今回、話を聞いた佐藤くんは高校時代からの仲で、
高校3年間、同じ野球部に入っていた。
僕も、彼も、野球は下手くそで、
ずっと補欠部員だったけれど、大きな違いが1つある。
彼は女の子からモテて、
僕は女の子と全く縁がなかったのだ。
彼は正直、客観的に見て、イケメンなわけではない。
彼のルックスの自己評価は「中の下」だ。
ただ彼はお調子者で笑顔が素晴らしい。
そんな彼とは今でも仲がいいが、
僕は人知れず劣等感を抱いてきた。
だからこそ、恋愛について彼に聞いてみたいと思ったのだ。
- 僕
- いきなり今日は呼んでごめん。
佐藤、モテるじゃん?
だからちょっと恋愛について教えてほしくてさ。 - 佐藤
- お前から「恋愛の話をしたい」って
気持ち悪いな(笑)。
いつもは、そういう話になるとダンマリじゃん。 - 僕
- ……、最近、本気で恋愛できるようになりたい
って悩んでるんだよ。
でさ、佐藤なりに女の子と上手く関係を築くうえで
一番重要なことってなんだと思う? それが聞きたくて。 - 佐藤
- うーん、積極的に本音で相手と話すことじゃない?
自分が心を開くと、相手も心開いてくれるし。
お互い心を開かないと恋愛関係なんて始まらないじゃん。 - 僕
- シンプルだなあ。
でもすごく俺が苦手なことだ……。
佐藤みたいにガツガツできないんだよ。 - 佐藤
- でもさ、俺みたいなガツガツが
お前の「素」ではないじゃん。
とにかく本音で話せばいいんだよ。
で、もし気になる子がいたら、
その「気になる」をその子に素直に伝えればいいし。 - 僕
- なるほど。自然体でいいのか……。
- 佐藤
- 逆に人って媚びを売れば売るほど、
離れていくものじゃない?
「相手はコレが好きなんだよね」って
自分が思ってもいないのに同調していくと、
相手にはバレるよ。
やっぱり本音で話すのが恋愛の基本だと思うわ。 - 僕
- うわ〜、それは耳が痛い……。本音かあ。
- 佐藤
- 俺、女の子と一緒にいるときと、
今こうしてお前といるときで
全然キャラも話すことも変わらないぜ?
変に意識しすぎるからダメになるんだよ。 - 僕
- うん。でも、やっぱり本音を伝えるって怖いし、
恥ずかしくない? それこそ告白なんて、
全然上手くできる気がしなくて……。 - 佐藤
- そりゃ告白は怖いよ。緊張するよ。
俺だってそうだよ。 - 僕
- 意外と佐藤でもそうなんだ(笑)。
- 佐藤
- うん。
受験と同じでA判定が出てる女の子に
告白するのはあんまり緊張しないけど、
C判定の好きな女の子に告白するのは
すげー緊張する。ビビる。 - 僕
- (笑)。どうやってその緊張を取るの?
- 佐藤
- 周りの情報をすごい集めちゃうね。
その好きな子の知り合いから、
相手が自分をどう思ってるのか
探りを入れてもらったり。
あとはその子のSNSをチェックしまくったり(笑)。 - 僕
- ……。
気になる子のSNSチェックは俺もしちゃう(笑)。 - 佐藤
- 普通だって。
高3のときなんて、
好きな女の子のTwitterを
しょっちゅうペロペロペロペロ下にスワイプして
「更新されねえかなあ」って思ってたわ(笑)。 - 僕
- なんかそれを聞いて、
安心してしまっている自分がいる(笑)。 - 佐藤
- でも当たり前だけど、
それでもわからないんだよね。相手の気持ちなんて。
だからやっぱり「好きだ―!」って気持ちに
我慢できなくなったら、勢いで告白する。 - 僕
- なんか「好きだ―!」って
気持ちになったことはあるけど、
俺はそこで自分に歯止めをかけちゃうんだよね。
卑屈だけど、「好き」って気持ちより
「俺なんかが何を……」って思考になっちゃう。 - 佐藤
- ええ〜、俺は逆だわ。
「これだけあの子が好きなんだ!」
っていう自分を誇りに思うというか(笑)。
ひたすら気持ちがこみ上げてくるというか。 - 僕
- そこがすごいなあ。
どうやったら俺もそんな気持ちになって
告白できるのかな……。うーん……。 - 佐藤
- ……。でもさ、俺もそんな告白、
1,2回しかしたことないよ(笑)。
なんかお前は「告白」を重要視しすぎなんだよ。
実際、大事なのは下積みだって。
上手く相手と関係を築いていけば、
「あ、あっちも俺のこと好きだな」
ってわかるときが来るから、
そうすれば自然な流れで告白して付き合えるんだよ。 - 僕
- ああ〜、そうか。
当たり前だけど、そうか。
俺は告白を神聖化しすぎなのか。 - 佐藤
- そうそう。
だからもっと自信持って、素の自分で女の子と話していけよ。
俺が女だったら、お前、
普通に魅力的だと思うんだけどなあ〜。 - 僕
- そういうお世辞はいらないよ(笑)。
俺、正直、高校時代からお前が女の子に
モテるのを見てて、ああ俺は魅力ないんだなあ
って劣等感を抱いてたんだから。 - 佐藤
- でも俺も、お前が頭いいの見て、
ずっと劣等感を持ってたよ。俺は勉強できないし。 - 僕
- ああ……、そうなの。
まあ、そこまで勉強できるわけじゃないけど。
とにかく今日はありがとう。 - 佐藤
- うん。でもお前の悩み聞いたんだから、
俺の悩みも聞いてよ。
彼女の友だちと最近いい感じになっちゃってさ。
やばくね? - 僕
- ……。