山下 |
ピアニストをはじめ、当時のジャズメンたちは、
いかがわしい酒場で働いてたんですよ。 |
タモリ |
酒場が職場。 |
山下 |
あとは、お葬式ですね。 |
糸井 |
お葬式? |
タモリ |
お葬式。 |
山下 |
彼らのお葬式って、お墓に向かう道すがらには
悲しげな音楽を演奏するんです。 |
糸井 |
いわゆる「葬送行進曲」ですね。 |
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山下 |
無事、お墓に埋めてしまったあとは、
ようやく天国に行けたってんで、
こんどは、アップテンポの曲を
いわゆるデキシーランド・ジャズのスタイルで
やりながら帰ってくるんです。 |
糸井 |
つまりそれは、現世が苦しいから? |
タモリ |
死んで幸せだよ、あんたがた、と。 |
糸井 |
戦国時代の仏教みたいですね。 |
山下 |
「聖者の行進」という邦題で有名な
「When The Saints Go Marchin' In」
(セインツ・ゴー・マーチン・イン)は
まさに、そういう曲ですからね。
歌詞の後半は、自分もその仲間に入りたいっていう。 |
糸井 |
えっと、この曲、
「聖者が街にやってくる」ってやつですよね?
「聖者がマーチンニン(街に)やってくる」というふうに
覚えてた記憶がありますけど。 |
タモリ |
‥‥「マーチン・イン」ですけどね。 |
糸井 |
僕は「聖者がマーチンニン(街に)やってくる」のかと
思ってましたよ、小さいころから。 |
タモリ |
‥‥「マーチン・イン」ですから。原題は。 |
山下 |
つまり「マーチの中に入る」です。
聖者たちの行進に入りたいって歌。 |
糸井 |
「街にやってくる」じゃなくて‥‥?
ああ‥‥じゃあ、あれ、わざと誤訳してますね。
「マーチン・イン」と
「街に」で、しゃれてみたというか。 |
タモリ |
ああ‥‥そうだわ。 |
糸井 |
本当は「マーチに入る」で
「よかった、よかった」なんだ‥‥へぇ。 |
タモリ |
つまり、この世は苦しい、と。 |
糸井 |
それも、ジャズの先祖? |
山下 |
先祖です。 |
糸井 |
なるほど、なるほど。‥‥ええとですね、
いつのまにやら、進行台本と自分との距離が
すごく遠くなってしまってるんです‥‥が(笑)。 |
山下 |
えっとね、これからバンドを呼びます。 |
糸井 |
あ、そうでしたか!(笑) |
山下 |
はい、ニューオリンズ・ジャズからやりましょう。 |
糸井 |
山下さん、もう、手伝ってください!(笑) |
山下 |
じゃあ、私から紹介いたしましょうか。 |
糸井 |
ありがとうございます。 |
山下 |
まずはドラムスから。井川晃です! |
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糸井 |
あー、助かった(笑)。 |
山下 |
ベース、金子健! |
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山下 |
アルトサックス、米田裕也! |
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山下 |
トランペット、松島啓之! |
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山下 |
そして、これからやる曲のほとんどを
アレンジしてくれた、トロンボーン、松本治! |
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山下 |
それでは、このようなメンバーで
「葬送行進曲」から
今、話していた「When The Saints Go Marchin' In」、
さらにもう一曲、僭越ながら私のオリジナルで、
ニューオリンズにインスピレーションを得た
「Groovin' Parade」をお届けします。 |
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♪「 When The Saints Go Marchin' In」
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♪「 Groovin' Parade」
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<つづきます> |