「コップのフチ子」「おにぎりん具」など
カプセルトイで大ヒット連発中の
キタンクラブさんが設立15周年を迎えました。
記念動画を映像作家の藤井亮さんに依頼したら
「存在しない国が作った、
ぜんぶウソのガチャガチャのドキュメンタリー」
ができあがり、これまたSNSで大評判でした。
ほぼ日では、渋谷パルコ「ほぼ日曜日」で
この動画にちなんだ展示イベントを開催します。
2022年2月の開催に向けて準備を進めるにあたり、
キタンクラブの古屋大貴さんと藤井亮さんの
キックオフ対談をおこないました。
写真:タケシタトモヒロ
「カプセルトイの歴史」の締めくくりが、
第3部の未来篇です。
最新の科学(いんちき)と
ガチャの危険性(いんちき)を
とんでもない理屈で説明しています。
おっと、これ以上の説明は無粋ですね。
それではまず、動画からどうぞ。
- ──
- ほぼ日曜日での展示も考えていきたいのですが、
撮影に使用された衣装や小道具は
残っているのでしょうか。
- 藤井
- 衣装とかは全部残していますよ。
でも、『ガチャファイター廻』は
途中で老ファイターになったので、
30年後のものとして全部ボロボロになってます。
- ──
- ボロボロになっていると、
それはそれで貴重に見えていいかも。
- 古屋
- たとえばあの映像の中にあったものも、
一点ものの非売品にしちゃって、
ガラスケースの中に置くのはアリですよね。
- 藤井
- ああ、いいですね。
- 古屋
- 当時の超合金のものまで飾られていたら
めっちゃおもしろいですよね。
超合金はさすがに一点でも作れないけど、
ガラスケースの中で、
“流行っていた感”を出したいですよね。
- 藤井
- 紙物だったらいろいろ作れそうなんで、
いろいろ作ろうかなと思ってます。
- ──
- 動画にないものも追加で?
- 藤井
- はい、追加するつもりです。
「結局お蔵入になったハリウッド版のポスター」
とか、そういうのをチマチマ作ったりしています。
- 古屋
- ああー、いいっすねえ。
ファイターは配役もちょうどよかったですね。
あのうさんくさい感じがいい。
- ──
- ワイドショーのシーンにあった
「ウッソー! シティボーイは新人類?」
とか絶妙な再現力でした。
- 古屋
- 当時のワイドショーって、
本当にああいう感じだったもんね。
- 藤井
- 近代篇は自分のモロに世代なので、
やっぱり80年代、90年代のあたりは、
一番やりやすかったですね。
自分の感覚を全部引っ張ってくる感じでした。
- 古屋
- 「名人」の感じとか、よかったもん。
あの時代には有名人になったけど、
今だったら逆にいないんじゃないかなあ。
いるのかもしれないけど、
『コロコロコミック』の中で収まっていて
昔みたいにテレビには出てこないですよね。
- 藤井
- たしかに。
- 古屋
- でも、それもしょうがないんですよ。
昔にくらべて子どもが減っているんで。
いわゆる王道な玩具も
売上が落ちてるみたいだから。
- 藤井
- ああ、そんなに減ってるんですか。
うちの息子も、放送中の番組は観ないで、
配信ですこし前のを観てるんですよ。
2、3年前の特撮にハマってます。
配信だと毎日でも見られるのがよくて、
テレビ放送だと毎週待たなきゃいけないんで。
- 古屋
- たしかに、たしかに。
- 藤井
- 配信で観ているから、
変身ベルトも売ってないんですよね。
時期がずれちゃってるから。
- ──
- カプセルトイの業界には
ガチャファイターみたいな名人は
存在しないんですか。
- 古屋
- あ、それは藤井さんからも事前に聞かれていて、
過去にもいなかったみたいですよ。
ゲームが流行ってた時代の高橋名人と毛利名人とか、
コカ・コーラのヨーヨーの名人とかね
あそこまで有名な人はいないと思うな。
ヨーヨーは、謎の外国人が全国を回ったんですよ。
名人が町の駄菓子屋に来るんです。
ああいう商売、今はできないだろうなあ。
素敵でしたけどね。
- 藤井
- 絶妙な子ども騙し感がいいですよね。
- 古屋
- もっと昔だったら、
公園にクワガタを売りにくるおじさんとか、
紙芝居のおじさんでしょう?
