの歴史を
演奏を交えながら
振り返っていきたいと思っています。
今日はどうも‥‥ありがとうございました! |