わたくしども、前回、言いわすれたことが。 |
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そうなんです。言っていいですか? |
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── | どうぞどうぞ。というか、想像がつきました。 「炙りスターターキット」のことですね? |
あら、ばればれ。 |
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すでに「ほぼ日」さんでも 告知をさせていただいておりますが、 われわれ、「くらしのこよみのお店」を ネット上でオープンいたしました。 そこで取り扱う第一弾の商品が 「旬を炙る」というテーマで、 七輪や旬の食材を用意しているんです。 |
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なぜ前回言いたかったかというと、 その旬の食材に、話題に出た 「銀杏(ぎんなん)」が入っているからなんですよ。 |
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「藤九郎ぎんなん」と言いまして。 この銀杏の大きさにはちょっとビックリしますよ。 もともと岐阜の井上藤九郎さんの家の庭に植わっていた 突然変異の樹齢300年のイチョウの木が 大元となっているので、 「藤九郎ぎんなん」と言われているのですが、 粒の大きさだけでなく、照り、形がお見事。 あまり市場に出回っていない逸品です。 炭火でほくほくになった旬の味をお試しいただきたいです。 |
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以上、告知でございました。 失礼いたしました。 |
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── | いえいえ、たのしい情報、ありがとうございました! ではまいりましょう、「金盞香」。 「きんせんか」と言っても 水仙のことである‥‥と。 |
はい。こういうところが 昔の不思議なところで。 |
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旬の食材は「山芋」。 |
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むしろ今って、山芋も、 通年食べられちゃうじゃないですか、 でも、こうやって 季節を言ってくれると ありがたみが増しますよね。 |
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── | やっぱり冬ですよね。 落ち葉も落ちきって、 蔓も枯れ、という時でないと探せないんですよ。 探すポイントは、 山の斜面に行くじゃないですか。 上を見るんですよ。 蔓がぶら下がってる、そこの真下から 掘り進んでいくわけです。 |
採ったことがおありになるんですね。 |
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── | うちの父の趣味のひとつが自然薯掘りなんです。 |
すごい! |
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── | うちの父はとにかく山が好きで 鉄砲かつぐわ、芋掘るわ、茸採るわ。 我が家の食材はそういう感じでした。 |
え、じゃあ、猟をするんですか。 |
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── | はい。やります。 山芋掘りも相当上手です。 |
今でもご実家へ帰ると お父様がお掘りになった‥‥? |
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── | そうですね。まだやってるみたいですよ。 そうやって探すってことは、 相当山が枯れてないと探せないですよね。 本当の自然薯はね、小石を巻き込みながら育つので 砂利みたいなのが入り込んでるんですよ。 それを楊枝でつついて外し、 すり下ろして、卵と味噌汁でのばすと 東海道五十三次・丸子の宿のとろろ汁ができます。 丁子屋っていう、 それこそ江戸時代からある、 浮世絵に描かれている。 |
広重の絵に描いてありますね。 丸子、行きましたわ! おいしかったです。 |
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── | あれ、ものすごく 腹にたまりますよね。 |
たまりますね、ほんと! |
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── | 精力的という印象もあるけれど、 見た目はあっさり、消化が良さそうじゃないですか。 ところがやっぱり腹にたまるんですよ。 街道の宿場町で名物になったってことは よっぽど腹持ちがよくて 元気が出るものなんだなと思い直しました。 |
カロリーも高いんでしょうね。 |
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なんとなく日常的には 長芋でしたっけ、もうちょっと粘りの少ないものを 食べる機会が多くって。 本当の自然薯って、あんまり家で食べる機会が なかったです。 |
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── | 本当の自然薯は すり下ろしたとたん、 箸でつまめるぐらいの粘り。 ぷるんぷるんです。 あとかなり黒いです。 でも山芋って加熱してもおいしいですよね。 アジア全域にそういう料理もありますけど。 |
天ぷらもおいしいですよね。 |
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「薯蕷(じょうよ)まんじゅう」も。 |
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── | 「軽羹」も! |
独特のにおいがしますよね。 わたしは薬臭いと 思っちゃったんだけど(笑)。 |
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── | ああ、なるほど。 産毛が生えてるのを 火で炙るのがいいんですけど、 その時にすでにそのにおいがします。 |
── | そして、旬の魚は‥‥。 |
「甘鯛」ですね。 |
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「グジ」ですね。 |
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甘鯛と聞いて油断してたんですけど、 グジと言った瞬間に盛り上がりますよ。 |
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関西のものって感じですよね。 やっぱり若狭とか中心にした 関西の冬の魚って感じです。 |
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グジぃ!(尻上がり) グジぃですよ、グジぃ。 |
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全員 | グジぃ! |
関東ではあまり食べないですよね。 |
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大人になって、料理屋さんで 食べるようになった感じです。 |
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うちの家の魚のランキングで言うと グジが一番上じゃないですかね。 出てくると「おおー」という感じがあります。 |
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── | どうやっていただいたんですか。 |
塩焼きです。 でも料理屋に行ったら 酒蒸しとかにもするのかな。 |
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味噌つけた焼き物も食べました。 |
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── | やっぱりグジが出る日は 理由があるんですか。 |
なんなんでしょうね。 そんな頻繁に出ないですけどね、 やっぱり。 |
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ご馳走の一種ですか。 |
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高いと思いますよ、きっと。 |
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やっぱりそうなんですね。 |
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── | 静岡の興津鯛も甘鯛ですから 仲間だと思うんですけど、 あれは一夜干しで食べますね。 |
江戸に持っていったからでしょうか。 |
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── | いずれにせよ一尾で買うと高いですよ。 すごくご馳走だと思います。 さて、もう一品、 「カリフラワー」です。 |
冬っぽいっちゃ、冬っぽいですよね。 |
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── | カリフラワーは 茹でずにサラダにしても おいしいです。 いいものは生でいただけます。 ひじょうにおいしいです。 いいのが手に入ったら 試してみてください。 |
やってみます。 これは花‥‥つぼみなんですよね、食べるの。 |
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── | こんなでかいつぼみがあるということは 花が咲いたらどうなるんですか! |
資料によりますと 「肥大したもの」とありますから、 改良していってこうなったんでしょうね。 |
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カリフラワー、ブロッコリー、 アスパラガスあたりが わりと一つのグループって 感じですよね。 |
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時代的にそうです。 昭和四十年代に ニョキニョキ出てきた。 |
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アスパラガスもその頃は 缶詰だったんですよ。 だから旬を感じなかったんですよね。 |
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── | ありがとうございました。 次回は「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」。 11月22日にお会いしましょう。 |
2012-11-17-SAT |