「コップのフチ子」「おにぎりん具」など
カプセルトイで大ヒット連発中の
キタンクラブさんが設立15周年を迎えました。
記念動画を映像作家の藤井亮さんに依頼したら
「存在しない国が作った、
ぜんぶウソのガチャガチャのドキュメンタリー」
ができあがり、これまたSNSで大評判でした。
ほぼ日では、渋谷パルコ「ほぼ日曜日」で
この動画にちなんだ展示イベントを開催します。
2022年2月の開催に向けて準備を進めるにあたり、
キタンクラブの古屋大貴さんと藤井亮さんの
キックオフ対談をおこないました。
写真:タケシタトモヒロ
映像作家の藤井亮さんが、
これまたおかしな映像作品を発表しました。
「ほぼ日」にも馴染みの深い、
キタンクラブさんの設立15周年を記念する
「カプセルトイの歴史」という動画でした。
まだご覧になっていないかたは、
おもしろいのでぜひ観てください。
この対談は、動画の後に読むのがおすすめです。
- ──
- ポン・チョモス(こんにちは)。
- ふたり
- ポン・チョモス(こんにちは)。
- ──
- キタンクラブさんの15周年、
このたびはおめでとうございます。
- 古屋
- はい、ありがとうございます。
- ──
- キタンクラブさんのお誕生日が9月25日で、
その日に藤井さんが作った
「カプセルトイの歴史」の映像が、
古代・近代・未来の3本まとめて
公開になったんでしたよね。
- 古屋
- 藤井さんに最初にご相談したのは――、
あれ、きっかけは糸井さんじゃない?
- ──
- なんと!
- 藤井
- そうですよね、たしかTwitterで。
- 古屋
- 糸井さんに
「藤井さんとキタンクラブでなんかやれば?」
みたいな軽いタッチでツイートしていただいて。
- 藤井
- あ、そうでしたそうでした。
- 古屋
- ちょうど映像を作りたいと考えていた頃で、
藤井さんに作っていただいたら
絶対におもしろいなと思って
声をかけさせていただいたんです。
そこから会ってお仕事をお願いしました。
あとは、川村くん(川村元気さん)のやってた
NHKの「オドモTV」でも同じ時期に。
- 藤井
- そうですね、「オドモTV」でも一緒でした。
- 古屋
- 藤井さんが子どもとCMを作るのを見て、
そこが、ぼくにとっての
藤井さんの入口だった気がします。
「うわーっ、おもしろいなあ!」って思って、
そこからYouTubeで藤井さんの作品を
ガーッとしばらく見ちゃいました。
その後に糸井さんがツイートをして、
それがね、1ヶ月の間に起こったんです。
本当、ギューッという感じ。
- 藤井
- ちょうど、そうですね、その時期ですね。
- ──
- それが今年の春頃だったと。
じつはその頃、ぼくから藤井さんに
「ほぼ日でなにか連載しませんか」
というお声がけをしていたんですよ。
打ち合わせはするものの、
テーマが全然決まらなかったんです。
時を同じくして藤井さんから
「キタンクラブさんと動画を作ることになった」
と教えていただいたんです。
それなら動画にまつわる展示イベントを、
ほぼ日曜日でやりましょうかと盛り上がって。
- 古屋
- 全部つながってるんですねえ。
フチ子のときは、タナカカツキさんと一緒に、
糸井さんに見てもらいに行ったんですよ。
チラっと見せたら気に入っていただけて、
「まだ発売前ですよ」って言っていたのに、
糸井さんがその場ですぐツイートしちゃった(笑)。
すぐにドーンって話題になって
あれはほんとにうれしかったなあ。
糸井さんは、ポイントポイントで、
ご縁をつないでいただいて本当にありがたいです。
- ──
- 糸井本人も、まさか自分がきっかけだと
思っていないかもしれませんね。
藤井さんがキタンクラブさんに提案したのは、
公開された「カプセルトイの歴史」の
1方向のみだったんですか。
- 藤井
- あのとき持っていったのは1案だけでした。
お会いしたときにすり合わせをして
いろんな話をしていたんですけど、
結局ぼくが持って行ったのは、
その辺をあんまり汲んでいない感じになって(笑)。
- 古屋
- もう、なかった感じになってました(笑)。
「たとえば、こんなのどうですか?」と
いただいた案が「ウソの歴史」で。
ぼくと会う前くらいから、
