神様をさがしに。  ~高尾山の巻~  どうか、神様! と、願いをかけるとき‥‥ 我々はいったい どこに呼びかけているのでしょう。 おやしろの中に? それとも、天に向かって? それとも、自分の中の奥の底? * 神様の居場所をさがしに、 おかしな一団が ぷらりと旅に出ることにしました。
第2回 踏み出すまでの試練。
高尾山薬王院をめざす我々、
まずは中腹まで一気に連れていってくれる
リフトとケーブルカーの
乗り場まで向かいます。
今回は正直言って
リフトに乗るだけの回でございます。
遥拝所で無事を祈って、
さあ、レッツゴー!
ハタナカ この遥拝所の横から
伸びる道がありますが、
歩いて登る場合は、
ここから頂上をめざすようですね。
オイカワ でもやっぱり、
すべて歩いて登るのは
次の機会に。
── 暑いですし。

我々はリフトに乗りますが、
もちろんここから歩いて
登ることもできます。
高尾山の標高は599m。

ソブエ さっき拝んでいるとき、
結局何も思わなかったよ。
── 拝むときって、自分で思ったより真剣に
無心になってしまいますよね。
ところで、高尾山って、
『ミシュラン・
 グリーンガイド・ジャパン』

3つ星を獲得したこともあって、
そうとう混雑しているという
話だったのですが。
オイカワ そうそう。
なんとなく、すいてますよね。
ハタナカ あのですね。
── はい。
ハタナカ だいたい山登りというのは、
涼しい時間帯に出かけて、
お昼ごろには帰るというのが
まぁ、鉄則なんですよ。
ソブエ そうなんだ。
── 我々はいちばん暑い時間帯に
登ろうとしてますね。
オイカワ 「行く」雰囲気の我々よりも
「帰る」雰囲気の人のほうが多い気がします。
ソブエ 全体的に、遅すぎて
ダメだということでしょうか。
オイカワ まぁ、仕事柄ね。
ハタナカ みんなの仕事柄ね。

すでに「帰り」の雰囲気の
ケーブルカー高尾山駅。
ハタナカ いま、高尾山は
広末涼子さんが
イメージキャラクターなんですよ。
ソブエ そうなんですか。
ハタナカ みなさん、今日は
広末さんと登るような気持ちで
がんばりましょう。
── がんばりましょう。

広末涼子さんの
「Power Mt. TAKAO」ポスター。
オイカワ あ。ソブエさん、
ここにもゴミのポスターがありますよ。

思い出とゴミは一緒に持ち帰ろう。
ソブエ これだと、ゴミの思い出しか
残らなかったりして?
── そんなことないと思います。
ソブエ あ、セミがいますよ。

夏の終わりのセミ、
道に落ちていました。
── もう、力尽きそうですね。
ソブエ 上に、一緒に行こうかな。

おかしな一団にセミが加わりまして。

山麓から山上へのキップです。
駅員さんがパンチで
穴をあけてくれます。
ソブエ (キップを眺めて)
‥‥紀州色上質、コスモス、最厚口。
オイカワ 色見本みたいなキップですねぇ。
ソブエ キップに通し番号が打ってあるよ。

「7242、なにしに行くの~、
 なんちゃって」
オイカワ (ひそひそ)
ぼくね、リフトはじめてなんです。
── スキーとかは?
オイカワ やったことありません。
── だいじょうぶですよ、
ほらここに、注意書きがありますから、
これさえ守っていれば。

「リフト利用者の皆さま」
の注意書き。
リフトの乗り降りには
敏速な行動が必要です、とあります。
オイカワ だだだだだ、だいじょうぶかな。
ソブエ オイカワさん、降りるときはね、
早く降りないと
くるーっと回って、
来たところに戻っていくよ。
オイカワ とても不安になってきました。
── 私は、高尾山口駅を出発してから
かなり時間が経ってる気がして
恐ろしくなってきました。
ハタナカ そうそう、早くしないと
頂上まで行けませんね。

リフトはふたりがけなので、
どういう組み合わせで乗るか
話し合っています。

高尾山リフト乗り場。
── 乗り場まで、階段が続きますね。
(フゥ、フゥ)
ソブエ ここから登山がはじまるようですね。
(ヨイショ、ヨイショ)

すでにみんな、息があがってます。
日頃どれだけ運動してないか。
ソブエ あれ、これは?

これ。
ソブエ 「これ何?」
「しらん」
なんつって。
── 「紫蘭」でしょうか?

「グフフフ、おもしろいねぇ」
どうしても寄り道してしまう
ソブエさんです。
ハタナカ おーい、ソブエさーん、
はやくはやくー。
もうリフトに乗っちゃいますよー。
ソブエ 急ぎまーす。
ほんとに、これじゃ
入口で一日が終わっちゃいますね。

迅速な行動で
リフトに搭乗。

木々の緑が気持ちいいです。
── (リフトの上にて)
ハタナカさんとソブエさんが
ふたりでリフトに乗ったので、
いま、隣りにいるのは、
オイカワさんなんですけれども。

リフトの組み合わせ

ナンゴ  
ソブエ ハタナカ
オイカワ スガノ
オイカワ はい。どうも。あの、はじめまして。
── 本日が初対面です。
今日はありがとうございます、
よろしくお願いします。
オイカワ よろしくお願いします。
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥。
── ‥‥‥‥‥あの。
オイカワ ‥‥はい。
── 大丈夫ですか。

雄大な眺め。
オイカワ 大丈夫です。ですが、
ぼくのズボンだけですか、
こんなにすべるのは。

イスからすべり落ちないようにしたい。
── 私のズボンは、そんなには
すべりません。
オイカワ なんだか、すべるんですよ、すごく。
── 手すりをしっかり
持ったほうがいいですね。
オイカワ あの柱の番号は
何番まであるんでしょうか。

柱の番号。ここは10番。
── ちょっとわからないですね。
あ、眺めがすごいですよ。

新宿あたりが見えたりして。
オイカワ あ、あんまり振り返らないほうが。

杉の木がいっぱい生えてます。
── もうすぐ到着ですよ。

乗り場と降り場は
ベルトコンベアのようになっています。

ソブエさんとハタナカさんは
降りるのがうまかったです。
さすが人生経験豊富。
オイカワ な、なんとか無事に降りました。
ソブエ 元に戻らなくてよかったですね。
── ちょっとした試練でしたね。
ハタナカ ここからやっと、
登山がはじまりますよ。
オイカワ はい。
さっきのセミも、いますか?
ソブエ います。
 
(つづく)
2010-09-22-WED