もくじ
第1回魚のお腹に詰まっているもの 2016-11-08-Tue
第2回魚の身が教えてくれること 2016-11-08-Tue

平成元年生まれ、27歳。
肩書は広報、兼ライター。

時代が「平成」になって間もなく生まれたので、
大学や職場、行く先々で「あのとき自分はどう過ごしていたか」という自分の誕生日に起きた”他人の思い出話”を散々聞いてきました。

素直に生きること、が目標です。

わたしの好きなもの</br>魚をさばいて食べること

わたしの好きなもの
魚をさばいて食べること

担当・はるの くま

第2回 魚の身が教えてくれること

コンビニで、手軽に食べ物が買えるようになった。
ワンコインでも十分、食事ができる。
テレビに映し出される映像は、刺激や生々しさを通さない”ザル”にかけられるようになった。
平成生まれのわたしたちに与えられるものはいつだって、親切で手軽で、キレイだ。

だからはじめて魚をさばいた時、思っていたよりずっと血の色が黒かったことに驚いた。
骨はなかなかしぶといし、頭を切り落とすのは力がいる。
何度洗っても、しばらく爪が生臭い。
エビだって、頭を取って殻をむいて、そのわりに食べられる部分なんてほんのちょこっと。
頭ではわかっていたけれど、さばいてみてはじめてわかった。
魚が身をもって教えてくれたのだ。

わたしのおじいちゃんは、骨付きの魚を食べるのがすごく上手で、それは几帳面さゆえだと思っていた。
頭と骨だけを残して、身は少しも残さずキレイに食べる。
それも本当は、命をいただくことの大切さを知っているからなんだということも、魚をさばいてからわかった。

生き物を食べることって、手間がかかって、キレイなだけじゃなくて、重たい。
自分が“生きること”に直結しているのに、手軽なわけ、ないんだよな。

そういうことに気づいてから、「いただきます」の重みが増した。
そしてその分、おいしさもひとしおになった。
だからわたしは今日も、めんどくさいけれど魚をさばいて、ありがたくいただきます。

最後までお付き合い、ありがとうございました。

お粗末さまでした。