もくじ
第1回​ なれそめ 2017-11-07-Tue
第2回寂しくても大丈夫 2017-11-07-Tue
第3回魅惑の隠しトラック 2017-11-07-Tue

都内の大学生です。本と服と世界史と日本のロックバンドが好きです。つらいときには、メイトーのなめらかプリンをたべます。心を落ち着かせる大事な「儀式」です。

私の好きなもの</br>BUMP OF CHICKEN

私の好きなもの
BUMP OF CHICKEN

担当・テリー

第2回 寂しくても大丈夫

パンプオブチキンは、
私の音楽世界を広げてくれただけでなく、
ものの考え方にも大きな影響を与えています。

私が感じ取った、
彼らの楽曲に一貫している大きなテーマ‥‥。

それは、「孤独と絆」。

もう一歩踏み込んで文章にすると、
「人間は1人で生まれて死んでいく、
そんな絶対的な寂しさがある。
それでも、
誰かと分かりあいたいし、手を繋ぎたい。」
という感じでしょうか。

なぜ、私はここに強く惹かれるのか?
恐縮ですが、ここで少し、私の中学時代の話をさせてください。

 
受験をし、中高一貫校に進学した私は、
地元の友達がいない状態で
中学校生活をスタートさせました。

不安とともに新しい環境に飛びこんだわけですが、
夏をむかえる前には仲良しな友達も何人かできて、
部活で新しくはじめたヴァイオリンの練習も楽しくて、
とても充実した1年目でした。

 
しかし、2年目からは状況が大きく変わります。
クラス替えや、部活での人間関係のつまずきをキッカケに、
学校での友達づきあいに自信が持てなくなったのです。

「私がどんなにその子を好きでも、
むこうも同じくらい好いてくれるとは限らない。
みんな『本命の友達』がいるけど、それは私じゃない。」
こんな考えが、ずっと頭から離れませんでした。

「こんなに寂しいの、私だけなんだろうな。」
そう思いながら、
学校生活をやり過ごしていた私。

学園モノ漫画の主人公のようには
友達グループへの帰属意識を感じられず、
その劣等感を紛らわすように、
どんどんロックの世界へ逃避するようになります。

 
そんな鬱屈とした中学生が大好きだったバンプは、
メンバー全員が幼稚園からの顔なじみ。
15歳でバンプのもととなるバンドを結成し、
ソウル・メイトともいえる存在どうしの彼らが、
うらやましくて、たまりませんでした。

 
ところが、
『Title of mine』という曲を聴いてからは、
少し違った考えが浮かぶようになります。

「君に触れていたいよ 名前を呼んでくれよ
誰も居なくて 一人なら
こんな歌を唄う俺の
生きる意味
ひとつもない」

このフレーズは、
曲のラストで歌われているもの。
おそらく、バンプの楽曲のなかで、
最も徹底的に孤独について歌っています。
はじめて聴いたときは、
なりふりかまわぬその叫びに、
心の奥にひそむ闇を言い当てられたようで
怖くなりました。

 
ですが一方で、こうも思えたのです。
「あんなに仲間に恵まれた藤原さん(作詞作曲担当)でも、
これほどの孤独を感じるってこと‥‥?
じゃあ、わたしが寂しいって感じるのも、
しかたないことなんだ。
もう、生理現象なんだ。」

ぼんやりと、その事に気づいて以降は、
「どうせ寂しいなら、
四六時中だれかと一緒じゃなくても、
逆に大丈夫ってことなんだな。」と、
絶望感よりも、むしろ安心感を覚えたのでした。

 
そこから転じて、
「長い時間を一緒に過ごしてきたとか、
遊んだ回数が多いだとか、
目に見えやすいガッチリとした繋がりだけに
価値があるわけではない。」
こんな風に考えるようになっていきました。

 
すみません、
自分語りの冒頭に「中学時代の話」と書きましたが、
中学生のうちにここまで悟れてはいません(笑)

ただ、高校3年生のころから大学時代にかけて、
思わぬ人からもらった一言に予想外に勇気づけられたり、
意外と自分を気にかけてくれている人はいると気づいたり、
そんな些細なことが
宝石のように思えるようになりました。

人間はどうしようもなく孤独だからこそ、
淡い繋がりや優しさも、
それはそれで尊いものなのかもしれない。

『透明飛行船』という曲を聴いていると、
特にそんなことが思い浮かびます。

 
どんな時でも、
バンプの曲なら、
その時の気持ちに似合う曲が絶対にあるんです。

それだけ、私のものの考え方は、
バンプの歌詞や、
そこから滲み出るテーマのようなものによって形作られ、
励まされ続けてきたということなのだと思います。

 
(つづきます。)

第3回 魅惑の隠しトラック