紅色の染料や食用油をとるために栽培されるベニバナは、 古代エジプト時代から染料として利用されていたようです。 日本でも、『万葉集』にすでに 「末摘花」としてその名が見られます。 この頃に橙色の花をつけはじめ、 日が経つにつれ花の色は濃い紅に変わります。 一面のベニバナ畑は夏の風物詩ともいえるでしょう。
あすま女 烏柄杓。また知らない植物が。
── うん? 酒肉、野菜を摂らないの?
「物忌みも多かった」と。
ちょっと調べてみます‥‥。
あ、「この日は天から毒気が降ると言われ、
井戸に蓋をして毒気を防いだり、
この日に採った野菜は食べてはいけない」
とされたりしたんだそうですよ!
「また三重県の熊野地方や志摩地方の
 沿岸部などでは、
 ハンゲという妖怪が徘徊する」。
あすま女 コワイ! でも見たい! ハンゲー!。
── 大雨だし、田植えで疲れてるしで、
きっと不調をきたす時期なんでしょうね。
あすま女 いい理由ですよね。
妖怪出るから休もうって。
── 昔の人は休みなんか
なかったんだろうし。
京おとこ 「半夏生休み」ってあったら
嬉しいですよね。
ちょうどこの時期。
あすま女 ゴールデンウィークより
このへんが休みたいかなあ。
── いいですね。
ジメジメしてて、
気圧が低い日は、
体調壊すひとも多いし。
あすま女 梅雨明けは、まだか。
── 「いつこれ晴れるの?」
なんていう挨拶を交わすころですよね。
さあ、おさかなは「蛸」でございます。
「関西では半夏生に蛸を食べる」?
ほんとですか。
京おとこ いや、知りませんでした。
あすま女 野菜食べられないし、
元気の出るものを食べたのかしら。
明石の蛸なんかね、ありますからね。
── ことわざに『麦藁蛸に祭鱧』
(むぎわらだこにまつりはも)ってのがあるそうです。
麦が熟す頃の蛸は特に柔らかくおいしいと。
タウリンがありますからね、
元気になりますね。
蛸おいしい。蛸大好き。
烏賊より好きかも。
京おとこ 東京もたこ焼き屋増えましたよね。
あすま女 増えましたよ~。
── でも、油多すぎないですか? あれ。
あんなに油っこくなくていいと思う。
もうちょっとあっさりめのを食べたいです。
あすま女 焼き、というより、揚げ、という感じですよね。
── おいしいですけどねー。
‥‥なのに、蛸に関して、
あんまり言うことないですね(笑)。
烏賊だといっぱいあるのに。
京おとこ なんでしょうね。
普通に刺身もおいしいし、
蛸のぶつ切りとかもおいしいし。
あすま女 酢蛸も好きですよ。
── スペインやポルトガルの蛸料理もいいですよね。
パプリカふったような、やわらか茹で。
さてそしてやさいは「紫蘇」です。
紫蘇もおいしい!
あすま女 庭で丈夫に育ちますよね。
── 赤紫蘇と青紫蘇とありますよね。
赤紫蘇が本来の姿。
緑色の青紫蘇は変種だそうです。
京おとこ それが「大葉」なんですね。


── 赤紫蘇は
梅干しの色つけに使うものですよね。
あすま女 赤紫蘇は梅干し以外に見ないですね。
なんか使うかなあ。
── 紫蘇ジュースが作れますね。
あすま女 ああ、そっかあ。
── でも何に使ってもいいはずですよ。
「芽や花、実も刺身の
 つまなどに利用される」と。
京おとこ 穂紫蘇もありますよね。
── 穂紫蘇もおいしいですよね。
プキプキしててね。あれは赤紫蘇ですね。
そして「ゆかり」は梅干しで残った赤紫蘇を
乾燥させて粉末にしたものですね。
おいしいですよね、あれ。
ゆかりのおむすびとか大好きです。
紫蘇は「ビタミン・ミネラルが豊富」
漢方では「健胃、鎮咳、発汗」の作用があると。
あすま女 よく「バジリコ」と紫蘇が
似てるっていうじゃないですか。
代用になるのはわかるんですけど
あんまり似てるとは思えないですよね。
京おとこ 似てる感じはしないです。
── 違いますよね。
味違いますね。
バジリコのスパゲッティと
紫蘇のスパゲッティは
似て非なるものですし。
でも同じ科なんじゃなかったでしたっけ。
バジリコはシソ科メボウキ属、
紫蘇はシソ科シソ属。
‥‥なんで「紫蘇」って言うんだろう。
あすま女 由来がちょっと素敵ですよ。
「三国時代、曹操の侍医だった華侘(かだ)が
 瀕死の若者に紫の薬草を与えて
 蘇らせた」ことに由来するんですって。
紫、蘇らせるで紫蘇。
やっぱり生命力の象徴というか。
── なるほど!
さてさて、同じく難しい漢字で、
くだもの「茘枝(ライチー)」です。
あすま女 トロピカル~。
── 茘枝って本当、
中国~! って感じがしますね。
不思議なくらい。
あのかたぁい皮の感じとか
中が白かったりするところとか。
楊貴妃が大好きだったんでしょう?
