── | 「海鼠(なまこ)」「春菊」「チョロギ」、 そして「赤穂浪士」。 年末になってきた感じがいたしますね。 |
海鼠って、今は 普段あんまり食べないじゃないですか。 だけど、日本食としては もうたいへん大事なものなんですよ。 |
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── | そうだったんですか! |
ええ。海鼠はかなり古い時代から 食べているんです。 もう古代から。 平安の初期からは調物(ちょうもつ)と されていたんです。 |
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── | おお! あったかい海の印象がありますね。 それこそ、台湾なんて 海鼠、すごいですよね。 |
あとは小笠原とか。 |
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── | 江戸に来た海鼠は 乾物だったってことでしょうか。 |
はい、いりこ(乾物)にして 食べることが多かったんでしょうね。 生で食べるというよりは。 |
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「海鼠腸(このわた)」も そうですよね。 |
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── | 海鼠腸、うまいですよね! |
うまいっすよね。 |
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「ばちこ」もそう? |
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── | ばちこって何でしたっけ。 あ、「くちこ」とも言われる、アレですか。 |
そうですそうです、海鼠の卵巣ですよね。 三味線の「バチ」みたいな形に干すので 「ばちこ」とも呼ばれるんです。 これがまた酒のつまみに‥‥! どうやってもおいしいから 海鼠ってやっぱり貴重な食材ですね。 えらい! |
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一同 | えらい! でもあの、沖縄の遠浅の海の海底に 一面に海鼠がいたりしますよね‥‥。 |
あれはちょっと‥‥。 |
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── | びっくりしちゃいますね。 そして「春菊」です。 つい去年くらいに思ったんですけど、 春菊ってきわめてハーブ的ですよね。 |
あ、香りが。 |
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── | そうなんです。 だから案外、パスタとか大蒜とかに 合わせてもおいしいんですよ。 |
そうかも! |
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── | サラダに入れてもおいしいです。 |
ああ。 |
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── | 案外使えます。 それにくらべて「チョロギ」。 これ、食習慣がありませんでした。 |
おせちくらいなんですよね。 |
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── | 赤い、くるくるっとした。 |
ソフトクリームみたいな。 |
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── | これって根っこに近い部分なんですね! 意外! 地下茎の一部なんだそうですよ。 |
中国ではよく食べるらしいですね。 日本では元禄以降ですから、 そんなに古くないですよ。 ちなみにこのチョロギの語源は 「朝鮮語でミミズ」だそうです。 |
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── | たしかにちょっと虫っぽいですね。 そして、「赤穂浪士」です。 「義士まつり」の季節なんですよね。 |
そもそもは 討ち入りなんですけど、 いまや、たのしみな行事とすら言えますね。 |
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── | そうですよね、 ドラマやるでしょ、 落語もあるでしょ。 講談にもあるでしょ。 ありとあらゆるものに 赤穂浪士のものがたりがあります。 |
わたし、この一年間、 人間国宝の方の赤穂浪士の講壇を 一ヶ月に一回、聞いているんです。 いろんな語りようがあるみたいです。 エピソードも多くって。 なぜ私たち、こんなに好きなんでしょうね。 |
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好きですよね。 |
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── | 好きです、このドラマ。 |
── | ほんとに忠臣蔵は みなさん好きですよね(笑)。 何度、映画化されて 舞台化されたか。 ワハハ本舗ですらやってますよ。 |
判官贔屓じゃないですけど、 みんな義士側に立って見ますよね。 けど、冷静に考えると変、でもある。 |
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── | 吉良側にだって言い分はあるはずですね。 ただ、ずっと「吉良上野介は感じ悪いやつ」 みたいに描かれてきたから、 それがすりこまれちゃってます。 ぼくは昔のNHKの大河ドラマで 伊丹十三さん演じる吉良が もうほんとうに憎たらしい吉良で、 すばらしいんですけど、 その印象で吉良は悪いやつだって 思い込んでます。 |
はははは。 |
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講談で吉良を 主人公にした話もあるらしいんですけど 吉良の地元じゃなきゃできないらしいです。 |
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── | なるほどー。 国本武春さんの忠臣蔵は聞かれたことありますか。 泣かされますよ~! ぜひ、機会があったら。 チケット取りにくい人ですけど、 すばらしいんですよ。 それと神田山陽さんの 『ねずみ小僧外伝 鼠小僧とサンタクロース』』 っていう新作講談を あわせて聞いて年末のたのしみとしたいんですが なかなか忙しくてそうもいきません。 |
講談はいいですよねえ。 京都の山科でも義士まつりがありますが、 それは大石内蔵助が隠居した地だからですね。 見事に東西でたのしめる話になっているんですよね。 |
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一同 | ああああ! |
全国区で人気があるはずですよ。 |
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なるほどなるほど! |
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赤穂なのにわざわざ京都で 隠居するってすごいですよ。 芸妓遊びとかして、身をかくしている。 |
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── | そんなことを忘れたかのように 振る舞ってたわけですよね。 じつは手紙のやりとりとか してるんですよね。 |
史実とどこまで合ってるのか わからないけど、 うまくできてますよね。 |
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そういう意味ではかなり 手が加わってるでしょうね。 |
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── | 江戸あたりのそういう話って ものすごく想像力をかきたてる 複雑な話が多いですよね。 『24 -TWENTY FOUR』みたいな 構造の話だったりしますもんね。 |
歌舞伎とか文楽の浄瑠璃ができた頃から 話をくっつけますでしょ。 |
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── | そう! |
曽我物語もそうですけれど。 |
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── | どんどん面白いほうに 付け足していったんだろうな、 っていう気配がありますね。 新作も落語の圓朝さんの 『牡丹灯籠』。 複雑怪奇であれこそ『24』ですよ。 |
長寿連載漫画みたいですよね。 |
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── | ああ、そういう文化にふれたい! でも年末進行! ということで、ありがとうございました。 次回は「?魚群(さけの うお むらがる)」。 12月17日にお会いしましょう。 |
2012-12-12-WED |