チェコ・レシピ
こんちゃっす、今回は助っ人だったシェフ武井です。
いやあ、チェコ家庭料理うまかった~。
レストランでだけ食べて「チェコはまずかった」なんて言って
たいへん失礼いたしました。
材料は、ちょっとしたスパイスはチェコならではのものだけど
食材は日本のどのスーパーでも手に入るようなものばかり。
なのに、ちゃんと異国の味なんだよねえ。
料理ってすごいなあ、
順列組み合わせでこんなに変わるんだもん。
食べに来てくださった月光庵さん、末永さん、パンチさん、
御近所のOLまーしゃさん、みんなにも好評でしたよ。
どういう味か、というのが言い表しにくいんですが
すごく「ずしん」とおいしい料理なんです。
チェコの人は食いだめができるっていうけど
なるほどこの料理は、たまる。
(ていうか、食べ過ぎ!? おかわりしたし。)
中継をごらんいただいた皆さんからも
たくさんのメールをいただきました。ありがとうございます!
今回はとくに「レシピを載せて!」という御要望が
多かったです。そりゃそうですよね、
どこにも載ってないものね。
ちなみに、shinoさんのレシピは、
「家政婦歴ン十年」というプラハの家政婦のおばあさんから
直々に教わったものだそうです。
「あの人の料理以上においしいチェコ料理は
知らないくらい!」とshinoさんがいうほどですから
この通りに作ると、その味がかなり再現できるはず。
ぜひお試しください。
チェコにこれから行く予定の人は
マジョラム(マヨランカ) 、クミンシード(クミーン) 、
黒コショウ(ぺプシュ・チェルニー) などのスパイス、
ぜひ買ってくるといいと思います。
とくにマジョラムは、日本で売っているのとは、
かなり風味がちがうみたいですから。
それでは、レシピです。
最後の焼き菓子「コラーチ」だけ、
レシピがないんですが、
(すみません、昨日メモしわすれて……)
これはわかり次第お知らせしますね。
それぞれの料理の感想は
いつもは作り手の主婦リカちゃんにお願いしました。
ではどーぞ!!
■koprova polivka
■コプロヴァ・ポリーフカ
■ディルのスープ
サワークリームの酸味と、
ディルの独特な風味のすっぱいスープ。
koprova omacika(コプロヴァー・オマーチカ)
という肉料理にはソースとしても使います。
●材料(4~5人分)
ディル(生)
じゃがいも 中2~3個
いんげん 100~150グラム
サワークリーム 1カップ(180cc)
小麦粉(薄力粉)
酢
牛乳
スープキューブ
ローリエ(乾燥)
塩・こしょう
●作り方
1)じゃがいもの皮をむいて一口大に切り
水から煮て、ローリエを入れる。
2)沸騰したら斜め切りにしたいんげんを入れる。
3)柔らかくなったらスープキューブを2つ程度入れる
4)サワークリームに牛乳、酢を加えてゆるめた中に
小麦粉を加えた泡立て器でよく混ぜる。
5)4へ、3を加える。
6)みじん切りにしたディルを加える。
市販の生ディルなら半パックていど。
7)塩・こしょうで味を整える。
<<感想>>
真っ白なスープに浮かんだディルの緑色が鮮やかで、
見た目も爽やか。柔らかいジャガイモとインゲン、
クリームが口当たりよく、優しいあじわいです。
サワークリームと酢でかなり酸っぱいのかなと
思いましたが、 そんなに酸味は感じません。
さっぱりしたクリームシチューみたい。
■branborak
■ブランボラーク
■ハッシュドポテト風じゃがいものパンケーキ
ビアホールではつまみとして、レストランでは
肉料理の付け合わせとしてだされます。
たっぷりのニンニクとマジョラムで香りづけしてあり、
ビールとの相性は抜群。子供は牛乳と。
以前はファースト・フードとしてよくスタンドでも
売られていましたが最近は少なくなりました。
●材料(4~5人分)
じゃがいも 大5~6個
卵 1ヶ
小麦粉(薄力粉) 大さじ4~5杯
牛乳 100~200cc
にんにく 4~5かけ
マジョラム 大さじ2~3杯
塩・こしょう
※チーズおろしがね(目の粗いもの/太千切り用)要
●作り方
1)じゃがいもの皮をむいておろし金でささがき状にする。
2)にんにくをすりおろして加える。
3)塩、こしょうを加える。
4)卵を割り入れる。
5)牛乳を少しだけ加える。
6)小麦粉を入れ、硬さを見て牛乳と調整する。
(やわらかめのお好み焼きの生地くらいに)
7)マジョラムを加える。
8)たっぷりの油をフライパンに熱し、
生地をオタマですくって薄く延ばして入れる。
両面がキツネ色になるまで焼く。
<<感想>>
ファストフード店にあるハッシュドポテトを
思い出していただけると、
見た目は想像できると思います。
多めの油で、揚げるようにして
かなりこんがりと茶色くなるまで焼いていました。
周りがカリカリ、 中はフワッで、ほんとおいしい!
