── 鶺鴒の鳴く季節。


「間八(かんぱち)」、
「とんぶり」
「葡萄(ぶどう)」
「秋の雲」。
いいですね。


間八ね、いいですね。
間八も大人になってからです。
「西日本では『アカハナ』って呼ぶ」
というのはいかがですか。
‥‥聞いたことないです。
そうですか。
「とんぶり」も食わなかったなあ。
とんぶりこそ、大人になるまで‥‥。
── 知らなかったです。
大人になって知ったおいしいものです。
とんぶりが「箒(ほうき)」の実、
というのにまた驚きました。
── ホウキグサなんですね。
へえー。
よく考えると、箒って
つぶつぶの残骸が。
── あります。
あ、それがこれ?!
おいしいですよね、とんぶりって。
「キャビアにも勝るとも劣らない」。
と言われていますが、
まぁ‥‥違うものですよね(笑)。
形と食感は似てるかもしれないけれど
味はあんなに生臭くないですし。
というか、はっきりした味はなく、
おかか醤油かければ
おかか醤油の味になるし。
そう、食感を楽しむものですかね。
── 葡萄、昔は、
ちっちゃくてめんどくさいものじゃ
なかったですか?
ちっちゃくても、種ありましたしね。
大きいぶどうは
もう、ごちそうでしたからね。
巨峰とかマスカットとか。
男の子なんかは、あのちっちゃいのを
何粒もくちに入れて(笑)。
ちなみに、でもこれヨーロッパだと
ワイン用の品種ばかりじゃないですか。
日本ほどには食べるぶどうは作っていない。
ああ、そうでしょうね。
── でも、ギリシャかローマか
ごっちゃになってますけど、
筋肉質の裸の人が後ろからアーンって
美女に食べさせてもらってる‥‥。
あ、ローマ貴族のね!
あの上半身裸の。
あれは食べる品種ですよね。
あれを真似するとしたら最近、
皮ごと食べられるのありますよね。
── 最近は皮に栄養があるって言われて
食べるようになりましたよね。
そうそう、食べる日本の葡萄で、
それこそ江戸料理を調べていたら
甘くない食べ方を
よくしていたっぽいですよ。
果物だけど、和え物にしたりとか。
── へえ! 柿なんかもそうですね。
和え物とか、白和えっぽい。
お酢使ったりとか
けっこうそういう
ご飯のおかずの一品にも
使われてたらしいです。
お彼岸の墓参りすると
葡萄を供えているところが
多かった思い出がありますね。
ちいさい頃、いとこと参ったら
いとこが葡萄好きで
お供えを片っ端から食ってたのを
思いだしました(笑)。
一同 (笑)
── 野葡萄、野生種は
日本は神話の時代からあった、と。
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が
黄泉醜女(よもつしこめ)に
投げつけたとする蒲子(えびかづら)の
実は、野葡萄の一種ではないか、
というくらい古い、と
『飲食事典』にございます。
桃って説もあるんですよね。
葡萄は粒がいっぱいなるから
繁殖力の象徴だったのかもしれませんね。

昔、巨峰って高かったですよね。
マスカットも。
だから、いただきものでしたよね。
お客さんでマスカットくれる人は
いい人だって思ってましたね。
マスカット持ってきはった!
みたいな。
── いまもマスカットは貴重ですが
巨峰はかなり庶民に降りてきましたね。
おいしいまま。
うれしいこと!
ところで関東だと
葡萄は山梨の印象が強いですが‥‥
関西は岡山の葡萄ですね。
桃と葡萄は岡山からって
イメージがありました。
桃太郎も岡山ですよ。
そうですよ、吉備ですよ!
それ不思議ですね。
じゃ、桃太郎の時代から岡山では桃が?
── あれは伝承?
たとえなんですよ、あれ。
まつろわぬ人たちを退治するという
たとえだと言われているんです。
鬼をどう、っていうのは。
キビは、吉備真備(きびのまきび)とか
ああいう古代の人かもしれないですね。
── そして「秋の雲」です。
鱗雲が出ていると悲しくなります。
ほんとに夏が終わったんだな、と。
ぼくはちょっと運動会な感じもします。
あと、プール入るともう
寒いって感じですよね。
空見て鱗雲あると。
── ありがとうございました。
次回は「玄鳥去(つばめ さる)」
9月17日にお会いしましょう。
2012-09-12-WED



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