黒柳さんが話した、 黒柳さんのこと。こんな話は、二度と聞けないと思って。


第3回 あごが、ガーン。
黒柳 フッ(笑)、そしたらね、
シャワーとトイレの間のところで、
ターンと滑ったんです。
わたしはいつも大股で、
歩くのが速いもんですから、
転んだら、すごいんですよ。
一同 (笑)
黒柳 その瞬間に、こっちの左の手を‥‥
ええっと、その前に、
わたしはアフリカのアンゴラに行ってたんです。
糸井 いろんなところに
いらっしゃって(笑)。
黒柳 アフリカのアンゴラへ行って、
飛行機に乗って10時間、
アフリカ大陸を移動しましてね、
機内で手を下にして寝てたらしくて、
肩が外れたみたいになっちゃって、
それが、カンボジアでも痛かったんです。
無意識でそれでかばった、ということも
あったんでしょうけど、
ターンと転んだときに、フッ(笑)、
糸井 はははは。
黒柳 すごいのねぇ、
頭ぶつけるのもイヤだと思ったし、
痛いほうの手をぶつけるのも
イヤだと思ったんで、ターン! って
体をひねったんでしょう、わたしは。
上向きだと頭をぶつけるから、下向きでね。
そしたら、驚きましたね、
右の手をぶつけたのみならず、
左手をかばって、あごが「ガーン」。
一同 (笑)
黒柳 床のタイルのところで
ほんっっっとに、あごが
「ガーン」っていったんですよ。
糸井 ははははははは、
あの(涙)、笑っては失礼なんですけど、
すごいことになっちゃったんですね。
黒柳 そうよ、しかも、朝早くにね?
ほんとにね、
「ああー、やっちゃったぁー」
っていうのは、
こういうときに言うんだなぁ、と思って、
「やっちゃったぁー」って、
わたしは言ったんです。
糸井 痛みはすごかったんですか?
黒柳 痛いというよりも、もう完全に
折れたかなにか、したと思ったんです。
だって、全体重があごにかかったんですからね?
このあごですよ?
「ガーン」
「ア・ア・ア・ア・ア‥‥」となって。
糸井 そんな、うがいみたいな。
黒柳 最初の瞬間は
痛いのかなんだかわかんなくて、
「ア・ア・ア・ア・ア‥‥」
一同 (笑)
黒柳 「ア・ア・ア・ア・ア‥‥」
糸井 (笑)
黒柳 ああ、これはやっちゃったな、と思いました。
もしも骨が折れてたら、また
9時間半かかってプノンペンまで
行かなきゃなんない。
プノンペンではそんな治療をする病院が
ないかもしれないから、きっと飛行機に乗って
タイに行かなきゃなんない。
ユニセフの親善大使として行ってるのに、
わたしがいないままにお話したり撮影したり、
そんなこと、みんなやってられないでしょ。
「やっだなぁ」と思って、
ゆっくり、半分起き上がりながら
あごを触ったら、折れてなかったの!
「んまぁ、よかったぁ」と思いました。
糸井 わたしのあごは大丈夫(笑)。
黒柳 それで、「ア・ア・ア・ア・ア‥‥」と
思ったあと、
糸井 さっきから、その
「ア・ア・ア・ア・ア‥‥」が
おかしいです。
黒柳 「ア・ア・ア・ア・ア‥‥」
一同 (笑)
黒柳 人間って、おかしいのよね、
朝の5時半とか、起き抜けのときは、
走ったらいけないの。
その瞬間って、ダメなのよ。
糸井 ははははは。
黒柳 「ランララーン」とか半分歌いながら、
わたし、走ったの。
それがいけなかったんだけど、
でもね、そのときに思いました。
「ああ、わたし、
 骨密度120って言われたんだな」
って。これ、普通の人だったら折れてますね。
一同 (笑)
黒柳 あごが「ガーン」とか「ゴーン」って、
いったんですよ。
で、それからが大変なんですけどね、
糸井 まだ大変なんですか。
黒柳 転んだことを人に言うと、
また「大変だ、大変だ」って言われるでしょ?
「どうしたんですか?」「大丈夫ですか?」
って、いろんなことを言われれるのが嫌だから、
これは冷やしたいなと思ったんです。
そのままにしておくと、きっと
すごく腫れたりするだろうからね。
でも、そしたらわたし、その日に限って、
朝ごはんを食べようかな、と思ったんです。
糸井 え、さっきまであんなにめげてたのに、
朝ごはん‥‥(笑)。
黒柳 そりゃ、そう。
いつもは食べに行かないんですけど、
そんな日は、いつもそうします。
糸井 回復するんですね。
黒柳 はやい、はやい、
こころは回復。
あごが痛い話の展開、次回につづきます!

2008-09-03-WED



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