映画の感想を言い合う 感激団なのですが‥‥。 前回は 「ニワトリはなぜ毎日タマゴ産むか」 という話題で終わりました。 |
|||
いや、ごめん、 すまないと思ってる(笑)。 いくらなんでも飛ばしすぎた。 |
|||
糸井さん、たしかこのあと 予定が入ってましたよね。 |
|||
うん、もうすぐ行かなきゃ。 |
|||
わかりました‥‥。 とにかく乗組員のあいだで、 マッシュルームカットの話題が 盛り上がっていて それがどうしてこの感激団になったのか‥‥ ぼくはもう、わけがわからなくなっています。 |
|||
(笑)では、わたしから。 まずわたしが、 宮崎でマッシュルームカットにしたことを 社内にメールで回しまして。 それで、以前からマッシュルームだった 杉江さんやゆーないとさんのあいだでは、 「マッシュルームカットはむずかしいらしい というが、それは本当なのだろうか」 という疑問があったりして、 ネットで検索したら 見知らぬ美容師さんのブログに 「難しいんだよ」と。 で、その見知らぬ美容師さんの好きな映画が、 『バーバー吉野』と書いてあって‥‥ |
|||
出た! やっと、やっと出てきました、 『バーバー吉野』というタイトルが! |
|||
なんか、ひさびさな感じー(笑)。 |
|||
出ました〜。 |
|||
一同 |
ぱちぱちぱちぱち(拍手)。 |
||
で、そのブログに 「バーバー吉野に出てくる マッシュルームカットの技術はすごい」 って書いてあって、 「ほお〜」と思って、 そのブログのこともみんなに教えたら、 やまかわみっちゃんが‥‥ |
|||
「わたし、その映画観ました」って。 |
|||
はい、おもしろかったので、 みなさんも観られるといいなあと。 |
|||
さあ、感想です! そんな、いちばん最初に 『バーバー吉野』を観たという、 みっちゃんの感想を聞かせてください。 |
|||
わたしが いちばんおもしろいと思ったのは、 DVDの特典映像なんですけど。 |
|||
特典映像? |
|||
カットをする メイキングシーンがあるんです。 男の子の頭を整えるシーンが、 こう、子どもたちを一列に並べて。 それがですね、 地毛でマッシュにできる子は ほぼ、いないんですよ。 |
|||
へえええ〜。 |
|||
髪の長さが足りないんだ。 |
|||
ええ、おそらく。 で、全員、 こういうウィッグを、かつらを、 最初にかぶらされて、それを切るんです。 |
|||
そうか、まずはロン毛からなんだ。 でも、ただ全部を伸ばしていくと、 落ち武者になっちゃうんだ。 整えるんだ。 |
|||
‥‥あの、みっちゃん、 いちばんおもしろかったのは、そこ? |
|||
え? |
|||
髪形の話にもどりそう(笑)。 |
|||
あ。 |
|||
映画の本編、本編は? |
|||
すみません! あの髪型が印象的だったんで、 ついメイキングのそういう話に‥‥。 で、本編では、きのこ頭だけの学校に すごいかっこいい男の子が 都会から転校してきますよね。 |
|||
きます、ロン毛っぽいの男子が。 |
|||
町をあげての 大騒ぎみたいになっちゃって。 クリンとした頭の男の子たちが、 「おれたちの頭は変なのか」 みたいに真剣に悩むところが、 すごいいいなーと思って。 |
|||
転校生と子どもたちが うちとける理由がいいですよね(笑)。 |
|||
そう、転校生がその、 エッチな本を持っていたという(笑)。 |
|||
ああ、そうでしたね。 枝葉ではなくて、幹の部分でしたね。 ボディでわかり合ったというか。 人間誰しも‥‥みたいなところに行きました。 |
|||
ぼくはそこがすごく印象的でした。 |
|||
都会から来た子は 情報を武器に対抗をしますよね。 |
|||
でも、エッチな本持ってるくせに、 「髪型は自由だ」みたいな思想的な、 ちょっと難しい言葉を使うところも かわいいなと思いました。 |
|||
ストーリーの最後も 強烈なハッピーエンドではなくて。 なんというか、 髪型いっこの中に、いろんなの問題を とにかく押し込めた映画ですよね。 で、観た後で、みんなでこうやって 話してるんだから、大成功かもしれない。 |
