[糸井]
このチアガールの写真は、なんだか妙に味がありますね。

[うめ]
あ、それ、かわいい。



[アニ]
そうッスか。

[糸井]
暗いんですけど、すっごく明るいですよね。

[うめ]
あはははは。



[アニ]
あれです。
野球、見に行ったときの。

[糸井]
あれだ、試合の途中で踊りに出てくる人たち。

[うめ]
はいはい。

[アニ]
7回とかに、踊る直前のところです。

[うめ]
なんでそんなところに居合わせたんですか?

[アニ]
なんか、トイレに行こうとしたら、ちょうど並んで出番を待ってた。

[うめ]
すごーい。

[糸井]
なんていうか、この、ゆるさがいいですよね。
美人の具合とか、腰のくびれ具合も、ちょうどいい感じの親しみやすさで。

[アニ]
ははははは。

[うめ]
うん。すごく、いい。
この写真、いいと思ったんですよ。

[糸井]
あ、やっぱり?

[うめ]
はい。目が止まりましたね。

[糸井]
そういえば、アニさんの写真の中にはこういう「他人」があんまり出てこないね。

[アニ]
そうですね。

[糸井]
うめちゃんの写真集は「他人」ばっかりだけど。

[うめ]
え? この本のなかに
「他人」って、いないんですか?

[アニ]
いることはいますよ。子どもとか。

[糸井]
オトナの「他人」を撮るのはたいへんだから。

[アニ]
そうッスね。

[うめ]
うん。

[糸井]
度胸がいるよね。
この、チアガールの写真にしても、相手はサービスしてくれる立場とはいえ、いちおうは他人だから、軽く緊張しながらシャッター切ってますよね。

[アニ]
はい。

[糸井]
角度を変えてもう1枚、なんてことはできないでしょ。

[アニ]
そうッスね。何枚も撮れないです。

[糸井]
たぶん、こちらの、うめ先生はね、覚悟を決めて何枚も撮ってると思うんですよね。

[うめ]
いや、そうでもないですよ。

[糸井]
あ、そうでもないんですか。

[うめ]
1枚のときのほうが多いですね。

[糸井]
はぁー。それはそれですごいなぁ。

[うめ]
とくに『うめめ』の写真はほとんど1枚ですね。

[糸井]
それは、怖ろしいとさえいえる。

[うめ]
なんか、写真って、撮るとき、気まずいことのほうが多いので。



[糸井]
「気まずい」。

[うめ]
はい。気まずくないですか。

[糸井]
「気まずい」って、新しいキーワードだね。

[アニ]
ははははは。

[うめ]
あんまり撮ると、気まずいですよ。

[糸井]
いや、ぼくらはもちろん気まずいですけど、プロの人は違うと思ってた。
気まずくても、撮るとなったら、5枚や6枚撮るものかと。

[うめ]
そうなんですよ。たぶん、そうなんですよね。
だから、わたし、プロじゃないかもしれない。

[糸井]
じゃあ、うめ先生は、いつも1枚ですか?

[うめ]
1枚じゃないときもあるけど、でも、1枚とか2枚とか、多いですね。
気まずくなるのが、いやなので。

[糸井]
わかります、それは。
わたしどもは、写真家ではない立場なんで。

[アニ]
はい。

[糸井]
写真家の人は気まずくないんだなぁ、それがプロなのかなぁと思ってました。

[うめ]
「気まずい」に鈍感になれるのかな。わかんない。
わたしはやっぱり、「気まずい」は怖いですよ。

[糸井]
うめ先生の場合、気まずいと言う割には、相手がサービスしてくれてますよね。

[うめ]
あ、そういうふうに相手がサービスしてくれたときは、サービスしたぶんは、シャッター押すんですけど。

[糸井]
お礼の意味も込めて。

[うめ]
はい。なんか、逆に、シャッター押さないと気まずいときもあるし。

[アニ]
ははははははは。

[糸井]
アニさんの場合には、
「気まずい」をどうしてますか?
あきらめたりするんですか。
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