あと、絵を売るおじさんもいた。
- ──
- 絵を売るおじさんは画家とかではなく?
- 古屋
- その場でサッと描いて売るんです。
昆虫を描いてくれるおじさんもいれば、
マンガの絵を描くおじさんがいて、
それを子どもに売りつけるの(笑)。
今だったら通報されそうじゃないですか。
昭和の真ん中の世代って、
そういう人が町に溢れてたんだから。
- 藤井
- 子どもたちも憧れてましたよね。
- ──
- そういう名人は、今の時代で言うと
YouTuberなんでしょうかね。
- 古屋
- そうそうそう! 変わっちゃったよなあ。
今回の映像でも、近代篇なんかは
80年代の雰囲気がグッと凝縮されていました。
ガチャガチャで「キン消し」が
流行ったのもそのタイミングなんですよね。
ちょうどぼくがキン消し世代でしたし。
- ──
- 動画にもそれらしきものはありましたね。
「金景子(きんけいし)」と
「願景子(がんけいし)」。
それから「杯淵子(はいふちこ)」も。
- 古屋
- そうそうそう。
- 藤井
- ギリギリ怒られないように‥‥。
あれ、怒られなかったのが不思議ですよね。
- ──
- キタンクラブの公式動画なのに、
「杯淵子」が出てくると
「©奇譚クラブ」っていう表記が出る
細かな演出もありました。
- 古屋
- そうそう、細かいよねえ。
- 藤井
- あくまで借りてきた映像ということで。
- ──
- 『ガチャファイター廻』の写真集や
マンガも登場していましたよね。
撮影小物としては表紙だけだったんですか。
- 藤井
- 撮影に使ったのは全部表紙だけです。
あっ、今日これを持ってきたんです。
- 古屋
- わっはっは! これはすげえ。
「作・画茶だいすけ」だ!
- ──
- コロコロコミックのあの雰囲気。
こんなにちゃんと作れちゃうんですね。
- 古屋
- 裏表紙までちゃんと作ってる、すげえーっ!
あっ、この中身さあ、
『鋼の錬金術師』になってんの(笑)。
- 藤井
- まあ、表紙だけなので(笑)。
- ──
- 通常の映像づくりで言ったら、
専門の美術さんに依頼すると思いますが、
監督である藤井さんが描いているんですか。
- 藤井
- そうですね、絵は全部ぼくが描いて、
入稿データとかはデザイナーの人に
作ってもらっているんですけど。
- 古屋
- すっげえ(笑)。
- ──
- 今回の映像全体で藤井さんの役割は、
監督、ディレクター、プランナー‥‥
それから、ええと。
- 藤井
- あとはアニメーションと、
小道具をちょこちょこ作るみたいな感じ。
- ──
- それを全部、監督自ら。
- 古屋
- もう映画の「JUNK HEAD」状態だよ。
- 藤井
- 立体物は基本的に人に頼んでますよ。
衣装とか遺跡のセットとか、
基本的には人に作ってもらっています。
- ──
- 実物の遺跡は、どの程度のサイズなんですか。
- 藤井
- ちっちゃいですよ。両手に収まるぐらい。
だから、それも展示できちゃいます。
- 古屋
- 藤井さんはアドトラックも作ってましたよね。
- 藤井
- ああ、昔やりましたね。
爆破シーンが撮りたくて作ったんです。
- 古屋
- あの作品がぼく、本当に衝撃で。
ずっと走ってるだけなんだけど、おっもしろくて!
- ──
- あのCMも無音で走らせて、
後から音を乗せていますよね。
今回と同じく、ギリギリまで編集できるタイプ。
- 古屋
- ほんとすっごいよなあ。
(つづきます)
2021-12-22-WED
大嘘博物館
カプセルトイ2億年の歴史
「カプセルトイの歴史」の世界が、
渋谷パルコ8階「ほぼ日曜日」に
やってくることになりました。
「2億年の歴史」などという、
恐竜が生息していた時代にまで遡って
大まじめなウソを絶賛企画中です。
カプセルトイのイベントですから
回して遊べる、体験型の展示になるはず。
カプセルトイの新説や出土品が、今ここに。
2022年2月11日(金・祝)より開催予定です!
詳細はこちらへ
(C) HOBONICHI