はじめてのJAZZ2ヒストリーもたのしみなりー!ほとんどまるごと再現ツアー

#08 1900〜1920年 ジャズの誕生 聖者が街にやってくる

山下 ピアニストをはじめ、当時のジャズメンたちは、
いかがわしい酒場で働いてたんですよ。
タモリ 酒場が職場。
山下 あとは、お葬式ですね。
糸井 お葬式?
タモリ お葬式。
山下 彼らのお葬式って、お墓に向かう道すがらには
悲しげな音楽を演奏するんです。
糸井 いわゆる「葬送行進曲」ですね。
 
山下 無事、お墓に埋めてしまったあとは、
ようやく天国に行けたってんで、
こんどは、アップテンポの曲を
いわゆるデキシーランド・ジャズのスタイルで
やりながら帰ってくるんです。
糸井 つまりそれは、現世が苦しいから?
タモリ 死んで幸せだよ、あんたがた、と。
糸井 戦国時代の仏教みたいですね。
山下 「聖者の行進」という邦題で有名な
「When The Saints Go Marchin' In」
(セインツ・ゴー・マーチン・イン)は
まさに、そういう曲ですからね。
歌詞の後半は、自分もその仲間に入りたいっていう。
糸井 えっと、この曲、
「聖者が街にやってくる」ってやつですよね?
「聖者がマーチンニン(街に)やってくる」というふうに
覚えてた記憶がありますけど。
タモリ ‥‥「マーチン・イン」ですけどね。
糸井 僕は「聖者がマーチンニン(街に)やってくる」のかと
思ってましたよ、小さいころから。
タモリ ‥‥「マーチン・イン」ですから。原題は。
山下 つまり「マーチの中に入る」です。
聖者たちの行進に入りたいって歌。
糸井 「街にやってくる」じゃなくて‥‥?
ああ‥‥じゃあ、あれ、わざと誤訳してますね。
「マーチン・イン」と
「街に」で、しゃれてみたというか。
タモリ ああ‥‥そうだわ。
糸井 本当は「マーチに入る」で
「よかった、よかった」なんだ‥‥へぇ。
タモリ つまり、この世は苦しい、と。
糸井 それも、ジャズの先祖?
山下 先祖です。
糸井 なるほど、なるほど。‥‥ええとですね、
いつのまにやら、進行台本と自分との距離が
すごく遠くなってしまってるんです‥‥が(笑)。
山下 えっとね、これからバンドを呼びます。
糸井 あ、そうでしたか!(笑)
山下 はい、ニューオリンズ・ジャズからやりましょう。
糸井 山下さん、もう、手伝ってください!(笑)
山下 じゃあ、私から紹介いたしましょうか。
糸井 ありがとうございます。
山下 まずはドラムスから。井川晃です!
 
糸井 あー、助かった(笑)。
山下 ベース、金子健!
 
山下 アルトサックス、米田裕也!
 
山下 トランペット、松島啓之!
 
山下 そして、これからやる曲のほとんどを
アレンジしてくれた、トロンボーン、松本治!
 
山下 それでは、このようなメンバーで
「葬送行進曲」から
今、話していた「When The Saints Go Marchin' In」、
さらにもう一曲、僭越ながら私のオリジナルで、
ニューオリンズにインスピレーションを得た
「Groovin' Parade」をお届けします。
 
  「 When The Saints Go Marchin' In」
  「 Groovin' Parade」
<つづきます>

今日のジャズ語

ディキシーランド・ジャズ
トランペット・トロンボーン・クラリネットの
3管編成を中心に、白人たちがはじめたジャズのこと。
これにより、ジャズはアメリカ全土からヨーロッパ、
日本にまで広がった。
当時は、黒人系のニューオリンズ・ジャズに対し、
ディキシーランド・ジャズは
白人系のジャズであると、区別されていた。
ディキシーランド
ニューオリンズの別名。語源は「ニュー・オルレアン」。
オルレアンとはフランス・パリの南に位置する田舎町。
当時の10ドル紙幣には
フランス語で「DIX」と印刷されており、
そこから「ディキシーランド」とも呼ばれることとなった。
2008-03-12-WED