永田 |
さて、トリノオリンピック、
フィギュアスケートの話です。 |
刈屋 |
はい。 |
永田 |
男子体操決勝の3時間20分も長いですけど、
フィギュアも長いといえば長いですよね。
それこそ、ショートプログラムが終わって
金メダルを意識し始めてからだと
体操よりも長い。 |
刈屋 |
長いですねー。
しかも当日は、
朝7時くらいから練習があるんですよ。 |
永田 |
ああ、はい。 |
刈屋 |
その練習をちゃんと見て、
お昼近くまで公式練習があって
それが終わって、
半日経った後の夜から試合ですから、
一日が長いんですよね。 |
永田 |
長いですね(笑)。
もっと言うと、ショートプログラムから
競技ははじまっているわけですからね。
とくに女子フィギュアは、
日本で唯一メダルが確実視されている
ともいわれていて。 |
刈屋 |
ええ。 |
永田 |
ということは、もう、刈屋さんは
競技前から金メダルに向けての
シミュレーションというのを
はじめてらっしゃったわけですか。 |
刈屋 |
いや、日本国内では
金メダルかもしれないとか、
メダルを複数取るんじゃないかとか
言われていましたけど、
ぼくは現地に行くまでは、
そんなにかんたんにメダルは取れない
というふうに思ってました。
日本の3人も強力でしたけれど、
やはりイリーナ・スルツカヤがいて、
サーシャ・コーエンがいて、
それからイタリアの
カロリーナ・コストナーという選手がいて。
この3人が完ぺきにやってきたら
日本はへたすると4位、5位かなと。 |
永田 |
うん、うん。 |
刈屋 |
その可能性もかなりあると思ったんですね。
実際に現地に行ったら、
やっぱりスルツカヤにしても
コーエンにしても調子がいいわけです。
しかもイタリアのコストナーが
ものすごく調子がよくて、
や、これはちょっとまずいな、と
ずっと思っていました。 |
永田 |
それはショートプログラムが
はじまる前ですか? |
刈屋 |
そうです。
とにかく、外国人選手の調子がいい。
それで、個人的な印象になりますけれども、
安藤美姫選手はケガの影響もあって
練習不足だったので
10番以内はむずかしいだろうと思ってました。
でも、荒川静香選手と村主章枝選手は
ものすごく状態がよかったですから、
もうこの5人の争いだと。
5人のうちの3人がメダルをとるだろうな
という状態ですね。 |
永田 |
スルツカヤ、コーエン、コストナー、
そして、荒川、村主の5人。 |
刈屋 |
はい。ただ、そこから先はわからない。
朝の公式練習とか、その前の前日練習とか
いろいろ見ていても、その5人のうちの
誰がメダルをとるかというのは
ほんとうにもう、わからないわけですよ。
だから、ショートプログラムに入る時点では
日本人選手がメダルをとる確率は5分の3。
5分の3を、荒川と村主がとれるかどうか。
とくに期待したのは荒川選手ですよね。
荒川の調子がものすごくよかったですから
荒川がひとつでもとれるかどうか、
というくらいの確率だろうと思ってました。 |
永田 |
うーーー、なるほどぉ。 |
刈屋 |
だからメダルを逃す可能性もかなりあると。 |
永田 |
厳しい予測をされてたわけですね。
それはショートプログラムが終わったあとも? |
刈屋 |
いや、ショートプログラムが終わったときに
展開が大きく変わりました。
まず、ショートプログラムで
イタリアのコストナーが大失敗をするんですね。 |
永田 |
ああ、そうでした。 |
刈屋 |
まずそこでコストナーが
メダル圏内から消えた。
すると今度は4分の3になる。 |
永田 |
はい。4分の3。 |
刈屋 |
そしてもうひとつ、
ショートプログラムでは
予想が大きく変わることがありました。 |
永田 |
というと? |
刈屋 |
荒川選手への評価です。
ショートプログラムの点数の出方を見ると
ヨーロッパのジャッジは
荒川の評価がすごく高かったんです。 |
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