もくじ
第1回手ぬぐいを贈ってみる 2019-03-19-Tue
第2回手ぬぐいとは「縁」 2019-03-19-Tue
第3回手ぬぐいとは「お手本」 2019-03-19-Tue
第4回手ぬぐいとは「相棒」 2019-03-19-Tue
第5回贈りものをして気づいたこと 2019-03-19-Tue

愛媛から、
はるばる上京、
4カ月。

岡山出身の91年生まれ。
好きな食べ物は「数の子」です。

「贈りもの」が 嬉しい理由を考えてみた

担当・本郷結花

贈りものの中でも、
“ちょっとした” 贈りものが好きです。

贈り主も用意したことを忘れるくらい
意外なタイミングで「あ、そういえば」って
渡されるような気軽なもの。
手土産とはちょっと違うかもしれない。

私もこの間、友人とランチの約束をした休日、
時間に余裕があったので駅前の和菓子屋で
豆入りどら焼きを買って、ひょいと渡した。

考えてみると、その行為に深い意味はない。
ただ渡す瞬間の「わぁ!」って顔と、
一瞬だけフワッと心が躍る、
あの楽しい感じがあれば、それでいい。

待ち合わせで渡すどら焼きは、おそらく
帰宅までの間に、友人のバッグの中で
潰れてしまうだろう。それでもいい。
むしろ、それでいい。

翌朝、忘れた頃にバッグから出てきて、
朝ごはんにでもしてもらえたら。
それくらいがいい。

そんな、ちょっとしたお菓子や
なんでもない日の、贈りもの。

どうしてこんなに嬉しいのだろう?
もらうときも、贈るときも。

自分がもらって嬉しかった「手ぬぐい」を、
大切な3人に贈ってみて気づいたこと。

3人が思う、手ぬぐい愛を聞いてみて
わかったこと。手紙っていいなと感じたこと。
色々書きました。

そして、全て同じ理由に繋がっていました。

読んでもらったあと、大切な人の顔を
思い浮かべてもらえると嬉しいです。


※この記事はエッセイ「わたしの好きなもの、手ぬぐい」の【続編】になっています。時間がゆるす方はそちらから先に読んでみてください。

第1回 手ぬぐいを贈ってみる

私が贈りものについて考えようと思ったのは、
ほぼ日の塾で書いたエッセイ、
「私の好きなもの」がきっかけだった。

40人の塾生が、各々の
「好きなもの」について自由に書くエッセイ。
私は迷った挙句、「手ぬぐい」について書いた。

いつもバッグに入れて愛用している手ぬぐい。
タンスから出して、並べてみると、そのほとんどが人から
プレゼントされたものだと気づく。

使うたびにもらった人のことを思い出して、ホッとする。
だからこんなにも愛着がわいて、好きなんだ。
書きながらその理由がわかった。

「贈りもの」の中でも手ぬぐいって、
なんだか特別な気がした。

そんな手ぬぐいに対する愛を、
初めてエッセイに綴った数日後。
私は新しい手ぬぐいが欲しくなり、
職場近くの手ぬぐい屋へ足を運んだ。

何度か来たことがある店。
店内に並んだ手ぬぐいを改めて見渡すと
前よりも一層、愛おしいものに見えた。

新柄や限定の柄もたくさん出ていた。
どれにしようかと迷っていたとき、
あの3人のことを思い出した。

「よし、次は私からプレゼントしよう」
(左から「よろけ縞」「ひしめき瓢箪(ひょうたん)」「柑橘がさね」)

そして、3枚の手ぬぐいを買った。
私に手ぬぐいをくれた3人へ、今度は
私から贈ってみたいと思った。

自分用を買いに行った足で、まさか
「贈りもの」を選ぶことになるなんて。

特になんでもない日だけど、
たまにはこういうのもいいなって。
にやにやしながら店を出た。

愛媛、岡山、広島で暮らす3人へ、
後日、手紙と一緒にポストに投函した。

自分がもらって嬉しかった
「手ぬぐいの贈りもの」、
喜んでもらえるといいなぁ。
 

数日後、3人から
嬉しい返事が届くのだった。

(つづきます)

第2回 手ぬぐいとは「縁」