── | 燕が来たから、 鴈が帰る、そんな季節の旬の食材は‥‥ おっ! 来ました! 「鰹(かつお)」です! 初鰹~!! 拍手! |
ぱちぱちぱち。 来ましたねー。 これはもう江戸っ子って感じですよね。 |
|
── | 初鰹と一緒に豆ご飯食べます? |
ううん? |
|
時期が似てるせいじゃないですか。 |
|
── | 静岡だけ? いや、うちだけ? 鰹の刺身には、かならず、えんどう豆のごはん。 |
あ、そう? |
|
── | やっぱりうちだけかな? それにしても鰹はうまいですね。 |
うまいですね。 でも戻りとどっちが好きかっていうと なかなか‥‥そっちも好きで。 |
|
── | あ、戻りの方が 味はいいんじゃないですか。 脂ものっていて。 |
そういう人多いですよね。 |
|
── | ただ、初鰹は うれしくなっちゃう。 そういう食材だと思います。 |
そう! 春来たぞ、っていう感じで。 ちょっとジューシー。 みずみずしい。 |
|
やっぱり「たたき」がおいしいですよね。 |
|
おいしいですね。 |
|
── | たたきもおいしいんだけど、 刺身もいいですよ? 案外みんなたたきにしちゃうんだなあ。 たたきって、大人になってから 「たたくんだぁ」って(笑)。 |
静岡の人はちょいと炙らないの? |
|
── | 炙らないです! |
じゃあもう、生そのまんま? |
|
土佐の皿鉢料理は、 たたきにしますよね。 |
|
── | わからないでもないのは、鰹は虫がいるから。 身にちょこんといると非常に怖いです。 |
激しい食あたりをするんですか。 |
|
── | 食べても大丈夫だっていいますね。 でもじっさい見つけちゃうと、気持ち悪いです。 あれ何でしょう? 米粒みたいな虫。鰹の寄生虫。 ぼくは一回、家で見て、 3年くらい食べられなくなりました。 調べてみましょう。 「テンタクラリア」というものだそうですよ。 |
画像検索したくないですね、それは。 |
|
ヤダね。ヤですね。 |
|
── | でもかわいいっちゃ、かわいい。 ぴょこん! みたいな。 |
うわぁ、ヤダ! 肉の周りにいるんですか。 |
|
── | 寄生は内臓でしょうけど、身にもつきますね。 人には寄生しないそうだから 「食ったって平気だ」って言われて育ちましたが、 ヤなもんはヤですよね。 そのために生姜をいっぱい 使ったりするんでしょうけど、 虫がいると、見た目がよろしくないでございますね。 そんな話はさておき、鰹。 |
形がいいですよね、鰹って。 |
|
紡錘形っていうんですかね。 |
|
── | 魚! って感じがしますよね。 |
うん。ぱつんぱつんで。 |
|
── | 「堅いから『堅魚』と呼ばれていたものが、 なまって『かつお』となった」と。 |
堅くしたんですね。 かつぶしの原型。 |
|
── | 江戸っ子は「かつおぶし」を「かつぶし」って言いますね。 鮮度が早くダメになるということで。 |
水っぽいんですね。 |
|
── | 前回がサザエで今回がカツオ。 磯野家ですね。 |
思えば『サザエさん』は そういうことですか。 |
|
そうです。 |
|
── | あれは長谷川町子先生が妹さんの療養でよく散歩した 福岡・百道(ももち)の海岸で思いついたと。 『サザエさん うちあけ話』に そう書いてありました。 |
あ、そうなんですか! |
|
へえー。なるほどね。 いいですよね。 お父さんが「波」で、 お母さんが「舟」っていうのもいいですね。 |
|
── | いいですよねえ。 そういえば高速道路のサービスエリアに お土産売ってるじゃないですか。 この間、静岡に帰ったら なぜか『サザエさん』のものを いっぱい売ってて。 フネが静岡出身だというだけで! |
おお! そんなことまで 設定があったんですね。 |
|
── | あったんですよ。 それでね、いっぱい売ってました。 ちゃっかりしてる(笑)。 そして、「春キャベツ」です! |
ああー、いいですねー、キャベツ。 |
|
── | やわらかいんですよね。 |
うん。甘くってね。 |
|
── | 冬キャベツもうまいんですが、 硬いんですよね。 |
春は刻んで生が一番かな。 |
|
── | いいですね。 何がお好きですか、 刻んで食べる時の調味料は。 |
とんかつの時はとんかつソースかな。 |
|
── | 醤油もおいしいですよ。春キャベツ。 |
おっ! |
|
えっ! 醤油なんですか? |
|
── | ぜんぶ同じ味になっちゃうのがさびしくて。 できれは醤油もおろし醤油とか ポン酢醤油とかレモン醤油とかがほしい。 半分はソースで食べてもいいけど。 |
とんかつ屋でも キャベツは頼み放題みたいなとこ多いですよね。 |
|
お持ち帰りのときビニール袋に入れて おまけで付けてくれたりとか。 |
|
── | 「とんき」なんかだと 後ろからキャベツおばさんが すかさずヒュッと。 |
そうそうそう(笑)。 とんかつ屋さんのまな板ってすごいですよね。 キャベツ刻むまな板。 溝といいますか、窪地ができてるの! |
|
刻みすぎて! |
|
── | キャベツを刻む係の青年にとっては 春キャベツはうれしいでしょうね。 刻みやすくて。 「春なんだな‥‥」って実感しそう。 さて、「葉山椒」も旬でございます。 |
「木の芽」ですね。 |
|
ちょうど「木の芽立ち」という季節ですもんね。 |
|
── | パーン! ってたたいて香りを出して。 もうすぐ筍が出てくるでしょう、 それより先に山椒が出るんですね。 |
はい。 もう、何に付けてもおいしいですよね。 |
|
── | いい香りですよねえ! 山椒は素晴らしいですね。 実もいいし、葉っぱもいいし。 |
そうそうそう。冬は、 柚子が乗ってないと物足りないけど、 この季節は何にでも山椒が乗っていてほしい。 |
|
── | ああ、毎回腹がへりますね。 ありがとうございました。 次回は「虹始見(にじ はじめて あらわる)」。 4月15日にお会いしましょう。 |
2013-04-10-WED |