もくじ
第1回嗚呼、素晴らしきアイドル。 2016-11-08-Tue
第2回オタクをやめられないワケ。 2016-11-08-Tue

今年こそ卒業するはずの大学6年生。千葉県出身でとんかつが好きです。どうぞ、ご贔屓に。

アイドルの湯

担当・ゆうきすずき

第2回 オタクをやめられないワケ。

「結局のところ、アイドルとはビジネス関係にすぎない」。
おっしゃる通り。ぐぅの音も出ません。
いくら100%受け入れてくれると言っても、お金の上に
成り立つサービス。幻想、ニセモノ、疑似恋愛です。

…と、頭ではわかっていても、心地よい『アイドルの湯』から
自分の意志で抜け出せないのもまた事実。
ほっておけば楽な方に流れてしまうのが人間の性ですよね。
とはいえ、これまで何人もの先輩たちが『アイドルの湯』を
抜け出し、オタクを卒業してきたはず。

では、なぜぼくはいつまでも抜け出せないのでしょうか。
それは、現代のアイドル事情にワケがありそうなんです。

なつかしのアイドルといえば?と聞かれたら、
みなさんはなにを思い浮かべますか。
おそらく、松田聖子や小泉今日子のような「個人名」が
頭に浮かびやすいかと思います。
では、最近のアイドルは?と聞かれたら、どうでしょうか。
AKB48やももいろクローバーZ、ざっくりとハロプロなど
「グループ名」が頭に浮かんできませんか?

ここに、現代に生きるぼくがオタクを卒業できない理由が
あるのではないかと踏んでいます。どういうことか。

以前なら、アイドルの卒業とオタクの卒業は密接に
結びついていたように思えます。
個人としてのアイドルが卒業してしまえば、
彼女のライブが開催されることはなく、
好意を伝え合うことも叶いません。
泣く泣く、アイドルオタクを卒業しなければならなかった。
つまり、『アイドルの湯』から抜け出したというよりも、
その湯が蒸発し、なくなってしまったということですね。

対して今は、アイドルの卒業とオタクの卒業は
必ずしも一致しません。
ぼくはAKB48が好きで、前田敦子さん推しでしたが、
彼女は卒業してしまった。でも、グループは存続します。
その後もライブは開催され、あっちゃんの持ち歌を引き継ぐ
別のアイドルを通して間接的ではあるけれど、
好意を受け入れてもらうことができます。
そして、ふと出会うのです。その子に夢中な自分に…

つまり、現代版『アイドルの湯』は尽きることがなく、
それどころかスパ・リゾートのようにあらかじめ
いくつもの湯が用意されています。
ある日突然『アイドルの湯』が蒸発してしまっても、
そのすぐ近くに『続・アイドルの湯』が待っているので、
引き続き温めてもらえるという訳です。便利な時代ですね。

ともすれば「オタクホイホイ」とバカにされてしまいそうな
仕組みにぼくたちが引っかかり魅了され続ける限り、
アイドルはグループとして何年にもわたって
存続していくのでしょう。まるでプロ野球チームのように。

こうしてぼくは、自分の意志で抜け出すことも、
強制的にオタク卒業を宣告されることもないまま、
『アイドルの湯』に浸かりながら夢を見続けるのです
(もちろん、お金のゆるす限り)。

ね、バカみたいでしょ。
でも、これが楽しいんだなぁ、ホントに。

どうですか、あなたも、一緒にひとっ風呂浴びませんか?