お米が好き♡と に か く 好 き。
あのお米、おいしいよね談義。
──
これまで「お米」に対して、
非常に「意識低い系」だったと言いますか、
漫然と食べていただけだったのが、
「ちいさな田んぼキット」をはじめてから、
気にするようになりました。

意識高い系‥‥とまでは言えませんけど。
小池
いやあ、いいですねぇ。
──
おいしいお米を、探すようになったんです。

郡山の藤田浩志さんの田んぼでつくってる
「あさか舞」をはじめ、
わざわざ、取り寄せて食べてみたりだとか。
柏木
あ、あのお米、おいしかったです!

「コシヒカリだけど、クドクドしてなくて、
 甘いけど、あっさりしてて、いいよね!」
って、お米仲間と話してました。
──
おお、「お米仲間」と。さすがです。

で、そうこうするうち、おいしいお米って、
本当においしいんだな‥‥と、
ま、非常に当たり前のことに気付きまして。
柏木
ほんと、ぜんぜん、ちがいますよね。
お米によって、もう、味から何から。
──
今は今回の「うまけりゃうれるべ市」でも
販売していた、
福島県相馬の佐藤徹広さんのコシヒカリに、
けっこう‥‥ハマっております。
小池
お米って品種もたくさん開発されてるし、
炊き方ひとつで
ぜんぜんちがう表情になりますから、
楽しもうと思ったら、
いくらでも、楽しめるんですよね。
──
以前、原宿でやった「ごはんフェス」のとき
教えていただいたのですが、
「龍の瞳」という、
おもしろいストーリーのお米のことも知って、
お米というのは、奥深いなあと。
小池
ああ、あのお米は、
品種名的には「いのちの壱」と言いまして、
「コシヒカリの突然変異」なんです。
──
龍の瞳のように、粒が大きいんですよね。
小池
そう、ある農家さんが、あるときに、
「あ、なんかちがうぞ」と気づいたんです。
1株だけ変わった稲が生えてるのを。

毎日、田んぼを見て回ってる人だと、
わかるんです、「あ、なんかちがうぞ」と。
──
ちがうというのは、見た目が?
小池
そうです、見た目がちがったんです。

お米の突然変異って、たまに起きるんです。
1株だけ、やたらと背が高いとか、
1株だけ、妙に頭が垂れてるとか、
よくよく見たら、粒がめっちゃデカいとか。
──
隠れキャラのようですね。
柏木
他のお米とならべて比べてみると、
「たしかに、粒が大きい!」って思います。
小池
そういう突然変異を1から増やしていって、
稲として安定させ、
品種登録して販売することがあるんですよ。
──
お米の世界って、すっかりできあがって
代わり映えしない世界かと思いきや、
そうやって、新たな品種も、
どんどん、開発されているんですってね。
小池
今、お話に出た「いのちの壱」というお米は
「龍の瞳」以外にも
「銀の朏(みかづき)」というブランド名で、
販売されています。

粒立ちがよく、水をよく吸うので、
水に浸ける時間が、ほとんどゼロでいいお米。
むしろ、すぐ炊いたほうがよくて、
おじやなんかには、向いてない品種なんです。
──
おいしいんですか。
小池
ハッキリ言って‥‥おいしいです。

比較的めずらしい品種だと思うんですが、
試食会やマルシェなんかで
試食してもらえたら、
まあ、だいたいお買上げいただけますね。
──
小池さんのお店では、売ってますか。
小池
はい、取り扱っています。

他にも「カミアカリ」ってお米があって、
これは、胚芽がすごく大きい。
──
胚芽。
小池
巨大胚芽米と呼ばれているんですが、
うちの店では、
「ぜひ玄米で食べてください」って言って、
お売りしてるお米なんです。
──
玄米から糠(ぬか)層や胚芽を取り除くと、
白米になりますが、
その「胚芽」の部分が‥‥デカい。
小池
玄米ってプチプチして苦手、という人も
けっこういると思うんですが、
カミアカリの場合は、
ちょっと「サクサク」した感じなんです。

ふつうの玄米ご飯とは食感がちがうので、
これなら大丈夫という人も多くて。
──
へえ、食べてみたい。
小池
そのお米も、やっぱり突然変異種で、
静岡県の農家さんが、
あるときに田んぼで「ちがうぞ」と。
柏木
わたし、見学に行ったことあります。
松下明弘さん、ですよね。
小池
あ、そう、見学に行ったの? さすが。
柏木
わたしも、以前お米農家だった時代に、
「イセヒカリ」という
突然変異のお米をつくっていました。
──
柏木さん、お米農家‥‥だったんですか?
柏木
ええ、そうなんです。好きが嵩じて。

で、伊勢湾台風のときに、
コシヒカリが軒並み倒されたとき、
数本だけ
倒されずに生き残った稲があって、
その種を継いでできた品種が、
イセヒカリ、というお米なんです。
──
つまり、風に強い?
柏木
そういうことなのかな?
とにかく、コシヒカリとは、
田んぼでの「立ち姿」がぜんぜんちがって、
コシヒカリに比べて、
イセヒカリは「ごそっ!」っと生えてます。

だから強風にも強いのかもしれませんが、
その見た目のたくましさと、
誕生のストーリーのせいで、
私には、どこか神々しく見えます(笑)。
──
お味のほどは‥‥?
柏木
コシヒカリとそれほどちがいはありません。
おいしいです。わたしは、大好き。

あ、あと、そうそう、先日、
ずっと食べたかったお米を食べんたんです!
──
それは、何という?
柏木
マツヤマミイ。
──
‥‥マミイ?
小池
ええ、漢字では「松山三井」と書きまして、
愛媛に古くからあるお米で、
酒米用として、使われていたりするんです。

粒立ちがりっぱなので、
お寿司にも、よく使われている品種です。
──
なるほど。「マツヤマ・ミイ」ですか。
小池
味は、ササニシキなんかと一緒で、
噛むほどに味わい深くなっていく感じかな。
──
ぼくたち、毎年、穫れたお米を持ち寄って
収穫祭をやってるんですけど、
おととしだったかな、
いろんなお米の食べくらべをやってんです。
柏木
わー、たのしそう!
──
そのとき、あれは何てお米だったんだろう、
四万十のお米が、すごくおいしくて。
小池
にこまる‥‥とかですかね?
柏木
あ、にこまる、おいしいですよね!
──
にこまる。
小池
西のほうで盛んに栽培されているんですけど、
とってもおいしいお米です。

とくに高知の本山町で穫れる「にこまる」は、
毎年、静岡県で行われている
「お米日本一コンテスト IN しずおか」で
コシヒカリ以外で、
はじめて2回、日本一になっている品種です。
──
にこまる‥‥メモしておきます!
小池
コシヒカリの数少ない弱点に、
粒にハリがない、ということがありますが、
でも「にこまる」には、ハリがある。

山形の「つや姫」なんかもそうですけれど、
粒がぷりぷりしていて、
お米を食べているという感覚がありながら、
ほっこり感も甘さも、ちゃんとあって‥‥。
柏木
すいません、小池さんの説明を聞いてたら、
お腹が空いてきちゃいました!
<つづきます>
2017-05-02-TUE