21世紀の
向田邦子をつくろう。

<野望篇>

第16回 2日目はツライんです‥‥

お楽しみいただいております「ほぼ日ネットドラマ」。
もう間もなく放送終了となってしまいます(3/14まで)。

さびしいっ!
劇団の旗揚げ公演が終わったときは皆で泣いたものですが、
今回は僕一人で泣くのでしょうか。

でも逆に、デビュー作がこれだけ長い間に渡って
大勢の人の目に晒されているというのは非常に幸福です。
テレビでの放送は一回こっきりですからねえ。

えー、さて、撮影初日に捻挫した愚かなゴム岡本ですが、
2日目はそりゃもう最悪でした。

朝6時。ベッドで目を覚ますと、金縛りです。
げげ!? 起きれない!
で、体を色々動かしてみるとどうやら金縛りではない。
うむ、相変わらず右足は捻挫の腫れで痛い。それは分かる。
じゃあなぜ起きあがれないのだろう? でも起きなきゃ。
すると、

ピキッ!

こ、腰!?
前日に足首をかばいすぎたのか、
今度は腰に来てしまいました。
全く動きません。
腰が動かないということは、起きれない、歩けない、
手が上がらない、首が回らない、などなど色々併発します。

しかし撮影には行かねばなりません(当たり前)。
電車を乗り継ぎ、目指すは山手線・目白駅。
電車の揺れが腰に響きます。座るのも億劫です。
立ってるのがやっとです。
鞄から本も出せない(体をひねらなければならないので)。
で、なんとか着いた駅。現場はそこから徒歩5分。

5分!? そんなに歩けない‥‥。
僕は右足を引きずり、腰をかばい、
ちびちびと歩いてタクシー乗り場へ。
そして乗車。
あっという間に現場に到着。もちろん650円(初乗り料金)。
岡本「あ、すみません、1万円札しかないんです‥‥」
運転手「いいよ、小銭いくらある?」
岡本「え? あ、200円です」
運転手「それだけ頂戴。いいから、いいから」

どうやら運転手さんは僕が体の不自由な人に見えたらしく、
料金をまけてくれたようなんです。
都内のタクシーを200円で乗った人間は、
昭和20年代以降には僕しかいないんじゃないでしょうか。
ああ、良心の呵責が‥‥。



↑2日目の現場は、美術室のシーン。
全ての窓に黒紙を貼り、カーテンを閉めて無理やり夜に。
床に見えている黒い線2本はレールです。
ああ、愛しのレール‥‥。
画面をブレさせずにカメラ移動を行うためのものですが、
僕はどうにもこうにもレールフェチ。
雑誌『Amuse』最新号「廃線特集」は当然購入しました。
(↑つまり撮影用とは限らない。線路であればなんでもOK)
近づきたい。けれど腰が、腰がぁ‥‥。



↑左側がマカベ役の堀部君だ!
演出家高野氏をして「やばい、惚れそうだ」と言わしめた
「美形なのにキュート」な17才。
右奥にいるのは‥‥。ドラマを見て下さいませませ



↑本番中にモニターを注視するのは演出だけではないです。
メイクさん(右)も、じぃーっと確認。
左の僕は、座ることができない‥‥。
「腰は一度やると一生付き合うからねえ」
「そんなに痛いのなら、病院行かないと命に関わる」
 などなど大変脅されたりしながら。





↑ぼかあ歩いたっすよ。必死で動いたっすよ。
クライマックス・シーンだから役者さんも悩んでるし、
一生懸命に説明して、動きまで付けちゃったりして、
ぼかあ舞ったっすよ。
でも、演出してる時ってテンション上がってて
腰なんか足首なんか痛くないのですよ。
で、説明を終えてさあ持ち場へ戻るぞ、
って段になって激痛が駆け抜けるのですよ。
「うがあ! 動けません!」
「岡本さん?」
スタッフさんが駆け寄ってくれます。
だって、僕がそのまま倒れて機材や道具類を壊されたら
たまらないですものね。



↑犬か猫か分かりませんが、ここに住んでいるようです。
こいつ、なかなかな役者です。
ドアが開いて女子高生が出ていくシーンを撮影中
その開いたドアから入ってきたりとナイスなムードメイク。
僕は動物が割と苦手なんですが、
動けないのでこいつが近寄ってきてもよけられません。
なされるがままでした。


「意地でも明日には治してきてやる」と
心に誓ったゴムでしたが‥‥


岡本さんへの直接メールはこちらへ:
okamoto@tacoashi.com

2001-03-10-SAT

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