もくじ
第1回嗚呼、素晴らしきアイドル。 2016-11-08-Tue
第2回オタクをやめられないワケ。 2016-11-08-Tue

今年こそ卒業するはずの大学6年生。千葉県出身でとんかつが好きです。どうぞ、ご贔屓に。

アイドルの湯

担当・ゆうきすずき

頭ではダメだ・くだらないとわかっていても、心がつい求めてしまう。
そんな瞬間、みなさんにもありませんか。

ダイエット中、食べちゃダメだとはわかっているけど、つい甘いものに手が出ちゃう。
ゲームの世界だとわかっていても、ついガチャを回すために課金してしまう。
頭より先に心が強く求めてしまうもの、ぼくにとってそれは、アイドルでした。

とはいえ、アイドルとの疑似恋愛にハマる理由がイマイチわからないと、よく耳にします。
そこで、なぜ心を奪われ続けているのか、そのワケをお伝えしようと思った次第です。
担当は、アイドルオタク7年目のゆうきすずき(25)。全2回、どうぞごらんください。

第1回 嗚呼、素晴らしきアイドル。

アイドルには様々なタイプがありますが、中でもぼくは
歌って踊れる女性アイドルを好みます。
そして、家にいながら楽しむ「在宅オタ」ではなく、
積極的にライブや握手会に足を運ぶ「現場オタ」の
立場をとっています。

アイドルのライブ現場、
そこで飛び交うアイドルとオタクのコール&レスポンス。
アイドルの歌声に負けじと、ぼくらは好きなアイドルの名を
叫び、異国語のような合いの手を打ち一体感を作っていく。
これはライブ会場が大きかろうが小さかろうがほとんど
変わらない原理原則です。
実に、楽しい人には楽しい空間なんですね。

そんなライブの雰囲気が楽しくて現場に足を運んでいる
ぼくですが、本当の理由は「雰囲気が楽しい」とは
別のところにあります。
アイドルがもつ「ぼくらの好意を100%受け入れてくれる」
素晴らしさ、これを全身で体感したいからこそ、
ライブ会場に足を運ぶのです。

アイドルはいつだってぼくたちを受け入れてくれます。

ステージ上で彼女は歌う「好きって最高!恋って最高!」。
ぼくは大声で叫ぶ「超絶かわいい、○○ちゃーん!」。
彼女は笑顔で応える「ありがとー!私も大好きだよ!」。
そしてぼくは実感する「好きって…最高だ!」。

「好き!かわいい!」と好意を伝え、
それが100%受け入れられる心地よさ。
愛の応酬を幾度も繰り返す中で、とても温かく幸せな
気持ちが、胸いっぱいに広がっていくのです。

現実は、こうもうまくいきませんよね。

「好き」と伝えたものの「ごめんなさい」とフラれる
こともあれば、「かわいいね」の次には「セクハラだ」と
言われることもある。
また、校門の前で「入学したい」と叫んでも合格は
できないし、面接で「入社したいです」と伝えても
通過するとは限らない。
生きている間にこちらからの好意が受け入れられる
可能性というのは、さほど高くないように思えます。

ですがアイドルなら…アイドルならば!
こちらの好意を100%受け入れ続けてくれます
(もちろん好意だけでなく、いくばくかの
お金も一緒に献上しなければならないのですが)。

厳しいこともある現実世界のはずれで、
ぼくをやさしく受け入れ包み込んでくれるアイドル。
この心地よさは、まるで寒い日に温泉に浸かっているかの
ようで、のぼせる気配もないまま『アイドルの湯』に
浸かり続けてしまいます。

一方、そんな様子を見かねてか、一緒に温泉に
浸っていたニホンザルは呆れ顔でこうつぶやきました。

「でも結局さ、ビジネス関係でしょ?」

第2回 オタクをやめられないワケ。