あすま女 楊貴妃のために玄宗皇帝が
華南から長安まで運ばせたんですよ。
早馬で。
美容効果があるのかしら。
── お好きだったんですね。
そのエピソードもあってか、
やっぱり中国っぽい味を感じますね。
あすま女 「リュウガン」も似てますよね。
── 「龍眼」、似てますね。
台湾で茘枝や龍眼のハチミツ売ってて
とってもおいしいですよ。
日本は沖縄あたりで
ちょっとできるくらいで。
多分、気候的に難しいんでしょうね。
あすま女 難しそう。
── 昔は冷凍が多かったですよね。
「マンゴスチン」なんかも。
なかなか生はなかったですよ。
マンゴスチンはこの10年ですよね、
生が入ってくるようになったのは。
あすま女 そうでしたか。
── さあ、そんなトロピカルフルーツの
季節ですけれど、たのしみは「七夕」です。
七夕は全国区! あ、一部旧暦のところもありますが。


あすま女 全国で笹飾りますかね、やっぱり。
── 松本は人形ですね。
あすま女 ありますね、おっきな人形。
── あやつり人形みたいなのを
飾りますね。
「足長」だったかな、
雨のときは牽牛を背負って川を渡る役割の
人形とかあるんですよね。
ちなみに、七夕は中国、日本、韓国、
ベトナムにもあるそうですよ。
あすま女 ベトナムもやるんだー!
── ベトナムも中国の影響を受けているから?
あすま女 ふうん、なるほど。
もとは中国ですよね。
── 「七夕のルーツは、
 織姫の伝説にあやかって
 裁縫の上達を祈る
 乞巧奠(きっこうでん)という
 行事にあるようです」と。
あすま女 乞巧奠は、冷泉家で有名らしいですよね。
京おとこ どういう行事なんですか。
あすま女 前に写真で見たんですけど
冷泉家のあのお庭に琴を立てて
七色の糸とかいろいろ飾って。
糸は裁縫が上手になるように。
琴は芸事がうまくなるように、かな。
そういうお祈りをする雅な王朝の習わし。
── さすが冷泉家。
そして「乞巧奠」は旧暦で行なうようです。
8月半ばくらいですかね。
あすま女 あ、やっぱり。
── そして陸前高田には
「けんか七夕」というのがあるらしい。
あすま女 それ、すごそうですね(笑)。
京おとこ 御輿なんですかね?
あすま女 笹と笹で戦うんじゃない?(笑)
京おとこ 願いごとの大きさで戦うとか?
── 陸前高田の昨年のHPによりますと、
「今から約900年前から行われている
 気仙町けんか七夕まつり。
 山から切り出した太い藤づるで、
 樹齢50年以上の杉の丸太(舵棒とよばれる)を
 山車にくくりつけ、相手の山車とぶつかりあう
 勇壮な祭りです。
 津波での流出により山車が1台のため、
 けんかはできませんが
 “伝統を途絶えさせない”という熱意と
 “亡くなった人達への供養”のために、
 今年もけんか七夕まつりが開催されます。
 いつの日かまた“けんか”ができる日が
 来ることを信じている熱い情熱と、
 けんか七夕太鼓の力強い鼓動を感じてください。」
‥‥ですって。
昨年は、つな引きで競ったみたいですよ。
また、けんか、できるようになるといいですね。
あすま女 ほんとですね‥‥。
── さて、七夕行事は全国、いろいろあるんですよ。
北野天満宮の七夕祭り、
金刀比羅宮の七夕蹴鞠、
旧暦では仙台の七夕まつりや
秋田県湯沢市の七夕絵どうろうまつりがあったり。
あすま女 仙台は、巨大なアーケード街で。
── 仙台の七夕ね、その時期に行くと
いろんな店が高いんですよ!
お正月みたいな値段になるんですよ。
コーヒー1000円とか。
あすま女 観光値段ですね。
京おとこ 七夕祭りって新暦だと曇ってて、
やっぱり旧暦がいいですよね。
── せっかく短冊を飾って空を見ても
雨だったりしますからね。
旧暦の7月7日だったら
多分晴れるんですよ。梅雨もあけていて。
あすま女 願いごとを書くっていうのは
王朝時代からかしら。
どうなんだろう。
── 平安時代の宮中行事では
短冊に願い事というのはなかったようです。
でも「サトイモの葉にたまった夜つゆを
天の川のしずくとし、墨を溶かして、
梶の葉に和歌を書いて願いごとをした」と。
それが江戸時代に「五節句のひとつ」になって、
全国にひろまって、
梶の葉が、「五色の短冊」になったみたいですよ。
京おとこ いっとき、男女で七夕に
贈り物を贈り合おう的なことを
やり始めた動きがあったじゃないですか。
あすま女 えっ、知りません!
京おとこ 90年代くらいに。
── きっと広告代理店が仕掛けたんですよ!
あすま女 バブルっぽいですねえ。
京おとこ さすがにちょっと無理があるな、
と思って眺めてましたが、
七夕の盛り上げ方ってもう一工夫あっても
いいと思うんですよ。
あすま女 確かにね。
京おとこ こどもが短冊だけではねえ。
あすま女 大人は楽しくないな。
── クリスマスツリーにくらべると
笹の葉は案外すぐしなびるので
それもかなしい。
お化け屋敷のにおいがするし。
京おとこ 笹ね(笑)。
手を切ったりしてね。
あんまりいいことないですね。
── 願いごとバレちゃうし!
情報開示しすぎ?
京おとこ SNSですよ、あれも。
── そっか、あれで昔の人は
「そうか、ナオコさんは
 彼がほしいんだ、
 おいらでどうだい?」
みたいなメッセージボードの
役割があったんのかもね。
あすま女 あー、なるほどー!
今で言うTwitterみたいな。
── そう。
「彼ほしいなう」とか。
仮説ですが。
あすま女 それはおもしろいですね。
── ということでありがとうございました。
次回は「温風至(あつかぜ いたる)」。
7月7日にお会いしましょう。
2013-07-01-MON
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