もくじ
第1回​ なれそめ 2017-11-07-Tue
第2回寂しくても大丈夫 2017-11-07-Tue
第3回魅惑の隠しトラック 2017-11-07-Tue

都内の大学生です。本と服と世界史と日本のロックバンドが好きです。つらいときには、メイトーのなめらかプリンをたべます。心を落ち着かせる大事な「儀式」です。

私の好きなもの</br>BUMP OF CHICKEN

私の好きなもの
BUMP OF CHICKEN

担当・テリー

好きなもの。

考えるだけでゴキゲンになって、
何時間でも語るべきことが溢れてきて、
出会う前と後では世界の見え方まで変わってしまったもの。

みなさんには、ありますか?


私は好きなものがたくさんあるほうで、
いろんなものに
「かっこいい!/かわいい!/憧れる!」と
なりやすいタイプです。
日々、世界中のいろいろなモノ・コト・ヒトから、
エネルギーをもらい、
それぞれにリスペクトの気持ちを抱いています。

なので、ほんとうはこの課題、
もっと記事にしやすそうな「好きなもの」について
書こうとしていました。

でも、課題の説明会で、
「12 番目に好きなものとかではなく、
いちばん好きなものについて書いてください」と言われ、
反射的に心に浮かんだのは‥‥
やっぱりあのロックバンド、
BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)。

用意していたネタは、
あっという間にひっくり返ってしまいました。

バンプが大好きすぎて、
彼らに取材する夢を 2〜3 回みたことのある人が、
緊張しながら書いたエッセイです。

真面目な第1・2回と、ゆるっとした第3回。
よろしければ、お付き合いください。

プロフィール
BUMP OF CHICKENさんのプロフィール

第1回 ​ なれそめ

私が彼らを知ったのは、中学1年生の冬のこと。
当時好きだった人が、
「おれ、バンプオブチキンが好きなんだ。」と
メールで教えてくれたのがキッカケです。

 
それまでの自分は、日本のロックバンドどころか、
当時のポップソング全般にも疎い子どもでした。

5歳の頃からピアノを習っていたので、
西洋のクラシック音楽にはなじみがある。
父が家で流すCDやテレビ番組のおかげで、
昔の映画のサウンドトラックや昭和歌謡も、
なんとなくわかる。

(ちなみに父は昭和20年生まれ。
「舟木一夫の『高校三年生』が出たときに、
ちょうどお父さんも高校3年生でさぁ‥‥」が口癖。)
 
でも、クラスのみんなが聴いている
大塚愛さんやオレンジレンジなどのCDは家になく、
紅白歌合戦などで歌われているのを聴く程度。
なので、明確に「好きなアーティスト」といえるものが、
私にはなかったのです。

 
そんなニュートラルな状態で、
「好きな人の好きなアーティスト」として
聴きはじめたパンプオブチキン。

正直いうと、最初は、少し聴きづらさを感じました。
『ダイヤモンド』など初期の曲に顕著なのですが、
歌声や演奏に荒削りな感じがあったからです。
さらに歌詞の面でも、
『ラフメイカー』『K』などのストーリー性の高い曲や、
「一発で何が言いたいのか100%分かるわけではない曲」が
多いことにも驚きました。

それまで自分が知っていた流行歌といえば、
直球な言葉で
「恋愛」や「夢」などキラキラしたものを歌う、
聴きやすく、分かりやすく、整えられたものばかり。

 
その違いに戸惑いつつも、
好きな人と話を合わせたくて聴きすすめていきました。

そのうち、歌詞の奥深さや伝わってくる切実さに、
「これは、自分に置き換えると、こういうことかな?」と、
曲と対話するようになっていきました。
ちょうど思春期で悩み深い時期だっただけに、
内省を促してくれる存在を必要としていたのでしょうか。
 
たくさん考えた分だけ「自分ごと」になっていって、
いつしか、しっかりと、
「自分の好きなアーティスト」になっていったのです。

 
それから、
彼らの載っている音楽雑誌を読み漁り、
SNS上のファンのコミュニティグループに参加するように。
 
そこで目にした他のバンドたち、
たとえば、
RADWIMPSや
ASIAN KUNG-FU GENERATIONや
9mm Parabellum Bulletなどにも
興味を抱き、CDを買ったりしはじめました。
 
そうして、
日本のロックの歌詞や音の面白さに
ズルズルとハマっていき‥‥。
気づけば、教室の中で大人しくしていた少女は、
ライブハウスへ通いつめるキッズへと変貌していました。

受動的に与えられてきた音楽ではなく、
自分で選び取った音楽は、
現在に至るまで、私の魂を揺さぶり続けてくれています。

 
そんなこんなで、
特定のアーティストを深く愛することを教えてくれて、
私の音楽世界を広げてくれたバンプには、
すっかり頭があがらないのです。

 
(つづきます。)

第2回 寂しくても大丈夫