- ——
- ハナコさんにとっての
「これが最高!」っていう卵料理はなんですか? - ツレハナ
- 目玉焼きじゃないかなー、やっぱり。
ハムとか入れないで、目玉焼きだけ、1個。
もし、最後の晩餐があるとしたら、
目玉焼きごはんだな。 - ——
- 目玉焼きごはん?
卵かけごはんではなくて? - ツレハナ
- うん、目玉焼きごはん。
- ——
- そういえば、ハナコさんは、
すごく卵が好きな印象があるのに、
卵かけごはんを食べている印象はないんですよね。 - ツレハナ
- そうだね……
じつは、卵かけごはんは、優先順位が低いというか。
……だって、
すぐ食べ終わっちゃうじゃん、卵かけごはん。 - ——
- あははは! なるほど!
- ツレハナ
- 卵かけごはんは、つるっ、て終わっちゃうでしょ。
でも目玉焼きは、立体的な食べ物だ、って
いつも思ってて。 - ——
- えっ、どういうことですか?(笑)
- ツレハナ
- あのねえ、
一番自分が好きな、目玉焼きの作り方があって。
小さめのフライパンに油を多めに入れて、
中火にかけて、
ちゃんとあったまったら卵を割りいれて、弱火にします。
油が多めで、熱がガッツリ入っているフライパンだと、
たまごを割りいれた瞬間に、
まわりがシュワシュワシュワーッと、ふくらむの。 - ——
- へええええ!! そうなんですね!
- ツレハナ
- まわりがシュワシュワシュワーッとしはじめたら、
弱火にします。
それで、ぜったいフタもしないし、水も入れない。 - ——
- フタ、しないんですか!?
- ツレハナ
-
しない。
ふちがカリカリっと茶色くなっていくようなイメージで
火加減をみるの。それで、まわりから火が通って、
白身が白くなってくるでしょ。
卵の黄身が真ん中にあるから、その卵の黄身が……
えっと、これで説明するけど、
(横にあった目玉焼き箸置きを手に取る)
- ツレハナ
- ここが白身でしょ。
これはさあ、ちょっと白すぎるから、
もう少し本当は、ふちを茶色くしてほしいんだけど(笑) - ——
- 厳密なリクエストが(笑)
- ツレハナ
- 白身のふちから半分くらいまでが白くなってきたら、
卵の黄身がね……
あのね、黄身っていうのは、
平べったいようで、ちゃんと高さがあるでしょ。 - ——
- あ、盛りあがってますもんね。ありますね!
- ツレハナ
-
卵の黄身が、フライパンから1/3くらいのところまで
火が通っていて、
上の2/3は半熟の状態が、火の止めどき。この時の状態が、
まわりがカリカリで、
白身はちゃんと火が通っていて、
黄身の1/3に火が通っていて、上が半熟。
そこにお箸を入れると、
黄身はトロ~ってなるんだけど、
全部バーって流れちゃったりしないの。
- ——
- なるほどー!聞いてるだけでおいしそう。
- ツレハナ
- これが私にとっての、目玉焼きのベストの状態なのね。
これだと、場所によって、食感も、味も、全部違うの。
白身のふちのカリカリの味もあるし、
白身の中間地点のぷりぷりも楽しめる。
黄身だって、
下の1/3はちゃんと固まった食感と、
火のとおった卵の濃厚さもあるし、
黄身の一番上は、液体状の卵の味もあるし。 - ——
- なるほど……!!
たしかに、カリカリの白身と半熟の白身とか、
生の黄身と火の通った黄身とか、
ぜんぜん味が違いますもんね。 - ツレハナ
- そう!
スゴイ、食べるとこいっぱいある! みたいな(笑) - ——
- うわあ、たしかに! 考えたことなかったです。
この作りかた、すぐやってみたい……! - ツレハナ
- しかもそれをね、合わせ技で、
卵の白身を切り取って、
黄身につけて食べる、とかもできるわけですよ! - ——
- 掛け算…!
- ツレハナ
-
もう、それぞれだけでもいいのに、
さらにコイツらときたら…って思うわけですよ。
組み合わせ技で、さらにうまーい、みたいな。というわけで、目玉焼きは、卵かけごはんより、
断然、立体的なの。 - ——
- たしかに…これを聞いてしまうと、
卵かけごはんは均一ですね。 - ツレハナ
- もちろん卵かけごはんも大好きだし、
別の良さがあると思う。
最近流行ってる、白身だけ先にごはんと混ぜてから、
あとで黄身を混ぜるとかね、
卵かけごはんにも、いろいろあると思うんだけど、
立体感というか、食べごたえにおいては、
絶対に、目玉焼きはんのほうがあるかなって思うの。 - ——
- 目玉焼きには立体感がある…!!!!!
(つづく)