ニンニクと塩気、熱々の香ばしさが
口の中でビールを呼びます。 やばい!
マジョラムのすっとする香りのせいか、何枚でもいけそう。
■veprknedrozeri
■ヴェプシュクネドロゼリ
■豚肉・茹でパン・キャベツの盛りあわせ
豚肉(Vper)、茹でパン(Knedrik)、キャベツ(zery)の
盛り合わせによる典型的なチェコ料理の1品です。
茹でパンにはいろいろな種類があり、プレーン、
ホウスカというヴァイオリン型のパンを混ぜたもの、
ジャガイモを混ぜたものなど。
チェコではメインディッシュに対する付け合わせが
かなり厳密に決められていて、例えばシュニッツェルには
マッシュポテト(または、ゆでじゃが)といった具合。
茹でパンとライスは主にソース系の料理と饗され、
揚げ物とあわせることはタブー。
●材料(5~6人分)
◆豚肉(Vper)
豚バラブロック 1kg
クミンシード
塩
ローリエ 1~2枚
水
◆茹でパン(Knedrik)
強力粉 500g
卵 1ケ
牛乳 300cc
ドライイースト 1袋(粉に混ぜて使えるタイプ)
砂糖
◆キャベツ(zeri)
キャベツ 中 1/2~1個
玉ねぎ 中1個
ベーコン 5~6枚
(燻製ベーコンが望ましい)
酢 100cc
小麦粉 大さじ4~5杯
塩・こしょう
バター 20g
ローリエ 2~3枚
スープキューブ 2ケ
●作り方
◆豚肉(Vper)
1)豚バラ肉にたっぷりの塩とクミンをすりこむ。
2)厚手のナベに水を1センチ入れ、肉を置いて
ローリエを加え、弱火でふたをしたまま
1時間以上煮る。
3)途中、水が無くなったら加える。
4)水分がなくなり、充分に肉が柔らかくなったら
肉から出た油で
そのまま肉にすこし焦げ目をつける。
5)肉に焦げ目がついたら、再び水を加え、
鍋はだをこそげ落としてソースをつくる。
◆茹でパン(Knedrik)
1)ドライイーストをまぜた強力粉の
中央をへこませて卵を割り入れ、
塩・砂糖・
人肌にあたためておいた牛乳1カップをくわえ、
少しずつくずし、
残りの牛乳を加減を見ながら加える。
2)1つにまとめてボールに入れ、
ラップまたは濡れふきんをかけて約1時間
暖かいところに置いて第一次発酵させる。
オーブンに発酵機能があればそれを使う。
3)約2倍にふくらんだら二等分して
3センチ厚くらいに平らにし、
端から丸めて棒状にする。
4)そのまま少し寝かせる(第二次発酵)。
5)大きい鍋にたっぷりの湯を沸かし、
約20分、蓋をして茹でる。
(蓋をしないと仕上がりが硬くなります)
6)湯から上げて、木綿糸で切り分ける。
◆キャベツ(zeri)
1)キャベツを千切りにして鍋に入れ、
ローリエをちらし、ひたひたの水で煮る。
くったりしたら弱火にして
スープキューブを入れてさらに煮ておく。
2)タマネギをみじん切りにして、
バターをひいたフライパンでいためる。
3)2が透明になったら
千切りにしたベーコンを加えてさらにいためる。
4)さらに小麦粉を入れていためる。
5)4に、酢を入れて一煮立ちさせたら、
1の鍋にうつす。
6)塩・こしょうで味を整える。
(つけあわせなので、あまり塩辛くしない)
以上を別々につくり、最後に一皿に盛りつける。
茹でパンには、肉汁をしみこませていただく。
<<感想>>
深さのある平皿に白っぽいパン、蒸し豚、
茹でキャベツが乗っている様子は、
これぞ東ヨーロッパ! といったたたずまい(偏見?)。
地味な色目で、ちょっとさみしそう?
