7、みやこ町は北九州のみやこだった

スソアキコです。おひさしぶりです。
帽子制作のためにお休みしてしまってすみません!

前回までの、みやこ町編の6回は
初めてみやこ町に来て1日目の出来事で、
今回からようやく2日目に入ります。

2日目は
博物館学芸員の川本さんが車で
案内してくださることになりました。




 
あらためて
私が訪れているのは
福岡県京都郡みやこ町です。

北九州市の南にあって、
大分県とも接している
ほそ長い県境の町です。

みやこ町には宿がないので
昨晩は行橋市(ゆくはしし)の
駅前のホテルに泊まりました。

びっくり!
 
お久しぶりです、みこちゃんです。
というご挨拶もそこそこに、
びっくりしました!
4月のなかばに、
「福岡県みやこ町編、終了でーす。」
とシリーズを締めていたのですが‥‥
終了ではありませんでした!
スソさんの心は、まだみやこ町。
というわけで、
みこちゃんの早とちり、失礼しました。
久しぶりの「ひとり古墳部。」
どうぞおたのしみくださーい。


 
豊前国分寺
朝9時、ややどんよりした曇り空。

ホテルに
車で迎えにきてくださった川本さん。

「実は古墳以外にも重要なものがありまして…」
と言って向かった先は
豊前国分寺(ぶぜんこくぶんじ)。

目の前には
真っ赤な三重の塔がそびえたっていました。

豊前国分寺
 
奈良時代に聖武天皇の勅命によって
全国68箇所に造られた寺院のひとつなの。
豊前国分寺は、天平13年(741年)に建立。
当時は「七重の塔」があったとされているのよ。
ふー‥‥。
ここの解説も久しぶり。
つたない埴輪ですけれど、
なにとぞよろしくお願いいたします。








 
石仏がいっぱい
「七重の塔は、戦国時代に焼失して
 これは江戸に創建されたものです」

「そうですか、新しいのですねー」

なんとなく、
横にある石仏のほうへ
目が引き寄せられていきます。

石仏って‥‥
 
すこし怖いわ‥‥。
だって石仏は、かたい石だから。
一方、埴輪は土なの。
ぶつかったら、割れるのは埴輪‥‥。








 
星座?
そんなわたしを尻目に
川本さんは三重の塔を指差して

「あそこに
 星座のレリーフが見えますか?」と
おっしゃるのです。

「え?」

「ほらほら、
あそこにカニが見えるでしょう!」

「ううう?…なにか..かすかに..?」

カニの写真は川本さん
 

二層目の外壁面に
十二星座の彫刻が施されていますね。

ちなみに、いちばん下にある
とてもクリアなカニの写真は
あとで川本さんが
わざわざメールで送ってくれた一枚なの。
川本さん、ありがとうございました!









 
お庭
鐘楼門や弁天池を眺めながら
静かな境内を散策。

朝、こうしてきれいに手入れされた
お庭を歩くのは、
ゆったりした気分になって
なかなかいいものですねー。

色あざやか
 
まあ、きれいな景色。
すこし、ホッとしますね。
だってスソさんの写真はいつも、
「土の茶色」と「石の灰色」が多いから。
もちろんそれが「ひとり古墳部」の
いいところなのだけれど、
あざやかな景色はやっぱりきれい!








 
三重の塔の中へ
さて、再び塔の前。

川本さんが鍵を開けて
中へ入っていきます。

薄暗いのですが、
なんとなくにぎやかな気配が...

柱まわりにやたらと彫り物が
施されています。
これって職人が
勝手に彫ってしまったのでは?
と思ってしまうような自由奔放なもの。

隅のほうに奈良時代の瓦が
ひっそりと置かれてます。






 
資料館へ
塔を出て、隣の案内所へ。
奥に資料展示室がありました。

出土した古い瓦が並んでいます。

そっか、川本さんは
国分寺があったみやこ町が
かつては北九州の重要な拠点だった
ということをあらためて
伝えたかったのですね!

3タイプの瓦
 
「近畿地方系」「太宰府系」
「朝鮮半島系」があることから、
創建当時には
北九州と近畿や大陸との交流が
あったことがわかるのです。




 
大型古墳に興奮
国分寺を出発し、車で5〜6分ぐらい。

住宅地の中、ちょっと脇道に入っていきます。
その突き当たりに
ピラミッドみたいな古墳が!

彦徳甲塚古墳
 
彦徳甲塚古墳
(けんどくかぶとづかこふん)は、
6世紀後半の円墳よ。
直径は約24mあるの。

‥‥「土の茶色」が、多くなってきたわ。








 
階段を登る
角張って見えて方墳だと思いましたが、
輪郭は丸い!

登ると、
見上げているよりも高さを感じます。
ぐるっとまわりを見渡してみます。

大きさは
 
周辺との標高差は南側で8m、
北側で6mあるのよ。

‥‥どんどん「土の茶色」が。












 
左回りにぐるっー
遠くの山並みが
うっすら見えるところもあって
晴れていれば、
もっとまわりの地形との関係も
わかったのかもしれません。

七重の塔を造ったとき、
これは見えていたのかなー?




 
甲塚方墳へ
「じゃー次、行きましょうか」

と、川本さんの車で出発。
少しなだらかな坂を登ったところで
すーっと、その車は止まりました。

5分ぐらいしか
乗っていなかったかもしれません。

あ、右手前方に古墳らしきものが!

甲塚方墳
 
甲塚方墳(かぶとづかほうふん)ね。
6世紀後半に築造された、
九州最大の方墳です。
約43m×35m、高さ9mという大きさなの。
正確に、東西南北に面して
造られている古墳よ。












 
石室内へ
「ここは中に入れますよー」と川本さん。
横穴式石室の入り口に向かっていきます。

手を広げて迎えてくれる開口部の石積み。
この形は熊本のオブサン古墳の形に
似ているなあ〜。

近づくにつれ、
ぐんぐんと石の大きさを感じます。

横穴石室
 
古墳の南面に、
横穴石室が開口しているのよ。

‥‥「石の灰色」も、きたわ。






 
石室内部へ
前室から玄室へ。

私は以前、
何度か石室で頭を打ったせいもあって
しゃがんで慎重に歩くのが癖になっていますが、
川本さんは慣れた様子で
スタスタと中に入ってしまいました。

広い! 天井も高いです。
下の方は四角く切り出した
大きな石をドンと置いています。

でも、上の方は小さい石を挟んだりして
苦労のあとが見えます。

玄室
 
玄室は正方形に近くて、
一辺約3.7m、高さは4.4mもあるのよ。
古くから開口し盗掘されていて、
出土品は少ないんですって。

‥‥それにしても、石。




 
石室から外へ
床は小さい丸石が敷き詰められています。

石‥‥
 
と、おなじみの景色が続きますが‥‥
それぞれの古墳に、
それぞれの個性があるのです。
スソさんが撮ってきてくれた写真から
微妙な違いを味わってくださいね。
それが「ひとり古墳部。」の醍醐味!

それに、土と石のこの景色、
やっぱり私は落ち着きます。
だってみこちゃん、出土物だから。


 
登りたい!
風通しの良い
気持ちよい場所にある古墳です。

ぜひ、古墳の上に登りたい!

最後にクイズ
 
今回はこのあたりで。

最後にクイズです。
「このあとスソさんは、大人なのに、
 古墳の上に登ろうとするでしょうか?」

‥‥みなさん大正解です!

次週、
「古墳に登るスソさん」をおたのしみに!
土と石の、
いつもの景色でお待ちしていますね!

 
2012-07-15-SUN
 
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