福岡県、JR博多駅。
ここから新幹線「さくら」に乗って
前川清さんとの旅はスタートします。
50年前に「内山田洋とクール・ファイブ」が
デビュー曲を録音するために乗った
夜行の寝台特急と名前が同じです。
メンバーのなかでいちばん若かった前川さんは
揺れの大きい寝台車の上段で
一睡もせずにレコーディングに臨んだそうです。
そのとき録音されたのは、あの名曲
「長崎は今日も雨だった」でした。
いまはもう走っていません。
新幹線のほうの「さくら」に、
前川清さんと糸井重里が乗車します。
髙田明さんが乗り込んできました。
さすが新幹線は博多から40分足らずで
熊本まで3人を運びました。
もうすぐセブンティーの同い年3人は、
熊本駅から熊本城に向かいました。
天守閣をはじめ、
多くの石垣や櫓が崩落してしまいました。
まだ「石ころひとつ」動かしていない状態だそうです。
かつて観光のお客さんたちが大勢歩いたこの道は、
崩れた櫓や石垣でふさがれてしまいました。
しかし、本震は夜中の1時だったので、
当時ここには誰ひとりいなかったそうです。
熊本城を案内してくださった
くまもとよかとこ案内人の会の多堀さんは
「あのときはみんなで胸をなでおろしました」
とおっしゃっていました。
熊本城全体の復旧には、
あと18年の歳月がかかると言われています。
なかでも最も修復が進んでいるのは、
お城の天守閣です。
いまの建物は1960年に鉄筋鉄骨コンクリートで
外観復元されたものです。
ですから、文化財ではありません。
しかし、城内にはほかに
重要文化財の櫓や門がいくつかあります。
本来なら重要文化財を優先するのが
修復の順序として正しいのかもしれませんが、
熊本城については、天守閣の修復を
最も急ぐ計画が立てられました。
3年後の2021年には
観光客が天守閣に入れるようになるのだそうです。
なぜ天守閣の計画を急ぐのかと言えば、
寄付をしてくれた人、
熊本をふるさとに思っている人、
観光で見に来た人が、
「熊本城はちゃんと復興をかなえつつあるんだ」と
いちばん実感できるのは天守閣だから。
そのように、ガイドの多堀さんは話してくださいました。
天守閣ができたあとはなお、
「復旧のようすを見ながら観光できるお城」として
熊本城はその存在を輝かせることになりそうです。
熊本城をあとにして、3人はおいしい洋食屋さん
「洋食の店 橋本」へお昼ごはんに向かいます。
そこでJR九州会長の唐池恒二さんと
待ち合わせをしているのです。