黒柳さんが話した、 黒柳さんのこと。こんな話は、二度と聞けないと思って。


第2回 カンボジアの長い風呂。
黒柳 酢卵はいかにも体によさそうでしょう、
液体に溶けているのは卵の殻ですから、
カルシウムですから。
糸井 卵を殻ごとバリバリかじるわけにも
いかないですもんね。
黒柳 あんなもん‥‥ありえません、卵の殻なんて。
糸井 我慢すればできるかも。
黒柳 だってあなた、フッ(笑)、
ゆで卵のときにですよ、あの殻をカリカリと
食べる人はいないと思いますよ。
でも、溶ければ、まったく液体ですから。
糸井 それで、黒柳さんは、
酢卵をお作りに?
黒柳 爪や骨なんかにいいと三浦さんがおっしゃるから
わたしは、ずっと作って飲んでましたよ。
そしたら、いつか、骨を測っていただいたら、
ふふん。
一同 (笑)
黒柳 ちょっと、いま笑ったのは
いばってるみたいですけど(笑)、
骨を測っていただいたら、
120%って言われました。
一同 ええええ。
黒柳 骨密度。骨密度、骨密度。
糸井 それはすごいですね。
黒柳 だからね、この間、すっごい勢いで
カンボジアで転んだですけど。
一同 (笑)
黒柳 いいですか? この話で。
糸井 (笑)はい。
黒柳 この前、20年ぶりに
カンボジアに行きましてね。
カンボジアの首都は
プノンペンという街なんですけど、
そこから9時間半も車に乗ってですよ、
こんなぐねぐね道を行きまして。ガタガタと。
糸井 はい、はい。
黒柳 着いた町で、ホテルが一泊
15ドルって言うんです。
いくら物価が安くても15ドルのホテルって、
1500円くらいですから、
南京虫がいてもなにがいても、
まぁしかたがないやと思ったんですけど、
なんと驚くまいことか!
冷房もあって、ベッドもあって、フッ(笑)、
シャワーもあったの!
糸井 15ドルで。
黒柳 15ドルですよ。
そこはものすごく暑いんです、
気温が40度以上で、照り返しがあるから
50度近い。
湿度が75%って言ってた。80%くらいかも。
糸井 それはわりと過酷ですね。
黒柳 そうなの。テレビ朝日の方々が撮影班として
一緒に行ったんですけど、
いまはハイビジョンですからね、
機械が重いんです。
テレビのクルーのみなさんは、
ほんとの力持ちの人たちだろうに、
2時間もすると
「ちょっと休ませてください」
って言っちゃうの。
みんな熱中症になっちゃうから、
こまめに休まないといけないわけです。
それは、ともかくとしてね、
糸井 ともかくとして(笑)。
黒柳 その15ドルの部屋に入ったとき、
さっき言ったようにいろんな設備が整ってて
びっくりしたんだけど、
シャワーがですよ、
うなぎの寝床のように長くなっていたんです。
床はタイルになっていまして、
まず、つきあたりにシャワーがあって、
糸井 はい、はい。
黒柳 真ん中に洋式トイレがあって、
手前に顔を洗う洗面台があります。
糸井 それが、縦に並んでるんですか?
黒柳 そう。向こうから、
シャワーがあって、トイレがあって、
洗面所があって、ドア。
ドアっていうか、フッ(笑)、
ドアはないんだ、
ベッドの部屋からつながる、入口です。
すごく暑いので、わたし、
シャワーに入ったんです。
ジャーって水を流したら、下に穴がないのよ。
糸井 ああ、はぁ‥‥え?
黒柳 下に水の流れていく穴がないから、
あらゆる石けんだのお水だのが
「ダアー」って、
トイレの横通って、洗面台の横通って
行くから、どこ行くのかなと思ったら!
糸井 その縦の部屋が、川になるわけですね。
黒柳 そうそう。それでしかも、
床があんまり斜めになってないから
その辺ビジョビジョになって、
そうしたら!
部屋の出口の右側に、穴があったんです。
糸井 ‥‥じゃ、そこまでは
延々と流れるわけですね。
黒柳 そう。みんなの部屋もそうなってたんだって。
そういう文化なんでしょうね。
でもね、結局ビジョビジョになってるから、
そのタイルは滑るんですよ。
足ふきマットみたいなのも置いてあったんだけど、
それもグッチョグチョに濡れてるわけ。
なんせ、床が坂道になってないから、
シャワーの水が全部「ダアー」っと
マットにしみちゃったわけです。
そこにはゴムぞうりが置いてあったので、
わたしはトイレではゴムぞうりを履いてました。
糸井 それで、それで。
黒柳 その部屋に5日くらいいたんですけど、
帰る前の日の朝、起きたときに何を思ったか、
床が乾いてるように見えたんですよ。
糸井 それは、錯覚だったんですね。
黒柳 わたしは走りました、シャワーのほうに。
糸井 はいはい。
だんだん話が「骨密度」に
近づいてきてますね。
シャワーに向かって、なぜか走って、 この話はつづくので、次回につづきます!

2008-09-02-TUE



まえへ
ほぼ日のホームへ
つぎへ