[糸井]
だけどやっぱり、チズさんの絵の中の登場人物は女性ですね。
しかも気風のいい女たちばかりです。
男はどこにいればいいでしょう?

[佐伯]
はははは、ホントですねぇ。
‥‥さきほど、お嫁さんが欲しいと言いましたが、ほんとうに欲しいのは、
「じいや」かもしれません(笑)。

[糸井]
じいやになれば男もそこにいられるのか!

[一同]
(笑)

[佐伯]
じいややばあやの智慧がつまったお話をゆっくりと聞いて、竹籠を編んでくれるのを見て‥‥そういう日々が欲しいですね。
わたしは、男の人のほうがほんとうは優しいんだと思うんですよ。
じいやは、欲しいなぁ。



[糸井]
年を取った男の人たちは、みんな、オレはほんとに女には好かれてなかったんだな、という感想を持ってる気がやっぱりするんです。

[佐伯]
そうですかね?

[糸井]
チズさんの旦那さんのような
「好かれた」という実感は、ないままに終わるような気が、ぼくはします。
ときどき、アメリカの大金持ちのじいさんが死ぬ手前にすごく若い人をお嫁さんにしたりするでしょう。
「財産めあてだ」とか「どうしちゃったの」とか言われたりしますけど、そのおじいさんは、その若い女が欲しかったんですから、しょうがないですよね。

[佐伯]
そうですね。

[糸井]
そういうおじいさんたちはきまって
「この女はオレのことを思ってくれてるんだ」
と言います。
女の人のほうだって、その短い時間、思ってるのはおそらくホントなんですよ。

[佐伯]
よく「浮気」っていうけど、浮気じゃないですよ。
みんな本気なんですよね。

[糸井]
そうです、本気なんですよ。
本気に見えるものも、浮気と言っているものも、たいしてちがいはないということを男は年を取って、やっと、わかります(笑)。
だからああいう人を最後に嫁にしちゃうのかも。

[佐伯]
年取らないと、わからないのかしら(笑)。

[糸井]
猫に財産残す人とかもいるけど、それも全部おなじだと思うんです。
いいだの悪いだの言ってるけど、どれも似たようなもので。

[佐伯]
はははは。うん、うん。

[糸井]
ウソでもホントでも、とにかく手をつなぎたがってくれてる人がいるだけでいいじゃない、と思えるんです。
それは、やっとこの頃、よくわかるようになりました。
そのじいややばあややニワトリとか犬がいる山荘、実現できるの、たのしみですね。

[佐伯]
わたしは、夢は叶えるもんだと思っています。
「夢はクスリ、あきらめは毒」



[糸井]
夢はクスリ、あきらめは毒!

[佐伯]
毒です。
だから、女性のみなさん、あきらめちゃダメです。
婚活なんかしなくていいのよ、あきらめさえしなければいいんですもの。

[糸井]
じゃあ、夢はクスリ、を合い言葉に具体的な夢を(笑)。

[佐伯]
そうです、毎日ローションパックしましょうね。

[一同]
(笑)

[糸井]
ところで、山のなかの囲炉裏端には、どんな友だちが来るんですか?

[佐伯]
それは友だちというより、古き仲間みたいなもんですよ。
友だちと思うと腹立つことだってありますよ、ねぇ?

[一同]
(笑)

[佐伯]
友だちにしてしまうと、
「ギブアンドテイク」が成立してしまうんです。
「この前あれをしたのに」
「あの人何も返してくれない」
なんて思っちゃう。
ただ、友だちだと思わなければ腹も立たないのではないでしょうか。
「同窓生」「いっしょに○○した人」とか、そういうことにしておけばいいと思うんです。
友だちだの恋人だのということは、自分の判断で決まっていることで、相手はどう思ってるかわからないことですから。

[糸井]
ああ、よくわかります。

[佐伯]
だから、
「この前あれをしてあげたのに何もしてくれない」
「裏切られた」と思うのは、自分が思ってただけでしょ、ということなんですよね。
みなさん、特に女性の方はそのあたりを気にする人が多いけど、そんなの、左右されなくていいんです。
だって、女性ってすばらしいんですよ。
人と比較しなくていい。
自分の判断で物事を考えて行動して仕事してほしい。
仕事についてのガッツは、男性より女性のほうがありますから、すばらしい仕事ができると思うんです。
これをやってみたい、ということがあれば、小さなことでもいい、がむしゃらになってやったら、すばらしい力が発揮できると思います。
文句言ってる人はダメだけど、そうじゃなきゃ、できる。



(つづきます)


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