七十二候【第五十候 菊花開 きくの はな ひらく】

各地で菊の品評会や菊まつりが開かれる頃です。
旧暦九月九日は重陽(ちょうよう)の節句。
別名「菊の節句」といい、中国ではこの日、
菊の花を浸した菊花酒で不老長寿を祝う習慣がありました。
それが平安時代に日本へ伝わり、
宮中では高貴な人々が菊花酒を飲みながら
歌を詠み花を競う「菊合わせ」を楽しみました。
菊の花に真綿をかぶせて夜露と香りを移しとる
「被綿」(きせわた)という風雅な習わしも知られています。
── 「銀杏をとる、いちょう畑はあるのか?」問題ですが、
「あります!」というおたよりをいただきました。
あずま女 ええっ!

先日テレビでぎんなん畑をやっていました。
 畑があると知らなかったのでびっくり!
 NHK あさイチで、愛知県じゃなかったかなぁ、
 と思って番組HPをみてみたら、
 愛知県稲沢市祖父江町とありました!
 (しまうま)


イチョウ畑はありますよ~。
 私の知っているところだと、
 愛知県稲沢市祖父江町が産地で、
 「山ひとつ」ではなく「町ひとつ」イチョウです。
 秋に地元のニュースで黄色い風景が流れたりします。
 (かみや)


あずま女

そうでしたか!
愛知県稲沢市祖父江町‥‥。
いちど、その季節に行ってみたいですね。
── さぞや、うつくしく黄金色にかがやく山、
そして‥‥。
あずま女 あの香りが?
京おとこ きっとそうなんでしょうね。
あずま女 しまうまさん、かみやさん、
どうもありがとうございました。
勉強になりました。
─── ということで、「虹蔵不見」でございます。
あずま女 この感覚が、ちょっとわからなかった。
現代人の我々は、
虹が見えなくなる、というのを
意識することが、まず、ないですもの。
すごくロマンチックです。
── つまりにわか雨的なことが
なくなるってことでしょうか。
曇りがちになる?
あずま女 ちなみにこれに対応する言葉が
「虹始見(にじ はじめて あらわる)」。


── 虹って季節の変わり目の象徴なんですね。
もう虹も見えなくなったなと思うと‥‥。
「寒いなあ、冬なんだ」って。
これからずっと空はどんよりだな、
みたいな気分なんでしょうか。
あずま女 風流な挨拶ですよね。
そう言うんですね、きっとね。
「最近もう虹も
 見えなくなりましたね」。
── ただ、東京の空はわりと冬は‥‥。
京おとこ カラッとしてる。
── 晴れますよね。
ただ雨も降らないので
虹が見えません。
そんな季節の旬ですが、
「柳葉魚(ししゃも)」
「喜知次(きちじ)」「大豆」。
京おとこ この間、気仙沼でいただきましたよ。
あずま女 喜知次?
京おとこ 喜知次。おいしかったなあ。
あずま女 おおー。
京おとこ 「キンキ」ともいいますね。
── キンキは仙台の炉端焼きでいただきました。
おいしいですよね。
あずま女 太平洋のものですか。
── 日本海にはいないそうです。
駿河湾以北、北の方がおいしそう。
京おとこ 見た目にきれいなんですよね。
── 赤いんです。かわいいし。
あずま女 きれい。
── で、おいしい。
資料によりますと
「昔は値も張らない『総菜魚』」と!
今は高級魚ですよー。
京おとこ 高いですよね。
── そして柳葉魚もおいしいですね。
あずま女 柳葉魚ってやっぱり、
北の魚って感じですよね。
京都では食べました?
京おとこ ちっさい頃から食べているのは
本柳葉魚じゃなくて
「カペリン」ですよね、多分。
── ん? カペリン?
京おとこ 北欧から輸入してるんですよ、
「カラフトシシャモ」を。
いまわれわれが食べている柳葉魚は
ほぼ、じつは、カペリンです。
別のお魚なんですよ。
柳葉魚は、北海道の太平洋岸の
一部でしかとれないんです。
あずま女 なるほどなるほど。
京おとこ ちなみに、「くらしのこよみのお店」では、
北海道むかわ町の
天然本ししゃもを取り扱ってますよ。
産卵のために川を上る直前の旬です!
── わーっ!
あずま女 ぜひおためしくださいませ。
でも、知らなかったですよね。
あまりに子どもの頃から
流通しちゃってたから。
そんなに北海道に特有の魚だなんて。
── 大豆が枝豆っていうことを
知らない若い人が意外といるように?


あずま女 いっぱいいます。
京おとこ ああー。
あずま女 いますいます。
わたしも子どもの頃知りませんでした。
── 若いうちに採って食べるのが枝豆。
完熟させると大豆。
あずま女 ある時、千葉の畑の
大豆栽培のトラストに参加したんです。
畑でくっついたまま枯らして
枯れたのをようやく刈り取って
「唐簑(とうみ)」っていうんですか、
風でビューンビューンって。
あれでガンガンガンガンやって、
殻を、鞘を飛ばして。
大豆になるまでには
ものすごい手間がかかるってことが
よくわかりました。
── 大豆はもう、偉い!
味噌だってそうだし、
醤油もそうだし。
納豆もこれ戻してふかしてね。
豆腐はいわずもがな。
あずま女 日本の食の、米と大豆はもう!
── 二本柱ですよね。
きな粉も大豆ですからね。
つまり、きな粉と枝豆は兄弟。
でもなんで東北の方だけ
「ずんだ餅」にしたんだろうか。
謎が深まるなあ。
あずま女 最初、びっくりしましたもん。
─── びっくりしました、緑色。
で、甘いっていうのが。
枝豆の印象だと、
しょっぱいものだと思ってたから。
あずま女 そうそうそう(笑)。
── 自分の土地でしょっぱいと思ってたものが
別の土地で甘くなってるとびっくりします。
その代表ですね。
今は慣れちゃったけど。
ところで大豆ですが、
「東京では味をつけずに
 やわらかく煮上げただけのものを
 『みそ豆』と呼ぶ」と?
あずま女 はい。
京おとこ え、煮ただけなんですか。
あずま女 煮ただけですよ。
あと、さっと出汁で煮て
溶き辛子つけて食べる食べ方とか。
── おいしそうですね。
あるいは「五目豆」でしょうか。
おばあちゃん料理の定番でしたね。
箸で食べるの大変なんですけどね。
京おとこ (笑)
あずま女 豆、いっぱい食べた方がいいですよ。
救荒作物ですから。
── そういえば、大豆って、
枝豆の時は縦長なのに
乾燥すると丸くなってますよね。
青大豆もそう。
まんまるのパチンコ玉みたいな形で売ってるのに、
戻すと枝豆になる。
不思議な収縮の仕方をしますね。
あずま女 浸し豆にすると、そうですね。
── ありがとうございました。
豆をいっぱい食べましょう、ということで、
次回は「朔風払葉(きたかぜ このはを はらう)」。
11月27日にお会いしましょう。
2012-11-22-THU
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