でも、これがびっくりするくらいおいしいんです。
キャベツは、ザワークラウトの上級もの、といった感じで、
ベーコンの風味がよく、
これだけでもたくさん食べられます。
大鍋にいっぱい作ったのに、
あっという間に無くなりました。
豚肉は、煮ているとどんどん脂が出てきて、
ほとんど自分の脂で煮上げられているような状態で、
味が凝縮されています。
インド料理のカレーに欠かせないクミンは、
後に残らないさっぱりとした辛みと香りのあるスパイス。
これが豚肉のあぶらっぽさを拭い去ってくれます。
パンはしっとりもちもちとしていて、
蒸しパンに近い食感。
これに、shinoさんから言われるままに、
キャベツと豚肉から出たスープを
しっかりしみこませて食べると…、
お・い・し~~~い!
素朴さゆえに、素材のうまみを堪能できます。
■ovocni knedriky
■オボツニー・クネードリキ
■フルーツ入り茹で団子
今回は苺をくるみますが、他には杏、プルーン、
ブルーベリーなど生の果物を使います。
生地には2種類あって、上記料理の付け合わせと同じ
キヌティーとよばれるイースト菌発酵のもの。
これは中華饅頭の中味が果物になったような感じ。
もう一つ(今回はこちら)は、生地にカテージチーズを
練り混んだちょっとニョッキ風の弾力のある感じのもの。
いずれも、できあがりにトヴァロフというチェコ特産の
カテージチーズと粉砂糖、溶かしバターをかけて
いただきます。
または摺ったケシの実と粉砂糖をかけたり、
胡桃を削ったものと粉砂糖をかけるなど、
各家庭でいろいろなヴァリエーションがあります。
日本ではトヴァロフが手に入らず、
普通のカテージチーズで代用するので、
ちょっと塩気がきつくバランスが
悪くなりますが、大目にみてください。
今回はデザートとしてだしますが、
これはれっきとした一品料理です。
熱いうちに食べてください。
●材料(4人分)
<生地用>
苺 1パック
カッテージチーズ 120g
強力粉 200~300g
バター 50g
卵黄 2個分
牛乳 大さじ4杯
サワーチェリーの缶詰
ベーキングパウダー
サラダ油
<仕上げ用>
カッテージチーズ 200g
溶かしバター 適宜
粉砂糖 適宜
●作り方
1)バターを常温にして卵黄を1個ずつ加えよく混ぜる。
2)あらかじめ水気を切ったカッテージチーズを加える。
3)牛乳を加える。
4)硬さを見ながら強力粉を加えてこね、
ひとまとめにする。
5)イチゴの数に生地を等分する。
6)生地を指で平たくし、イチゴを1個ずつくるむ。
7)台の上に手打ち粉を敷いておき、
軽く転がして団子状に形を整える。
8)大きな鍋に湯をわかし、蓋をして、団子をゆでる。
9)2~3分茹でて浮かんできたら、
さらに6~7分ゆでる。
10)皿にとりわけ、裏ごししたカッテージチーズ、
粉砂糖、溶かしバターを加える。
<<感想>>
イチゴ大福? えっ、茹でるの? などなど、
実際に食べるまで何度レシピを見ても
「?」な料理でした。
黄色いお団子の上に真っ白なカッテージチーズ、
粉砂糖、 さらに溶かしバターがかけられたようすは、
とてもかわいらしい。
ほのかにイチゴの赤が透けて見えたりして。
味の方ですが、カッテージチーズ入りの生地は
弾力もあってもっちり、
イチゴはじょわっと甘酸っぱく、
上にかけられたカッテージチーズと粉砂糖は
やさしい甘さとチーズのこくがあり、
