表紙を愛でたくなる理由はもうひとつありまして。
わたくし、
「銀河鉄道の夜」というお話が好きです。
ジョバンニとカムパネルラ、
二人の少年が銀河鉄道に乗って
ほんとうの幸いを探す…
煌びやかな銀河風景を思い浮かべては
何度もいいなぁいいなぁ、
となるお話の一つであります。
そしてそのお話が入ってる本をもちろん持っています。
私の本棚の一部をご覧下さい。
そうです。
実は私、この同じ話の本を数冊持っているのです。
持ってるというか、集めてます。
なぜ同じ本をいくつも集めているのかというと、
同じ話から違う表紙を見る事ができ、
それぞれの解釈を楽しむことができるからです。
「銀河鉄道の夜」集めのきっかけは、
地元のプラネタリウムで観た番組でした。
あまりにも素晴らしかったので、
これはきちんと原作を読まなくては!
激しい原作読書欲に駆られた私は、
いつものように放課後本屋へGO。
するとその本屋には、2種類の表紙があると知る。
しかも2種類とも好きな表紙で選び難い。
その日なかなか決めきれず。
その後もなかなか決めきれず。
後日。
別の本屋でまた別の表紙を発見。
「銀河鉄道の夜」をはじめとする文豪名作は
通常の表紙カバーの他に、
毎年夏に限定表紙カバーが登場します。
本好きの間では恒例イベントです。
(年によって作品は変わります。)
他にも映画化・生誕記念等でも限定カバー仕様になりますよ。
時期が宮沢賢治生誕80周年だったかで、
カバーが変わっていたんですね。
さらに悩んでいたうちの1つは
昨年の限定カバーだと判明しました。
これ以上悩んでいると在庫がなくなってしまいます。
数ヶ月も悩むくらいなら、
もう3冊とも買えばいいじゃないっ!
好きなものには素直になろう。
3冊とも購入する決断に至りました。
同じ本を3冊買った私を、
書店員さんは不思議そうな顔を
しながら会計してくれました。
帰宅して物語を読み終えた後、
購入した3冊の表紙をしみじみと眺めます。
表紙によって
ジョバンニとカムパネルラ容姿だったり、
十字架や列車、銀河風景の明るさやきらめき具合に、
同じ話からこんなに違うイラストになるんだな〜
なんだか感動。
服装の違いって、本編に書いてたかな?
見比べしながら、文章を注視して読み始めたり。
最初、
物語の印象は、ベタですが「きれい」でした。
でも表紙を眺めていると、
この物語を全て「きれい」の一言で済ませてしまうには惜しい
気がしました。
美しい、輝かしい、きらびやか。
新たに表紙が加えてくれた印象を受け取り、
どんどん複雑で繊細な「きれい」の解釈になっていきました。
想像の幅を、それぞれの表紙が広げてくれたように思います。
他の会社からも出版されてないかな?
もしされていたら、どんな表紙なんだろう?
探しては集め、こうしてましろ家では今
たくさんの「銀河鉄道の夜」を見る事が出来ます。
表紙が異なるのは文豪作品・メディア化したものだけではなく、
単行本から文庫本になった本も、表紙が新しくなることもあります。
もしも好きな作品の文庫本を持っていたら、
自分が持つ前の表紙や、単行本で出ていたときの表紙を
調べてみるのも、おすすめの愛で方です。
・それぞれの表紙について