あーちん、糸井重里と釣りに行く。 ~釣りの話をきいてみよう編~

 

糸井 人によってしたい「釣り」というのは、
みんなちがうから、
どういう「釣り」がしたいかは、
やってみないとわかんないんだ。

けど、おそらく、
今あーちんが釣りがしたいと思ってるのは、
釣れたときのうれしさを
味わいたいんじゃないかと思うんだ。

あーちん うん、そうだと思います。

糸井 でね、それが一番おもしろいんだよ。
ぼくもそうなんだ。

朝、鳥が鳴きはじめるくらいの時間が
釣りにちょうどいい時間でね。
それくらいに湖に行くと、ぼくひとりしかいないの。
「人がいないけど鳥が鳴いてるな」なんて思いながら、
釣りをするんだけど、
まだ眠いし、ちょっとぼんやりしてる。
そんなときに、ものすごい図々しい感じで、
ぼくの投げたルアーを「ペン!」って
持っていこうとするヤツがいるんだよ。
「チッ! なんて猛々しいヤツなんだ!」ってね、
思うんだよ。

あーちん (笑)

糸井 だけど、魚と出会ったうれしさがあるんだ。
水の中にいる、その図々しくパーン! と
持っていこうとするヤツは、
ぼくと、もうひとりの生きものなんだよ。
それはもう、会いたい。

あーちん 会いたい、会いたい。

糸井 だから、まぁそいつが釣れたとしたら、
メッチャクチャうれしいよね。
生きものと生きものが出会う。
それがたぶん、
ぼくが釣りでいちばん好きな瞬間かなぁ。
‥‥さらにいうと、
釣った魚が大きいとうれしいんだよ。

あーちん 大きいと、うれしい。

糸井 それも、
なんでだかわかんないんだけどね(笑)。

あーちん うん(笑)。

糸井 あーちんは、ぼくに聞きたいことある?
‥‥ただ勝手にしゃべっちゃった(笑)。

一同 (笑)

あーちん うーん‥‥。
熱帯魚は好きですか?

糸井 熱帯魚はね、水槽で飼ってたことがあるよ。
やめちゃった理由は、
たぶん釣りのほうが
おもしろかったからじゃないかな。
魚を見るのが好きな人は、きっとたのしいよ。
あーちんはどうですか?

あーちん 小っちゃいカラフルな魚が
小っちゃい水槽で泳いでるのが
かわいそうって気もするけど、
水草とか岩とか入れたりするのは、
魚のおうちを作ってるみたいで
おもしろそうだなって。

糸井 そうだね。

あーちん でも、熱帯魚がなんでかわいいのかっていうのは、
たぶんカラフルな小っちゃいものが
ピコピコ動いてて、
生きものが近くにいて、
そこで生きてるのが好きなんだな、と思う。

糸井 生きものが家にいるのはね、
やっぱりうれしいよね。
カラフルじゃなくてもかわいいよ。

あーちん うん。茶色くてもかわいい。

糸井 タナゴとかね。

あーちん ムツゴとかね。

糸井 いいねー。
あーちん、
ほかになにかきいてみたいことはある?

あーちん えぇと‥‥‥‥わかんない(笑)。

糸井 わかんないか(笑)。
まぁ、やったことないもんなぁ。
やっぱり、釣りに行くしかないと思う。
んー、じゃあさ、
つかってない釣り道具があるから、
道具は一式あげるよ。

あーちん おぉーっ!!
え、いいの?

糸井 いっぱいあるんだよ、家に。
もうこれはいいやっていうのをあげる。
で、釣りに行ける状態にセッティングもしよう。

あーちん わぁー、ありがとうございます。

糸井 でね、釣れないと
やっぱりがっかりするから、
その覚悟はしておいて(笑)。

あーちん わかった(笑)。

あ、質問あった。
釣りに行くなら、
どこに行くのがいいですか?

糸井 うーん‥‥。
ぼくの好みにしかならないんだけど、
やっぱり山梨の湖だろうなぁ。
海に行ってもいいんだけど‥‥。
あーちんには、
1本つれたうれしさみたいなのを
味わってもらいたいんだよなぁ‥‥。
うーん、湖も海もどっちもいいなぁ。
まぁ、どっちにしても行くしかないね。

あーちんうん。行く。
糸井さんも、行く?

糸井 ぼくはねぇ、
ちょっと前だったら大丈夫だったんだけど、
正直いうと、今は自信がないんだよ(笑)。
どうせ行くなら
あーちんに釣ったうれしさを感じてもらいたい。
けど、最近どうやら
ぼくの勘がにぶっちゃってるみたいでね‥‥。
釣りを教えるプロに任せたほうが
いいんじゃないかぁ。
ま、湖か海かは、
ぼくがちょっと考えておこう。

あのさ、
あーちんがなんとなくイメージしていた
釣りっていうのは、
どこで、どんな大きさの魚だった?

あーちん うーん‥‥。
「釣り」という単語で、
「どこでやって、どこでやって」っていうのじゃなくて、
「魚が釣りたい」と思ってる。
「魚に会いたい」っていうのがつよいかな。

糸井 うんうん。
ぼくだって、釣りを覚えたてのころは
水たまり見ても、針を投げたかったもん。

一同 (笑)

糸井 もうなに見ても釣りがしたかったもんなぁー。
なにせ、水の中という見えない世界がある。
そこには、
ぼくらとちがう生活をしてる魚というヤツらがいる。
それを想像するのが、まずおもしろい。
そして「その魚たちとどうやったら会えるんだろう?」
ということを考えて実行するのが
「釣り」なんだよ。
針という、
ちょっと痛そうなものを間に置いているけど、
じつは釣りって、人と魚の交流なんだよね。

あーちん ほぉー。

糸井 釣りをする人は魚が好きなんだよ、やっぱり。
「このやろう」と思って
釣ってるわけじゃないんだよね。

あーちん うん。

糸井 ‥‥でさ、釣りのこと話してたら、
やっぱりおれも行きたくなった(笑)。

あーちん わー、ぜひぜひ!
いっしょに行きたいです。

糸井 そうだね。
ひとまず、どこで釣るのか考えておこう。

あーちん わーー! たのしみ!!


(釣りの話をきいてみよう編は終了です。
 このコンテンツは
 あーちんと糸井重里が釣りに行くまでを
 ゆるゆると追いかけていくつもりですが、
 もしかしたら、タイミングが合わなかったりして
 釣りに行くのが難しくなってしまうかもしれません。
 続編があるかもなぁ、くらいの気持ちで
 気長に待っていてくださるとうれしいです)


2014-08-14THU

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