見事ガンバにおとされる。
Jリーグは毎週動きがある。
この短いスパンで、
鉄は熱いうちにどんどん打たれていく。
いや、違うな。私は鉄ほど硬くないので、
打たれれば、すぐにふにゃーんと好きになる。
遠藤選手目当てだったのが
他にどんな選手がいるのかもわかってきて、
試合経過も逐一追うようになった。
ここまでくれば自覚症状がでてきていた。
「私、ガンバが好きじゃん!」
歴史上の人物は覚えるのにあんなに時間がかかるのに
ガンバとなれば小ネタさえばんばん頭に入る。
大阪らしいお調子者もいれば、
驚くほど寡黙な人もいて、またそこが良いのよねー。
オフの顔ではさすが関西、いじりいじられ笑ってるのに
試合になるとばっちりストイック。
ほーんといいチームだなぁと思った。
遠藤選手がこれまで海外に移籍をしなかったのも
「ガンバが好きだから」。
いいわぁ、やられた。ますます好き!
それまで大阪は遠い関西の街だったのに、
一気に身近に思えてきた。
ド単純なもので、大阪のイメージも急上昇である。
ぼんやり抱いていたマイナスイメージは払拭されるし、
おもしろい、フレンドリー、を実感する日々。
ガンバは私に大阪の良さまで気づかせてくれた。
ありがとうガンバ!
そうだ、アウェイがあるじゃない。
好きなら、直接応援したくなる。見たい。会いたい。
ただ、そこはガンバ「大阪」。
私が住んでいるのは東京。
FC東京を応援している友達はいたけれど、
ガンバ大阪が好きなこは周りにいないし。
高校生だから、ひょいと大阪へ行くのも厳しい。
うーむ、そうだ、「アウェイ」を狙おう!
サッカーの試合は通常、
対戦するチームのそれぞれの本拠地で1度ずつ戦う。
つまり、ホーム戦の大阪へは行けなくても
関東のクラブと対戦をしにくるときに
ガンバ側として行けばいいんじゃない!
東京、千葉、神奈川、埼玉。
住んでいるところからすればホーム圏でも
私はアウェイ、大阪側の人として向かうわけ。
それもなんだか面白いじゃん!
俄然わくわくしてきた。
はじめてのアウェイ戦。
はじめて足を運んだのは
川崎市の等々力陸上競技場。
川崎フロンターレのホーム、
ガンバにとってアウェイだ。ドキドキ。
スタジアムに向かう電車にいるサポーターは
みんなフロンターレのユニフォームを着ていた。
これがアウェイの肩身の狭さか。
遠藤選手のユニフォームの上に着ているパーカは
電車のなかでは脱げなかった。
少数派に緊張しながらスタジアムに入場すると、
ゴール裏のガンバゾーンには
サポーターが大勢集まっていて
ものすごーくホッとした。
隣のおじさんも優しそうだし
…って、あら7番を着ているじゃない!お揃いだぁ!
前に座ってる人のユニフォームには
選手のサインが入ってる…。(いいなぁ…。)
ここにいる人はみんな
ガンバが好きな愉快な仲間たちだー!
全観客の8割以上を占めるのは
ホームチームのサポーター。
まさに「アウェイ」のど真ん中にいると、
量より質だ!山椒は小粒でピリリと辛い。
負けるもんか!と燃えてくる。
周りと一緒に真っ赤になるまで手を叩き、
選手の名前を叫び、ガンバを応援する歌を歌い、
リズムに合わせて飛び跳ねる。
ゴールが決まったときは
隣のおじさんとハイタッチ!(ハグはとどまる)
「ガンバ大阪、たのしい!」と心から思った。
東京にいながら、三冠に立ちあう。
すっかりガンバが好きになった私は、
東京周りのスタジアムによく出かけるようになった。
そして二年前の2014年、
ガンバ大阪は「三冠」を達成する!
日本プロサッカーでは
カップ戦、リーグ戦、天皇杯、という
主要な大会が3つ平行して行われ、
それらぜんぶで優勝することが「三冠」。
そしてカップ戦と天皇杯の決勝は一発勝負、
東京周辺のスタジアムでおこなわれることが
決まっていた。(ラッキー!)
つまり私は、東京にいながら
まずの一冠目と
とうとうの三冠目に立ちあえてしまったのだった!
これがいけなかったなぁ。
もう抜けられない。高ぶりがおさまらない。
好きになってよかったーー!!!
ちなみに、優勝を見てしまった!と興奮した私は
その勢いで「ガンバ大阪新スタジアム建設募金」に
お財布から1000円を投じた。人生初の“投資”。
行くことすら未定の、ホーム大阪のスタジアム建設に、
おめでとうが詰まった出血大サービス。
約1年後の翌年2015年10月、
この1000円は無事に
新しい「吹田スタジアム」のどこかになった。