商人が仕掛けた真剣勝負 株式会社ジンズ 田中仁 代表取締役社長×糸井重里 商人が仕掛けた真剣勝負 株式会社ジンズ 田中仁 代表取締役社長×糸井重里
(11)次の「生活のたのしみ展」へ
糸井
ほぼ日のみんなも、
JINSのスタッフのみなさんと
喜んでつき合っているんですよ。
田中
あぁ、ありがとうございます。
糸井
会社同士がつき合う教材のひとつとして、
すごくいいなと思ったんです。
打ち合わせが終わると、
おもしろがって帰ってくるわけですよ。
田中
あっ、そうですか!
糸井
ぼくが報告を受けて一番感動した話が、
「生活のたのしみ展」の現場作りを考える時に、
会議室で急に立ち上がって寸劇を始めたっていう。
つまり、JINSのスタッフがふたりで、
「じゃあ、お前が客。俺が店員な」という感じで、
お客さんと、売り手のやり取りをはじめたそうで。
田中
そうなんですか(笑)。
糸井
お店の販売員として働いた経験がある人たちだから、
無意識で覚えていることが、
寸劇しているうちに出てくるんですよね。
それを聞いて、ほぼ日でもマネしたくなりました。
別に、マニュアルがあるわけじゃないですよね。
田中
ないです、ないです。
糸井
体が持っている知恵というか、
「こう歩いて行ったら、ここでつまづくだろうな」
という所はきれいにしておいたりするんですよね。
ほぼ日のみんなもまた、
「生活のたのしみ展」で鍛えられてるんですよ。
田中
いいですね。
糸井
ほぼ日が今、
JINSに対して1個だけ自慢できる話があって、
「生活のたのしみ展」の第2回目は5日間もあったから、
アルバイトが50人必要になったんですよ。
その50人はどこから集めようかと話して、
ダメ元で、「とにかく、ほぼ日の公募で集めよう」
とやってみたら、50人の所に300人が来たんです。
田中
はぁー、すごいですね!
これはうれしいでしょうね。
糸井
もう、それだけでうちの財産です。
書類とかで絶対に無理な人を除いても、
人事は「全員を面接しよう」と言い出すんですよ。
それでまた素敵だったのが、
本当に300人くらいと会ってみたら、
「全員がいい人だった」って言うんですよ。
田中
あ、そうなんですか。
すごいですね。
糸井
その300人の人たちは、
これからもぼくたちにとって、
ものすごく大事な人だと思うから、
バイトの数を増やそうという話になって、
最終的に125人にしたんですよね。
田中
はぁー、予定していた数の2.5倍ですね。
糸井
JINSが広告をやめて
人的サービスにお金をかけたことと
同じようなことをやっているんだと思います。
ぼくらのほうが小さいサイズだけど、
「ほぼ日」がやることに集まってくれる人たちは、
うちだけの財産だと思うんですよね。
その人たちといっしょに、
何をして遊ぼうかと考えているんです。
買い物で遊ぶってやり方もあるし、
常設のお店に来てブラブラしたり、
展覧会を観たりするっていう遊び方もある。
中には、アルバイトとして内部で働いたり、
株主として遊ぶという人もいます。
きっと「ほぼ日」の出身地が、
会社じゃないようなところがあるんで、
それが個性になったんでしょうね。
田中
「ほぼ日」のブランドを好きな人が、
いい人たちの集まりになっているんでしょうね。
糸井
なっているんですねぇ。
田中
いいですねぇ。
糸井
JINSの寸劇をやる人たちを見ていても、
どこかに歴史が人間に乗っかるんですよね。
そんなこと知ってましたか?
田中
いや、知らなかったです。
糸井
テーブルに紙を広げて、
「想定問答集を作ろうか」って言ったら、
そうは簡単に決まらないですよ。
めちゃくちゃカッコいいです。
田中
おもしろいですね。
糸井
おもしろいでしょう?
ぜひ「生活のたのしみ展」の第3回でも
何かいっしょにやりたいですね。
田中
ぜひぜひ。
糸井
第2回では、時間がない中だったので、
無茶しなくてもいいように、
オリジナルのフレームは止めましたが、
3回目、4回目と考えていった時に、
同じじゃないアイデアがいつでも欲しいですよね。
だって、老眼鏡の需要があるのは、
もうわかりきっているわけだから。
田中
そうですね。
糸井
メガネって、買い替え需要がなかったら、
もたない市場でしょう?
「生活のたのしみ展」でJINSのみなさんに
継続してお店を出してもらえるなら、
その辺に、ヒントがあると思うんですよ。
「この間買ったメガネすごくよかったので、
もっといいのが欲しいのよ」
というふうになればいいなと思います。

またお会いしましょうか。
たぶんね、この話を読んだ人は、
勇気が出ると思いますよ。
田中
そうですか?
糸井
とにかく、嘘をついていないのがよくわかった。
田中
私、すぐ全部を話しちゃうんです。
ちょっと自分でもどうなんだと思うぐらい。
糸井
そう考えると、上州の風土病かな。
田中
あはは。
どうもありがとうございました。
糸井
ありがとうございました。
うちの社内にJINSファンが増えているのがね、
素晴らしいことだと思っています。
田中
そうですか。
ありがたいですね。
(以上で、田中仁社長と糸井重里の対談はおしまいです。
2018年に開催する予定の、
第3回「生活のたのしみ展」にもご期待ください!)
2017-12-31-SUN