── | 「きじはじめてなく」。 だんだん、賑やかなことばが。 |
春っぽい感じがしますね。 |
|
春っぽいです。春っぽいけど、 「雉が鳴く」っていう感覚がないです‥‥。 |
|
雉も鳴かずば撃たれまい、って やつですよ(笑)。 |
|
── | たしかに聞いたことないですね。 「ケーン、ケーン」? |
雉は日本の国鳥なんですよ。 |
|
え、そうなんですか。 |
|
雉は国鳥なんです(笑)。 |
|
鴇(とき)じゃないんですね! |
|
── | でも、食べてもいたんですよね、雉。 |
「雉鍋」って聞きますもんね。 |
|
── | 高貴なひとびとが食していたようですね フランス料理のジビエにも、たしか雉はあります。 |
そう。 |
|
── | 雉ではないんですが、この冬、 ピレネーの山鳩を食べました。 「パロンブ」っていうんですが。 |
おお! |
|
獣っぽい味なんですか。 |
|
── | すごく獣っぽいです。 しかも獲る時に鉄砲じゃなくて 網で仕掛けて獲るんですよ。 |
なるほどね、傷つけないように。 |
|
散弾銃で獲るのが普通って聞くから すごいですよね。 |
|
── | うちの父も鉄砲やりますけど、 散弾銃の弾が食肉に残るんですよ。 |
ガリッて。 |
|
フランス料理店はそれを当たりといって むしろいい、くらいのこと言いますよね。 |
|
「ガレット・デ・ロワ」みたいな。 |
|
── | ガレット・デ・ロワも、 ちょっと過ぎちゃいましたが、 この季節ですね! 1月6日でしたっけ。 季節行事というよりは宗教行事ですが 各国、いろいろありますよね。 と、それはさておき、「鱈」も旬です。 |
鱈は鍋ですか。 |
|
「鱈ちり」おいしいですね、 鱈ちりはやっぱり白菜? |
|
白菜でしょうね。 |
|
葱、白菜。 |
|
── | 白滝は入れない? |
入れます、入れます。 あと豆腐と。 豆腐、白菜、白滝、葱、鱈。 全部淡泊な、 冬の日本の淡泊な食べ物が全部、みたいな。 |
|
何しろ、魚へんに雪ですからね。 |
|
美しいですね。 |
|
── | 鱈はきれいですもんね。 真っ白ですもんね。 そのわりに鱈子や白子は こってりしてますよね。 河豚も白子を食べますけど、 鱈の白子もおいしいですよね。 |
意外と骨がごついんですよね、鱈の身。 |
|
そうそうそう! 背骨も太いんですよ。 |
|
淡泊なくせして。 |
|
── | 鍋の時は逆に楽ですね。 すぐ骨がわかるから。 ブランダードの時にね、 干し鱈を戻すときは それが面倒くさいんですけどね。 そして野菜の旬が「水菜」です。 |
鍋のものが どんどん出てくる感じですね。 |
|
── | 水菜、「関東では京菜と呼ばれる。」 ってことは京野菜? |
西の野菜ですよね。 |
|
── | 葉っぱの丸い水菜を 「壬生菜」っていうくらいですから 京野菜なんでしょうね。 |
そうですよね。 わたし、ある程度の年齢まで 食べてないです。 大学生くらいからかなあ。 |
|
あ、そうですか! 水菜はちっさい頃から水菜ですよ。 いまでも「水菜のサラダ」みたいなのがあると 必ず頼んじゃいますね、やっぱり。 シャキシャキ感が好きで。 |
|
こどもの頃から? |
|
こどもの頃からですねえ。 |
|
── | やっぱり鍋ですか、京都は。 |
あと、「ナントカと水菜の炊いたん」の 世界ですよ(笑)。 |
|
── | なるほどね。 「炊いたん」ね。 |
え、水菜を炊く? サッと火を通すだけだから、 かえって難しそうですね。 |
|
それでも味がしみるんですよね。 |
|
── | 一本一本が細いから、 けっこうおつゆを吸うというか、 味を、まとうんですよね。 さて次回は 款冬華(ふきの はな さく)、 いよいよ「大寒」に入りますよー! 1月20日にお会いしましょう。 |
2013-01-15-TUE |