さらに溶かしバターがいい匂い…。
と、説明すると難しいのですが、とても楽しい味です。
shinoさんによると、
これはベジタリアンのための料理だとか。
■korac
■コラーチ
■焼き菓子
典型的なチェコの焼き菓子。
チェコの薄力粉、中力粉、強力粉は、見た目からして
いかにも目の粗さが違います。
お菓子には主に中力粉が使われます。
焼き菓子には大抵フルーツを使います。
以前はフルーツはとても貴重だったので、
大抵の人が庭に(プラハに住んでいる人は別荘の庭に)
果物を植えていて、旬の果物を使ってお菓子を作ったり
コンポート(瓶詰め)にして保存します。
リンゴ、チェリー、杏、洋なし、プルーン、
それにナッツやベリー。特にベリーは種類が豊富で、
赤、黒、白のカシス、ラズベリー、グースベリー、
それぞれをかけあわせたもの、また、ブルーベリーは
山へ行けばいくらでも摘むことができます。
果物の他には、ケシの実を牛乳と砂糖で煮たもの
(ちょっとあんこに似ています)や、
トヴァロフ(カテージチーズ)などをのせて
焼いたりもします。
厳密にコラーチというと、イースト菌で発酵させた
菓子パン(デニッシュ)に近いものをさしますが、
今回はベーキングパウダーで膨らます
ピシュコティと呼ばれる生地に
サワーチェリーをのせて作ります。
●材料(オーブンの天板1枚分)
<生地>
全卵 2~3個(大きさで)
グラニュー糖 60g
サラダ油 50~70cc
牛乳 約200cc
強力粉+薄力粉(半々にして)カップ1杯
ベーキングパウダー 小さじ2杯
サワーチェリーの缶詰 2缶
<トッピング(ジュモウレンカ)>
バター 100g
強力粉 200g
グラニュー糖 100g
●作り方
1)全卵をわりほぐし、
グラニュー糖を加えてよくまぜる。
2)サラダ油を加える。
3)牛乳と粉(薄力粉と強力粉)、
ベーキングパウダーを加える。
様子をみながら交互に加えていき、
とろりとした柔らかめの種に仕上げる。
4)天板にオーブンシートを敷き、種を流し、
全体に広げる。
5)水気をよく切ったチェリーを
種の上にびっしりと並べる。
6)トッピングの材料をボウルに入れ、
指でポロポロにまぜる。
7)チェリーの上からトッピングを
たっぷりとふりかけて
200度のオーブンで約20分
(きつね色になるまで)焼く。
上からかけるポロポロは、いろんな言い方があります。
Zmoulenka(ジュモウレンカ)、Sypany(シパーニー)、
モラビア方言ではDrobenka(ドゥロベンカ)。
分量は目安なので、ポロポロ具合は粉と砂糖で調節。
クリスピーが好きなら砂糖を少し多めにして。
フルーツは、ピーチ、洋なし、杏、プルーンなど
いろいろ試してください。
<<感想>>
クッキーとケーキの中間くらいのケーキ生地に
チェリー(今回はブラックチェリー)が埋まっている、
誰もが好きそうなお菓子です。
柔らかい生地をオーブンの天板に流してチェリーをならべ、
指でぽろぽろに練り合わせた生地を上からかけるという
二種類の生地の違いで、しっとり&サクッ! が
同時に楽しめます。 甘さはそう強くなかったのですが、
甘党の人ならもっと砂糖を入れてもいいかも。
やはりこれもフルーツの酸味のおかげで、
さっぱりとした食べごこちです。
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