糸井 | 「徹子の部屋」は、放映 7000回でしたっけ? |
黒柳 | そうですね、8500に近づいてます。 |
糸井 | ぼくのデータは古いですね(笑)。 よく考えると、その分量って、 ちょっと笑っちゃうくらいですね。 |
黒柳 | いちばんすごいことは、やっぱり 8500枚の洋服を着たということです。 |
糸井 | そうだ。そうですね。 |
黒柳 | 毎回変えてるから。 8000回までは自分の洋服で やってたんですけども。 |
一同 | (驚) |
黒柳 | あの番組は、スタイリストさんがいないんです。 だいたい、昔はスタイリストってシステムが なかったですから、 しかも、ゲストが何を着てくるかまでは 想像できないでしょ? |
糸井 | うん、うん。 |
黒柳 | わたしは、ゲストを考えて 自分の服装を決めるようにしています。 「あの方は黒っぽいものに違いないから、 わたしも黒いもの着ていったら、 両方黒いじゃつまんないわね、 ちょっと花模様にしようかしら」 とかね。相手より派手じゃないけど、 ふたりで写ったとき、 コントラストがいいように。 だから、ゲストとわたしの両方が 水玉になったり、花模様になったことは 一度もないです。8000回やっても。 |
糸井 | 8000でねぇ。 |
黒柳 | でも、8000回すぎたあたりから、 頼んで借りてきていただくようにしました。 借りてきていただく人はいるけど、 でも、スタイリストはいません。 借りてきたものと自分の洋服をあわせた中から、 今日の人には何を着ようかと 自分で選ぶようにしています。 |
糸井 | じゃあ、これまでの8000着は? |
黒柳 | 日本の施設で育った子どもたちがいるでしょ。 |
糸井 | はい。 |
黒柳 | 日本の施設‥‥というか、日本の国って とても変わっててね、 施設で中学まで育って 高校に行こうとして試験受けて入れた子、 その子は、そのまんま施設にいられるんです。 だけど、入学試験に落ちちゃったり、 中学出て働こうと思った子は 施設を出なきゃいけないんです。 中学3年で、ですよ。 |
糸井 | そうなんですか。 |
黒柳 | そうすると、中学の3年間が終わったところで 15歳の子どもが 寝るところ、食べるところ、 仕事するところをその日のうちに探せ、 という状況になります。 そんなこと言われたって なんにも手に職がないんですから、 難しいでしょ。 |
糸井 | はい。 |
黒柳 | だから、もう、 みんなどうしていいかわからなくて 犯罪に手を染めたり 悪いことの手先になっちゃったり することがあります。 だけど、家があれば、みんな 仕事が見つかるまでそこにいることができます。 家族がないわけだから 日曜日に遊びに来たりするのにも、いいでしょ? そういう経験をした子どもたちが 「うちがほしい」と言っている、という話を 30年前に聞いたんです。 だったら、わたしのお洋服を バザーで売ればいいんじゃないかな、 ということになって、そうしたら、 日本橋の高島屋さんが クリスマスの前後に1週間、 場所を貸してくださるようになったんです。 ほかの子たちが集めてきたものを お洋服といっしょに売って、 そのお金で、おうちが3軒建ちました。 |
糸井 | すごいですね。 |
黒柳 | ま、そんな大きいうちじゃないんです、 普通のおうちみたいなところですけどね。 だけど、1年で300枚の洋服を出したとしても、 6日間だと1日50枚ですからね、 50人の人が来たらおしまいです。 |
糸井 | そっか。 |
黒柳 | けっこう大変なんですよ。 ですから「世界ふしぎ発見!」で、 トップ賞が出たときは、ほんとにいいんです。 トップ賞も一緒に バザーに出してたからね(笑)。 だけど、ずっとこの何年間、 トップ賞がもらえないシステムになったの。 でも、先週くらいから トップ賞をまたもらえることになって、 なんとかトップ賞を稼ぐことができそうです。 |
糸井 | それも仕事なんですね。 |
黒柳 | そうですよ。 それは「青少年と共に歩む会」というんですけど そこに出すために、 絶対トップ賞をもらおうと思って、 いつも必死です。 |
糸井 | 張り合いがありますね。 |
黒柳 | ありますよ。だけどね、 「世界ふしぎ発見!」では、このごろ 三択問題というのがあるんですよ。 あれがダメなんです。 わたしの性格を ほんっっとに、のみ込んだんです、 担当の人が。 |
糸井 | ははは。 黒柳さんは三択が苦手だと。 |
黒柳 | もぅ〜、あたらない。 どうしちゃったんだろう。 野々村くんだって、あたってるのよ。 野々村くんは 「考えなくていいだけいいです、 だって、3つある中のどれかだったら 30%の確率ですよ」 って言うの。 |
糸井 | たしかに。 |
黒柳 | でも、考えても考えても、 回答者の中で、いちばん間違ってるんです。 司会の草野仁さんがね、 「黒柳さん、最初から三択を イヤだと思ってるでしょう。 イヤだと思ってるから、ダメなんです。 だから、いいなぁ、好きだぁ、って 思ったらどうですか」 って言うんです。 だから、思ってもみたの、 三択が「好きだぁ」って。 |
一同 | (笑) |
黒柳 | もしかしたら、わたしは 人が作った3つの答えに 自分をあてはめようということが 嫌なんだろうな、と思うんです。 でも、どうして正しくあたらないのかな。 あれこれ考えて 「考えすぎじゃない?」 と、みんなに言われるんだけど、 考えすぎなんてこと、 世の中にないんですからね。 ほんとに考えたらあたるはずなんだから。 |
糸井 | 問題を作る側からすると、 黒柳さんが答えそうなことをまず考えて、 それを×にするように 作ればいいんですよね。 |
黒柳 | そうなの、そうなの! 必ず、わたしが、 これを選ぶだろういうことを、 みんながわかっちゃったのね。 また、それをわたしがね、ご丁寧に 「それ」って言っちゃうの。 |
糸井 | ちゃんとね(笑)。 |
黒柳 | そうしたら、みんなが裏で喜ぶの。 「世界ふしぎ発見!」の問題は、 答えを教えてもらってるんでしょ、って よく言われるんだけど、とんでもない。 それどころが、スタッフのみんなは、 わたしにあてさせたくなくて、 燃えてやってるわけです。 だって、パーフェクトが出たりすると、 その回の担当ディレクターが 「わわわー」ってみんなに言われるからね。 すごく悔しいわけでしょう。 だから、もう、上手に三択を作って(笑)。 |
2008-09-17-WED