神様をさがしに。  ~高尾山の巻~  どうか、神様! と、願いをかけるとき‥‥ 我々はいったい どこに呼びかけているのでしょう。 おやしろの中に? それとも、天に向かって? それとも、自分の中の奥の底? * 神様の居場所をさがしに、 おかしな一団が ぷらりと旅に出ることにしました。
第3回 数歩ずつの前進。
今日の我々の目的地は、
高尾山山頂手前にある
新義真言宗智山派に所属する大本山、
高尾山薬王院というお寺です。
タイトルは「神様」なのに
「お寺」をめざす?
お寺は「神様」でなく「仏様」ですよ?
はい、そうです。先に進みます!
今回は、寄り道につぐ寄り道、の回です。
オイカワ やっぱり、いまの時間帯は(午後1時ごろ)、
山を降りる人のほうが
多いですね。

下りの流れにさからうように
登りゆく奇妙なグループです。
ソブエ あそこの、遊園地みたいな場所は
何ですか。
ハタナカ ビアガーデンですね。

高尾山「ビアマウント」です。
── 夕方から2時間制のバイキングを
やっているそうです。
もし時間が合えば、
帰りに何か食べていきましょう。
オイカワ そうしましょう。
ハタナカ ああぁー、すでにとっても
眺めがいいですよ。

この景色でもう今日は満足ですね、
という空気も流れます。



水木しげるさんの
イラスト展もやっていましたので、
みんなで見学。

(※こちらは8月31日までの開催でした)

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── 「天狗焼」という
お菓子が売っていたので食べましょう。
焼きたてですよ。

こちらの「天狗焼」、人気のお菓子で、
売り切れになることもあるそうです。
オイカワ これは、カラス天狗かな?
ハタナカ そうですね、くちばしがあります。
── ここではどちらかというと
天狗は「カラス」が主流なんでしょうか。

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カラス天狗の天狗焼。
カリッと焼きあがってます。
中はもっちりした何かと
あんこが入ってました。
ソブエ (水木しげるさんの絵を見終えて)
ナニナニナニこれ!
こんなかわいいの、どこに売ってたの!
── すぐ横の売店です。

お菓子タイム。
ソブエ おなかがちょっと
すいてきてたからね、
うれしいね、ルン、ルン。

「お、おいし!」
── 売店では、こんなにたのしい
おみやげも売ってますよ。

「天狗の鼻くそ」
ピーナッツチョコです。
ソブエ ププププ!
かわいいねぇ。
かわいいおみやげ、いっぱいあるねぇ。
なんだかぼく、どんどん買っちゃうカンジ?
── だけどソブエさん、
バードウォッチングの本は、どうかと‥‥。
オイカワ あんまり高尾山に
関係ない本ではないでしょうか。

バードウォッチングの本まで手に取る
気分の高まり。
謎の鉱石も握ってらっしゃいます。
ハタナカ みなさん、いいかげん出発しないと。
登山はこれからですよ、
気を確かにしてください。
オイカワ ハタナカさんは、おみやげは
買わないんですね。
ハタナカ フフフフ、ぼくは、
薬王院で、いろいろと
お金を落とす予定がありますから。
ソブエ ムムム!
そうか。
まだ先があったのだ!
── いそいで、お会計を。
オイカワ これからは、きつい登りかもしれませんからね。
ハタナカ ゆるやかな坂でも、
我々が走って登り降りするのは
無理ですからね。
ソブエ チャリン!
── あっ。また寄り道!

「チャリン!」は
双眼鏡にお金を入れた音でした。
オイカワ どんなふうに見えますか?
ソブエ うーーーーーーん。
あのね、この風景がね。

はい、この風景が。
ソブエ ふつうに拡大されただけのように見える。

「どらどら」
ハタナカ ‥‥‥うーーーーん。
そうですね、ふつうに「ズーム」ですね。

「どらどら」
── うーーーーーん。
ふつうに、電車の窓から見える
風景みたいですね。
ハタナカ こほん、ええええええと。
── こほん、みなさん。
我々はリフトを降りてから
正直、少ししか
歩いてないのではないでしょうか。
オイカワ あっちにふらふら、
こっちにふらふら、
どうしても行っちゃいますね。

現在位置を確かめます。
ソブエ たしかに、数歩しか歩いてない。
オイカワ 数歩ですね‥‥。
ハタナカ 降りますか、山を‥‥。
── だめです。
ほらほら、ソブエさん、ソブエさん、
また、寄り道!

「さっきからあちこちに
 サルの看板があるね」
オイカワ ほんとですね。
野生のサルが山にいるのかな?

サルの姿があちこちに。
── そういえば、ここには
サル園があるんですよ。
だけど‥‥今日は閉園してるみたいです。
(資料を見る)
なんと、園には52頭のサルがいるそうですよ。

本日は「閉園」の案内が。
ハタナカ あっちの張り紙を見てください。
昨日、落雷があったみたい。

「昨夜 落雷の為」
ソブエ ビカビカ、という
稲妻のマークが
わかりやすく描いてありますね。
オイカワ 落雷の為‥‥って、
落雷で、どうして
整備中なんでしょう。
── 落雷でサルが荒れてるんでしょうか。
ソブエ そうそう、きっと興奮してるんだね。
── ‥‥というわけで。
ハタナカ 先を急ぎましょう。
オイカワ そうそう。
すでに1時45分ですよ。
ソブエ おいやー、すごい杉だよ?

蛸杉といいます。
根っこが蛸の足のようになってます。
ハタナカ すごいですね。
── 樹齢何年くらいでしょうね?
オイカワ 400年くらいは、いってるかなぁ。
── えーっと、説明によると、
ここに参道を通す際に
引きぬかれないように
ひと晩で根を蛸のように曲げたという
いわれがあるそうです。
ハタナカ となりに、「ひっぱり蛸」
というのもありますよ。

「開運 ひっぱり蛸」


あまり、ひっぱれない。
オイカワ 足がくるんくるんに巻いてますね。
ソブエ ここはけっこうおだやかな坂で、
歩いててたのしいですね。
── あ、やった!
門が見えてきました!

浄心門です。
ソブエ 着いたぁぁー。
ハタナカ まだです、まだです。
── ここは薬王院の入口じゃないんですか?
オイカワ まだ、道のりはありそうですね。
ソブエ 門で記念写真撮ろうよ。
── 予定していた到着時間に
かなり遅れそうなので、
薬王院に電話しておきます。
オイカワ ぼくは、写真にうつるのが苦手なので、
ぼくに撮らせてください。

これはまだ、通過地点。
撮影:及川賢治
 
(つづく)
ハタナカ
ハタナカメモ
水木しげるのイラスト展


2010年8月1日から
8月31日まで開催されていた
「高尾山・天狗イベント」
キャンペーンの一部。
水木さんの天狗イラスト展のほか、
高尾山の天狗スポットをめぐる
「高尾山の天狗伝説をたどるクイズ」
などが
おこなわれていました。
8月28日には、
「天狗サミット」も開催されたようです。

天狗

天狗はそもそも中国の“もののけ”で、
流れ星の流れた軌跡が
狗(いぬ)に似ていることから、
天の狗、天狗と呼ばれたそうです。
高尾山の天狗は本尊の飯縄大権現に従い
お護りする役目をもち、
開運や魔除けなどの
ご利益をもたらすといいます。
修験の道場である高尾山では、
山の中を
自由自在に駆け回る山伏の姿が、
まるで天狗に見えたのかもしれませんね。
2010-09-24-FRI