あーちん、放課後に、谷川俊太郎さんと会う。

もくじ

  • 川島小鳥さんのプロフィール
  • あーちんのプロフィール
  • 谷川俊太郎さんのプロフィール

第5回 サインは、考えてる?

あーちん これ、描いてきました。
谷川 あ、『すき好きノート』だ。
見せて、見せて。

※『すき好きノート』‥‥
 谷川俊太郎さんと安野光雅さんが企画した、書き込む本。
 好きなものや好きなことを谷川さんのガイドにそって、
 字や絵でうめていくと1冊の本ができる。
 左から開くと、こどもの「すきノート」で、
 右から開くと、おとなの「好きノート」になっている。
あーちん はい。
谷川 きれいに描いてるね。
(ページをめくりながら)
緑茶が好きなんだ。

あーちん うん、好き。
谷川 ふぅん。
あと、おふとんが好きなんだ。
あーちん はい。
谷川 何月何日生まれだっけ?
あーちん 11月12日。
谷川 ということは、何座?
あーちん さそり座。
谷川 さそり座かぁ。
ぼくも、布団に入るのがすごい好きで、
いて座だから好きなのかなって
思ってたんだけど、ちがうんだ。
さそり座でも、布団に入るの好き?
あーちん うん、好きです。
谷川 いやぁ、すごいね、ちゃんと描いてる。
大人のほうはまだ書いてないんだね。
見せてくれて、ありがとう。
あーちん え? あーちんが持ってかえるの?
谷川 あれ、くれるの?
あーちん そのつもりだった。
けど、後ろのおとなのページ書いてない‥‥。
谷川 じゃあ、おとなのほうのページも
お母さんが書いて、それからもらおう。
この本を担当したひとに見せたいなぁ。
こんなにきれいに描いてあるの、
めったにないからさ。
それで、また返すよ。
あーちん わかった。
谷川 うちには絵本がいっぱいあるんだけど、
見てみる?
あーちん 見たいです!
谷川 じゃぁ、こっちに来て。

(ふたりで書庫に移動)
あーちん わぁー、絵本がいっぱい!
谷川 気に入ったのがあれば、
持ってっていいよ。
あーちん えー、ほんとに?
いいんですか?
ひゃー。
谷川 ゆっくりえらぶといいよ。
あーちん (数分後)
これと、これにします。
谷川 はい、どうぞ。
『くまお』がこんなふうに本になったときにさ、
このひとには読んでほしいなって、
思うひとはいる? 
あーちん あ、いま、
変なこといおうとしちゃった。
「自分」って。
谷川 そうか。
あーちん うーん、
とくにこのひとに読んでほしいっていうのはないかも。
本屋さんに並んでたらうれしいな。
そしたら、『くまお』を知らないひとにも
手にとってもらえるかもしれないから。
谷川 サインは、考えてる?
「サインしてください」っていわれると思うよ。
あーちん あー。
考えてなかった。
谷川 サインがほしいっていうひとが増えるとさ、
一生懸命書いてるとくたびれちゃうから、
かんたんにパッと書けるやつがいいね。
あーちん そっかー。
谷川 ぼく、前までは
フルネームをていねいに書いてたんだけど、
このごろはエコサインにしたんだ。
さっきの本、ちょっと貸してくれる?
あーちん はい。
谷川 (本にサインを書いて)
ほら、こんな感じ。
あーちん わぁ、ありがとうございます!
サイン、考えよう。
谷川 そうするといいよ。
‥‥いま、ほっぺたが
すごくキュッってなってた。
ほっぺた、よく伸びる?
あーちん あーちんのほっぺたは、
すごく伸びるし、やわらかい。
谷川 自慢のほっぺただ。
あーちん そう、自慢のほっぺたなの。


(谷川俊太郎さんとあーちんの対談は、
 これでおしまいです。
 最後まで読んでいただき、
 ありがとうございました。)

2013-11-22-FRI