「コップのフチ子」「おにぎりん具」など
カプセルトイで大ヒット連発中の
キタンクラブさんが設立15周年を迎えました。
記念動画を映像作家の藤井亮さんに依頼したら
「存在しない国が作った、
ぜんぶウソのガチャガチャのドキュメンタリー」
ができあがり、これまたSNSで大評判でした。
ほぼ日では、渋谷パルコ「ほぼ日曜日」で
この動画にちなんだ展示イベントを開催します。
2022年2月の開催に向けて準備を進めるにあたり、
キタンクラブの古屋大貴さんと藤井亮さんの
キックオフ対談をおこないました。
写真:タケシタトモヒロ
「カプセルトイの歴史」古代篇は
もうご覧になりましたか。
あっ、全部ウソなんだなって
もうわかりましたよね。
この動画のおもしろさが
よーくわかってきたところで、
古屋さんと藤井さんにとって
ど真ん中世代の近代篇をどうぞ。
- ──
- 野暮なことだと思いつつ伺いますが、
作品の中でたびたび出てくる
「ボコ・ムーカ・スッキ(驚くべき真実)」。
あれって、なんですか。
- 古屋
- ボコ・ムーカ・スッキね(笑)。
- 藤井
- うちの息子が「ぼく、ミカン好き」って
言っていたのを(笑)。
- ──
- ぼく・みかん・すき。
ボク・ムカン・スッキ。
ボコ・ムーカ・スッキ!
- 古屋
- いろいろ出てきますよね、
よくわかんない言葉がね。
- ──
- 「ポン・チョモス(こんにちは)」と
「ポン・チャガール(さようなら)」。
- 藤井
- あれは、語呂の良さだけです。
なにかつながりがあった方が
挨拶っぽいかなと思って。
- ──
- 「こんにちは」と「こんばんは」のように。
- 古屋
- 最後に入っている
次週の予告とかもいいですよね。
- ──
- もう終わりそうなところで、
次週予告がまたそれらしいんですよね。
来週とか、ないのに。
- 古屋
- そう、そうなんですよ(笑)。
国民的歌手だったかな。
- 藤井
- 国民的歌手ピャートン・マテックの
引退ドキュメンタリーでした。
- ──
- 全部ウソだから存在しないんですけど、
どこの国がモチーフなんだろうって
いろいろ想像しちゃいますよね。
藤井さんの頭の中で、
ごちゃ混ぜな国を作ったんですか。
- 藤井
- 架空の国ということなので、
この国ってわからないようにしないと、
どこかから怒られそうな気がします。
- 古屋
- たしかに(笑)。
- ──
- 「世界まる見え! テレビ特捜部」とか
「なるほど! ザ・ワールド」でいつか見た
海外の番組の雰囲気を思い出しました。
- 古屋
- グッチャグチャになってましたね。
最後に入っているうちのCMなんかも、
いろんな国の要素が混ざってますよね。
- 藤井
- なんとなく思ったのは、
民主主義の国ではないだろうなって。
王様が統治しているような国。
- 古屋
- ああ、わかります。
- ──
- 修学旅行で「プメ」を食べたとか。
- 古屋
- プメってね(笑)。
- ──
- どのみち全部意味がわからないので、
逆に気にならなくなってきたんです。
というかそもそも、
ナビゲーターのあの人からして謎ですし。
- 古屋
- あーっ、あの人ね。
キャスティングが絶妙でしたね。
- 藤井
- ちょうどいい外国人のかたって難しくて、
いい人が見つからなかったんですよね。
モデル事務所に所属している人って
「いかにもアメリカ人っぽい人」とか、
けっこう、その国っぽい人が多いので。
- 古屋
- イメージができあがっちゃってる感じだ。
- 藤井
- そういう人の方が仕事は来やすいんでしょうね。
「いかにもその国」っぽい人ばっかりで、
なんかよくわからない感じの人がいなくて。
- ──
- 謎の国を作るのは難しいですね。
- 藤井
- 髪の長い人が見つかったんで、
その人の髪型をちょっと変にしたり、
いろいろ小道具を足して、
それっぽく見せたのがあの方でした。
- 古屋
- いろんな所に細かいネタが
めちゃめちゃ隠れてますよね。
- ──
- 停止しながら見たら、
ツッコミどころが本当にいっぱい。
- 藤井
- 納品する1時間くらい前まで、
ずっと足し続けるっていう作業をしたので。
セリフも吹替だったおかげで、
最後の最後まで引っ張れたんですよ。
音の収録はとにかく一番最後にして、
そこまでになんかできないかなって
ギリギリまでずっと考えていました。
- ──
- 吹替のセリフと字幕の文字を変えれば、
どうにでもできちゃうんですね。
- 藤井
- どうにでもなっちゃいます。
なんとか点数を上げられないか粘ったので、
ひとつ前の編集と比べてもセリフは全然違います。
- ──
- 撮影しているときには、
出演者の方に台本は渡すんですか。
- 藤井
- 一応、演者さんごとに渡してはいるんですけど、
でも、それもやっぱり全部ウソというか、
その場その場でやり過ごしている感じで‥‥。
「実はここに、すごく立派なものが
ある体(てい)でしゃべってください」とか。
- ──
- 最後には編集で変わっちゃうし。
- 藤井
- ナビゲーターのあの人はスペインの人なんです。
「スペインの人たちに向けて
日本の紹介をしてください」と伝えて、
しゃべってもらっていました。
- ──
- 日本の料理はおいしいです、みたいな?
- 藤井
- そう。
で、スペイン語と聴き取れないように、
最後に音を逆再生しています。
- 古屋
- 逆回転させたんだ。
あーっ、おもしろい。
- 藤井
- だから、挨拶も毎回変わってましたね。
- ──
- 「ポン・チョモス(こんにちは)」が?
- 藤井
- 「ポン・チョモス」も「ボコ・ムーカ・スッキ」も
毎回違うものを仮で入れていたんですけど、
なんかピンとこなくて、ずっと変え続けていました。
耳ざわりのよさというか、
口にしたくなる変な単語をずっと探ってましたね。
- ──
- 映像を見た後もずっと残っちゃって、
なかなか消化されないで体の中にいます。
- 古屋
- うん、うん。
- ──
- 「♪ガチャファイタ~、めぇ~ぐぅ~るっ!」
みたいなサウンドも。
- 古屋
- 昔のCⅯのよさがありましたよね(笑)。
「ガチャファイター廻」のグッズ
作りたくなりますもん、やっぱり。
- ──
- 思いきって作ってみては?
- 古屋
- ほぼ日さんとの展覧会で
なんらかは作らせていただこうかなと思って、
それはまた打ち合わせしていきましょうか。
- 藤井
- ソフビとかができると
本当熱いですもんね(笑)。
- 古屋
- うわっ、ソフビねぇーっ!
時間的に間に合わないのが残念ですけど、
人形とかあったらもう完璧なんだよなあ。
(つづきます)
2021-12-21-TUE
大嘘博物館
カプセルトイ2億年の歴史
「カプセルトイの歴史」の世界が、
渋谷パルコ8階「ほぼ日曜日」に
やってくることになりました。
「2億年の歴史」などという、
恐竜が生息していた時代にまで遡って
大まじめなウソを絶賛企画中です。
カプセルトイのイベントですから
回して遊べる、体験型の展示になるはず。
カプセルトイの新説や出土品が、今ここに。
2022年2月11日(金・祝)より開催予定です!
詳細はこちらへ
(C) HOBONICHI