[糸井]
いまみたいなお芝居めいたものもさ、やれって言われるとできないよね。
素人だから。

[清水]
ああ、そうですね。
わかるわかる。

[糸井]
え! 清水さんもわかるんですか?

[清水]
わたしなんか──、光浦(靖子)さんもそうですけど。



[糸井]
あ、光浦さんもそういうタイプだね、ちょっとね。

[清水]
うん。
おもしろいことしたり、今日みっちゃん学校ですごくおもしろかった、っていうと、すごい両親が怒るの。
ひょうきんな女っていうのがものすごい恥ずかしい、っていうのがあって。
とぼけたような顔して写真写ったりとかすると、鉄拳が飛んでくるのね。
だから、すごく、親の前ではまっとうな感じ。

[糸井]
うん(笑)。

[清水]
それで、クラスでちょこちょこおもしろいことをする(笑)。

[糸井]
ちょこちょこ。

[清水]
いまの子は、親が、お笑いの芽を伸ばそうとするじゃないですか。

[糸井]
うんうん。
ぼくは別に親に怒られたわけじゃないんだけど、できないんですよ。
人からなんか「やれ」ってさせられることは、できないんですよ、なにも。
自分からだったらなんでもするんだけど。



[清水]
ふーん。

[糸井]
おけいこごともできないし。

[清水]
それ、けっこう致命的ですね。

[糸井]
でもここまでは生きてこられるよ。

[清水]
え、自分から、だったら、おけいこごとはできるでしょ。

[糸井]
できない。

[清水]
へぇー。
一切じゃあ、指示ダメなんだ。

[糸井]
フリー。

[清水]
はは‥‥、よく言えばね。

[糸井]
(大声で)アイムフリー!



[清水]
古いよ。

[糸井]
ブルース・スプリングスティーンみたいな感じで言ってみました。

[清水]
自発的な学習ならできるんですか。

[糸井]
時間のかかるものはダメです。
こつこつやるものはダメ。

[清水]
うーん。

[糸井]
だから不良の人たちとかで、バンドやってる子たちが、一応、こうギターの練習したんだ、みたいなところあるじゃないですか。
いつしたの? って思うけど、してるんですよ。

[清水]
うんうんうん。

[糸井]
それは、やつらは努力家ですよね。
ハモれるとかさ。
急にハモれないですよね。
オレはなにもやってねぇよ、って言いながら、
(コーラス風に)ハアァー、ハアァー、とか言ってるわけよ?

[清水]
あはははは。

[糸井]
そういうのは、うん、できない!
ぼくは段取りはまったくできません。

[清水]
うん、でもまあ、バラエティーのああいう(芸人同士のトークの)
隙間に入っていくのはたいへんですよね、どう考えたって。

[糸井]
たいへんですよねぇ‥‥。
あれ、やっぱり、入りたいっていう欲望がないとダメですよね。

[清水]
うんうん、まずは。



[糸井]
清水さんはできないタイプの人として、ぼくは見てて、ちょっとほっとするんですよ。
できないでも、なんとかは、なるじゃないですか。
入っていけなくても。

[清水]
そうですね。うん。
ほんとだ。

[糸井]
それはいいなぁと。
タモリさんなんかも、入らないよね。
ひとんちの場所にいたときにね。
ぜんぜん静かにしてるよね。

[清水]
それで、なんか、自分の風をふっと起こすとこ、ありますね。
タモリさんのインタビュー読んでたら、昔、合気道をやってたんですって。
それ関係してるのかな。
人の気で、自分は疲れずに他人を動かすみたいな道なんでしょ。
合気道って。
だから、わたし最近合気道やりたくてしょうがなくって。
‥‥あら?

[飯島]
(湯気のたったお皿をもって)
鶏のひき肉の、つくねですー。



[清水]
うわっ。

[糸井]
鶏!

[清水]
おいしそう!

[糸井]
つくね!

[飯島]
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