|||
ああ、そうですねえ。 |
|||
単純な感想かもしれないんですが、 この監督の映画は、タイトルがいいです。 |
|||
うん、この人、タイトルで勝負してます。 いつも、そこにテーマが書いてあるんだよ。 |
|||
『バーバー吉野』 |
|||
『かもめ食堂』 |
|||
『めがね』 |
|||
どの作品もゆったりしてて、 ストーリーが どんどん展開するわけじゃなくて。 |
|||
それだけに読者に オススメするポイントが なかなかむずかしいのかもしれませんが‥‥。 |
|||
1枚の絵があったとするじゃない? その絵について感激団をやっても、 そんなに長くしゃべれないと思うんですよ。 でも、いっぱいしゃべることはなくても おすすめしたいとか「よかったよ」って、 それはけっこう言えることで。 映画の場合にも、そういうことが あるんじゃないかと思うんですよね。 1枚の絵みたいに扱っていいんじゃないかと。 |
|||
なるほど、なるほど。 |
|||
ストーリーのほうばかりに 映画を追い込みすぎても、ね。 |
|||
大どんでん返しみたいなのがなくても。 |
|||
複雑な複線をたのしむとか、 それはそれとして。 |
|||
うん。ゆっくりとこう、 魚を焼いていくみたいに素材を網にかけて、 こう、ゆっくり焦がしていくような。 この監督の作品はそういう楽しみでしょう。 |
|||
そうですね。 『めがね』なんかもそうでした。 |
|||
で、あんまり退屈しそうなところには 変なもの出して。 ゆずぽんみたいなアクセント入れてみたりさ。 |
|||
ときどき変なモチーフが入ってきますよね。 体操とか太極拳とか(笑)。 |
|||
それと、いい意味で閉じてるでしょ、 荻上監督の映画って。 『バーバー吉野』なら、あの村だし、 あとは旅館とか食堂とか。 あの閉じた感じがないとつくれない。 そういうのは何かというと、民話なんですよ。 |
|||
民話。 |
|||
本当にあったことが 元っていうか、こう‥‥ 人が生きてることの すごみみたいなのがさ、 やっぱりね、あるんだよ民話には。 そういう気配みたいなものを 見つけてくるのが、 この監督はけっこう上手で‥‥。 軽くやってるんだけど、どこか1点だけ、 ピンスポットで、その気配があるんだよ。 |
|||
気配が。 |
|||
そう、気配。 あとおもしろかったのは、 その閉じた村では信仰の対象として 「天狗」とかじゃなくて 「ハレルヤ」があったでしょ。 |
|||
子どもたちが賛美歌を歌う。 |
|||
そう、それって 異教徒の文化じゃないですか。 |
|||
はい、「なんで?」って ちょっと思いました。 |
|||
その「なんで?」は 「なんで?」のままで 終わっちゃってる。 |
|||
謎解きとか、ないですもんね。 |
|||
それって 「これは嘘の話ですよ」っていう、 サインなのかもしれない。 |
|||
一同 |
ああ〜。 |
||
その辺は、いいですよね。 「嘘のお話ですよ」って ちゃんと言うことは、 全体を本気にさせますから。 |
|||
そういう効果が‥‥。 |
|||
「なんで?」っていうのは |
|||
一同 |
(笑) |
||
いや、 それは本当にそうなんだよ、きっと。 ‥‥おもしろいな。 |
|||
‥‥はい。 なんだか不思議な感激団になりましたが。 |
|||
一同 | (笑) |
||
髪型ひとつで、これだけ話す場を 与えてくれたっていうことは、 この映画はやっぱり成功で、 そして、この座談会はおもしろかった。 これほんとに、やってよかったわ。 |
|||
はい。 |
|||
じゃ、おれは時間がきたので去るよ。(去る) |
|||
‥‥社長、いっちゃいました。 |
|||
はあ〜、おもしろかった。 |
|||
いろんな意味で濃かった(笑)。 |
|||
なんか、すごかったですよね(笑)。 |
|||
なにはともあれ、 最後に映画のお話ができて ほんとうによかったです! |
|||
(おわります!) |
|||
2008-11-28-FRI | |||