連載5回までかけて、
ようやく高尾山薬王院に到着しました。
ここまで、男坂の階段に
不安をおぼえたものの、
(それは階段を数えるという
作戦でごまかして)
じつに順調な登山でございました。
一団は、どうやら
護摩祈祷を受けることにするようです。
──
薬王院の門の手前に、
こんな方がいらっしゃいますよ。
「高尾山中興開山」
俊源大徳さまです。
──
山伏のような格好をなさってますね。
ほら、ほら貝。
(シャレだよ、ププププ)
ほら貝が前に。
──
そういえば、天狗焼のカラス天狗も
こういう帽子をかぶっておられましたよね。
天狗焼のカラス天狗を思い浮かべます。
この、入口の門は?
四天王門ですね。
中に、四天王がおられます。
四天王は、
持国天、広目天、増長天、多聞天。
清らかな社会を守る、
持国天。
足もとには邪鬼がいます。
そういえば、
邪鬼には名前はないんですねぇ。
あんまり、ないですねぇ。
邪鬼がいなくなったら?
‥‥‥‥‥?
いなくなったら??
全員
‥‥‥‥‥。
無邪気。
──
あ、そういうことなんですか。
わかんない。
どういうことですか?
全体的に、と
いうことですか?
どの部分をおたずねですか。
こちらは増長天です。
増長天の足もとにいる邪鬼。
門をくぐると、すぐに、
天狗がいますよ。
こちら、鼻の長い
大天狗。
大天狗は、葉っぱ持ってますね。
くちばしの、カラス天狗です。
こっちは剣を持ってます。
うきうきしますねぇ。
お掃除なさってる方がいますね。
──
落雷のあった昨夜の雨で
今日はいろんなところを
整備しなくてはいけなかったそうです。
昨日はどこかで
土砂崩れもあったそうですよ。
ヒィエエエ。
今日はさいわい、
お天気はもっていますが。
まず、手水舎で、
こころとからだを清めます。
無事到着してホッとしたのでしょうか、
ひしゃくから水を飲んじゃうハタナカさん。
「こう? 手を洗えばいいの?」
ミシュランガイドに誘われて
やってきたであろう海外のみなさんも
注目されていました。
──
ここは秘仏本尊の薬師如来と、
本尊の大飯縄大権現
(おおいづなだいごんげん)の
立像があるんですよね。
大飯縄大権現さんは、
カラス天狗の姿をした
神様ですね。
拝見できるんでしょうか。
──
「御護摩受付所」がありますが、
ここはご祈祷してもらえるんですね。
祈祷を受けると、
大本堂内の飯縄大権現像を
拝観できるみたいですよ。
──
だれかひとりのお名前を書いて
申し込めば、
グループみんなが
祈祷を受けていいそうです。
では、ここは
リーダーのハタナカさんが
代表して祈祷を受けてください。
いや、ここは
年長者(で腰痛があって偏平足の)
ソブエさんが代表して
受けるべきだと思います。
それは、悪いなぁ。
お名前を借りるだけですから。
ここにいるみんなもいっしょに
ご祈祷を受けるんですから。
そう? そう?
──
ではソブエさん、
お願いごとを書く紙
(申込用紙のようなものに
氏名、住所、願いごとを書きます)
に、書き込んでください。
願い事は、もし迷ったら
「心願成就」のところに
マルをつければいいそうですよ。
「心願成就」は、
「祈っていることが叶えられる」
という意味らしいです。
それは便利ですね。
「心願成就」かぁ。
だけど‥‥やっぱりとくに、これが。
「身体健全」
うん、いいんじゃないでしょうか。
そうしましょう。
ところで、この木は?
──
九字撫木というそうです。
「九字とは、一切の災難を除き
その身を守る法として修験道に伝わる作法」
と、案内にはありますね。
からだの気になる部分を
撫でるといいみたいですよ。
この木で?
この木で。
──
木の裏に、調子の悪いところを
書くそうです。
そして、それが分身となるそうです。
悪いところといえば、腰とか。
足とか。
うーんと‥‥。
九字撫木のオモテ面に
名前を書きつつ、ちょっと考えるソブエさん。
そして、ウラは。ん‥‥‥??
んんん?
おおおおお?
──
頭首胸胃腸腰。
指手首脚ひざ足足ウラ。
毛。
全員
毛。
又。
全員
又。
かっこいいですね。
──
こういうTシャツが欲しいですね。
おっ。
こっちもかっこいいよ。
高尾山健康登山手帳です。
御朱印をいただけるんですよ。
──
いいなぁ、
私も手帳買います。
高尾山を登るたびに
押印してもらって、
21回で一冊が終了します。
一冊終了すると、
高尾山健康登山満行者名一覧に
掲示されるそうです。
──
祈祷までには時間もありますから、
食事でもしましょうか。
でも、あんまり店は開いてないみたいですね。
──
精進料理が食べられるところが
境内にあるそうなので、
見てきます。
(タッタッタッタッタッ)
閉まってました。
午前中で受付終了なのかな。
──
ごまのかかったソフトクリームが
食べられるお店があると聞きました。
見てきます。
(タッタッタッタッタッ)
閉まってました。
そこも午前中だけ?
──
いえ、昨日の雷雨が原因で
まだいろんなものが
復旧できてないようです。
ぼくは、大丈夫です。
おなかがすいてることに
気がつきにくい自分なので。
ぼくもです。
ぼくも、平気です。
──
じつはわたしたちふたりも。
それじゃあ、いいじゃないですか。
祈祷まで、お寺を観てまわりましょう。
境内でおみくじやお守りなどが
売られています。
ソブエさん、おみくじを引いてますね。
小吉です!
ハタナカリーダーも引きます。
「がいーーーん」
凶です!
大当りぃ。
──
これから運気が
上がりっぱなし、ということですね。
みんなでちょっとずつ
やさしい言葉をかけます。
でも、おみくじの絵は
ハタナカさんのほうがたのしそうだよ?
そうかなぁ。
おみくじの絵を
くらべっこします。
凶がでたら、
木に結んだほうがいいんですよ。
神さまが身代わりになってくれます。
──
ということは、
大吉とかは結ばなくてもいいんですね。
そうこうしているあいだに
護摩祈祷の時間が近づいてまいりました。
──
わくわくしますね。
緊張します。
(つづく)
手水舎
手水舎は「ちょうずや」、
あるいは「てみずや」と読み、
参拝者が身を浄めるために
手水を使う施設です。
水盤に置かれた柄杓を使い、
一回で手水を掬い、
左手、右手とすすいだ後、
手に水をためて口をすすぎ、
再度左手をすすいだ後に
残った水で柄杓をすすぐのが
一般的な作法となっています。
御朱印
スタンプのように
勘違いしている人もいますが、
ほんらい御朱印は、
心願成就の祈りを書き写した
経文(般若心経など)を、
社寺に納めた証として
いただくものです。
ですから「朱印帳」のことも
正しくは「納経帳」というのです。
2010-09-28-TUE