ポケットに短歌を
担当・髙橋元紀
すきなもの、と言われて「これ」と一切の迷いなく決められる人はどれだけいるのでしょう。
私はぜんぜん決めることができませんでした。
ありとあらゆることがすきだけど、
ありとあらゆるものに浅い思いしか持てない。
すきだなあと思えるものを頭の中の箱にいったんすべて入れて、
優先順位をつけてひとつひとつ、外に出していきます。
その箱の中に最後のひとつとして残ったものが「短歌」でした。
決してこれのために全ての時間を捧げるほどすきとは言えません。
その代わり、ふとした瞬間、気まぐれに遊びたくなる存在。
気心の知れた昔ながらの友人のよう。
それが私にとっての短歌です。
何首かの歌を紹介しながら、このエッセイは進みます。
読み終わった後に「短歌っておもしろいかも」と
思ってくれたらこれ以上にうれしいことはありません。