私の祖父は先月87歳で亡くなった。
共働きだった両親に代わって、私が中学生に上がるまで愛知からわざわざ東京まで私の世話をしに毎月来てくれた優しい祖父だった。
80歳の時、祖父は腎臓の病気になった。
ずいぶん頑固者の祖父は、病院を抜け出したり病院と病気に長いこと抗っていたように思う。
私が会いに行くと、リハビリも頑張るし、ちょっとでもカッコ良くあろうと頑張っていた。
私が会いに行くと、真っ直ぐな愛情で喜んでくれた祖父は長いこと私の居場所だったように思う。
そんな祖父が、私がこの夏留学にアメリカに行っている時に危篤になった。
私がいたところは、電波がないところだった。
車を10分くらい走らせたところにある喫茶店が1番近い電波の入る場所だった。
電話を頻繁に出来る場所ではないところで、祖父と電話をするのは難しかった。
ありがとうを伝えなきゃ、と私は焦った。
ありがとうをビデオにしようと思った。
あれだけ頻繁に会っていたにも関わらず、ろくに感謝の気持ちを伝えられてなかったことに後悔したけれど、
面と向かってじゃないから「ありがとう」を伝えられたのかもしれないと思う。