藤井さんはツイートでチラッと言っていたんです。
「ウソの歴史展やりたい」みたいな。
- 藤井
- そうそう、架空の博物館を
作れないかなって思ってました。
- 古屋
- だから、あれのことだなと思って。
それがもう自分の中でしっくり来たんです。
ガッチャンコしたんだなあって。
- ──
- ちょうどその頃に
藤井さんが「ほぼ日曜日」にいらして、
ほぼ日の山下とも話したんですよね。
いつかここで、でたらめなことやりましょうって。
- 藤井
- 「ドラえもん」の1コマ拡大鑑賞展を
見に行ったときでしたね。
じぶんが思いついたことと、
タイミングよく結びついたんです。
- 古屋
- ぼくらとしても、15周年とはいっても、
企業の15周年を前に出してアピールするのが
ちょっと嫌だったんで、
全然関係ないことがしたかったんですね。
で、藤井さんからお話をいただいて、
「ガチャガチャのウソの歴史」なんて、
うちにめちゃめちゃ打ってつけだなって。
もう、15周年なんて全然関係ないから、
- ──
- たしかに関係ない(笑)。
- 古屋
- これはいい! っていうのが、
ファーストインプレッションでした。
- ──
- 「15周年」となるとどうしても、
会社の歴史を振り返るような映像が
基本になりそうですもんね。
- 古屋
- 会社の歴史をふざけて作るのか、
今回みたいに全然関係ないものを作るのか、
どっちかだと思うんですよ。
そこは巡り合わせというか、
もう本当にタイミングだったのかな。
糸井さんの声がけもあって、
本当に運命を感じてます(笑)。
- 藤井
- ガチャの歴史の前にもう1個考えていたのが、
会社の歴史を全部10倍にして説明する
ビデオってどうかなと思ったんですよ。
- ──
- 10倍に?
- 藤井
- キタンクラブの15周年を150周年にして、
売上とかも全部10倍にしたりして。
- 古屋
- はいはいはい、
それもおもしろそうですね。
- 藤井
- すごいマジメな会社だったらハマりそうですけど、
もともとキタンクラブさんは
わりと最初からおもしろいことをしているので、
それを10倍にしても微妙だなと思ったんです。
いろいろ考えたのがガチャの歴史だったんです。
- 古屋
- へぇーっ、そうだったんだ。
藤井さんからアイディアをいただいて
ワクワク感しかなかったのと、
藤井さんに全部任せたかったんですよ。
クリエーターのかたにいろいろ言うのは嫌だし、
思ったままに作ってもらうのが一番たのしいんで。
ぼくらがモノを作るときにも熱量を大事にしていて、
脇からいろいろ言われると嫌なのはわかるし。
だから今回は、本当にいい具合にできました。
- ──
- ということは、キタンクラブのみなさんも
ほぼ完成した状態での確認だったんですか。
- 古屋
- ほぼほぼそうですね。
- 藤井
- 最初の企画書とプロット(大まかなストーリー)を
送った後はもうわりと
「こんな感じで、できました」
というような感じですね(笑)。
- 古屋
- 「お金が足りません」っていう相談が
一回ありましたよね。
- 藤井
- 「使いきっちゃいました」って(笑)。
- ──
- (笑)。
- 古屋
- じゃあ追加でお支払いするんで、
駆け抜けてくださいって返したんですよ。
ついに動画ができあがって、
それでもまた藤井さんから
「結局、予算をオーバーしちゃいました」って(笑)。
- ──
- この仕事によって
藤井さんが莫大な富を築いたのではなく。
- 藤井
- 真っ赤っか(笑)。
もらった薪をじゃんじゃん火にくべてしまった。
- ──
- ぜんぶ燃料にしちゃった(笑)。
- 古屋
- でも、本当に素晴らしい作品になりました。
(つづきます)
2021-12-20-MON
大嘘博物館
カプセルトイ2億年の歴史
「カプセルトイの歴史」の世界が、
渋谷パルコ8階「ほぼ日曜日」に
やってくることになりました。
「2億年の歴史」などという、
恐竜が生息していた時代にまで遡って
大まじめなウソを絶賛企画中です。
カプセルトイのイベントですから
回して遊べる、体験型の展示になるはず。
カプセルトイの新説や出土品が、今ここに。
2022年2月11日(金・祝)より開催予定です!
詳細はこちらへ
(C) HOBONICHI