思い立ったら即行動、の江口さん。今後の目標は?
江口さん:ひとつは、海外に行って日本の料理や食文化を教えること。自分の言葉で料理を教えたいので、今は英会話に奮闘中です。
その先駆けとして、江口さんは現在「Traveling Spoon」という海外からの旅行者に家庭料理を教える活動にホストとして参加しています。一緒に料理をしながらその料理の背景や日本の文化について外国の方々に語る機会となっており、目標の実現に向けて早速動き出しているようです。
江口さん:ふたつ目は、時代的に鬱気味になってしまったり、気分が落ち込みがちな人が増えているのが気になって、少し考え方を変えるだけでちょっと気が楽になったり、楽しくなるということを食を通して伝えていけたらと思います。「やりたいことがあるなら、やればいい!」と思うし、ちょっと変われば生活はいくらでも楽しくなります。経営しているカフェにまだ手のかかる小さいお子さんを連れてきたお客様がいて、とても疲れた顔をしていたので10分か15分くらいお子さんを預けてもらって、その間にケーキやお茶を楽しむ自分の時間をとってもらったことがあります。その後は何か解放された、すっきりした顔になっていました。子育て経験者の私には、辛い時期のしんどさが分かりますから、「子育ても、もう少し経つと楽になるよ。」と伝えたら、勇気をもらったと喜んでくれて。これからもこんな風に、悩んでいる人の背中を押してあげたり、前に進む手助けをしていきたいですね。食を整えれば心も体も整うということを、もっとたくさんの人に伝えていけたらと思っています。
数多くの仕事と子育てとの並行で多忙を極め、責任や重圧を誰よりも感じているはずの江口さん。だけど、好きなことを仕事にしているから、毎日楽しいと笑顔で言い切ります。
江口さん:常に仕事をしていても、苦にはならないんです。楽しいから。周りからしてみたら仕事しすぎって思われるかもしれないけれど、仕事と遊びの線引きがないのです。
美味しいものを食べていて不機嫌な人はいません。食卓では誰もが素直になります。だからこそ、食を通して楽しく生きるヒントを教えることは悩んでいる人にとって一番効くお薬なのかもしれません。食と向き合って、自分自身と向き合う。食と向き合って、相手を思いやる。食のプロは、人生を楽しむプロでもありました。
辛い事や理不尽なことがある度に江口さんが思い出す言葉は、坂上みきさんの「最後に笑うのは私」だそうです。
(特別なものやことが無くても、大好きな人や大切な家族がいれば充分。)
〜あとがき〜
忙しくなると祖末にしがちな日々の食事。一人暮らしで、自分だけだからやる気が出ないと適当に食べるものを選んでいた私。
食を整えることで生活が整うという言葉にはっとさせられました。心と体は繋がっているから、食を無視していくことは出来ないのですね。
江口さんは、嘘のない言葉を話します。まっすぐに、向き合ってくれます。その力強い言葉とぱっと周りを明るくするような素敵な笑顔が、江口さんの得てきた信頼の理由であり、周りを惹きつける魅力なのだと思います。たくさんの困難を前向きに乗り越えてきた強さがあるから、ひとつひとつの言葉に誰かの背中を押すようなパワーがあるのでしょう。そんな江口さんが相手を思いやって考える料理が、まっすぐ人の心に届くのは納得です。
芯があって、常に目標に向かって進む江口さんは、「やりたいことは、やればいい!」と背中を押してくれるような、私の憧れの大人でした。江口さんのお話を聞いて、怖いと思っていた社会に出ることが少し、楽しみになりました。
江口恵子さん、かっこいいです。素敵なお話、ありがとうございました。
そして、このページのために温かいイラストを描いてくれた私の友人Yuinaに、ありがとう。