第28回更新


お祭りでやっている「型抜き」は何か大切な、例えばラジオの部品のようなものをみんなで協力し合って切り抜いているのだと思っていました。私には荷が重すぎる、と、経験のないまま大人になり何の役にも立たない物を切り抜いていたと知ったときとてもショックを受けました。みんな、あんなに血眼になっているというのに。24歳の夏でした。
(でもいつかやってみたい)


ひー、お腹痛い。たしかに、たしかに。なんの役にも立たないものを、血眼になって切り抜くのが「型抜き」というものだわ。


私が小学1年生だったころ、私の名字と同じ名前のお相撲さんが活躍していました。男の子たちに「○○関って、お前の父ちゃん?」と聞かれ、自分のお父さんは先生をやっている、と知っているにも関わらず、「もしかしたら、そうかもしれない‥‥」と答え、考え込んでいました。だってあのお相撲さん、細かったし。平日は先生をやって、休日はお相撲さんなのかもしれない。と。
(お父さんは秘密にしているのかもしれないと思って聞けなかった)


ふだんは教師だが、休日は相撲取りになり、しかもそれを家族に秘密にしている。なかなか味わい深い設定ですね。ちょっとタイガーマスク的でもあります。


小学生のころ、日本の歴史って、アウストラロピテクスから始まり、平安時代はピテカントロプス、その後ネアンデルタール人となり、江戸時代にはクロマニヨン人、明治以降の近代になってようやくホモ・サピエンスになったとかんつがいしてました。かんつがいに気づいた今でも、平安時代の十二単を毛むくじゃらの原人が着ている姿が頭に浮かんできて困っています。
(お江はクロマニヨン人)


歴史に詳しいのか、詳しくないのか。


私、てんとう虫は、カブト虫くらいの大きさだと思ってました。この二つの虫は、同じ仲間で、だから大きさも同じってね。けっこう大人になるまで思ってましたよ。手のひらにドン、と乗っているてんとう虫。かわいいでしょ。
(シナダ)


カブトムシくらいの大きさのテントウムシっていうのは、想像してみるとかなり怖い。逆に、テントウムシくらいの大きさのカブトムシというのは、怖くなくて、むしろかわいい。


中学生までイカの足は11本だと思っていました。10本と知ってからの、このしっくりとこない感はだれにも理解してもらえていません。もちろんタコは8本です。
(みさこ)


その「もちろん」に込められた、「なめるな!」という無意味な気骨がいいですね。


高校時代、オーケストラ部の金管パートに所属していた友人の話ですが、彼は練習中、バイオリン軍団から時折聞こえてくる「カターテ」という言葉に興味を持っていました。バイオリンのある部分あるいは部品のことを指すらしいのですが、弦楽器を触ったことのなかった彼にとってはとてもハイソな響きに聞こえたそうです。弦パートのメンバーとも仲良くなり、ある日ついに聞いてみたそうです。「『カターテ』ってどこのことを言うの?」軍団は一様に不思議そうな顔をしながら、バイオリンを指差しながら「ここだよ」と教えてくれました。そこはバイオリンを肩に乗せる部分。イタリア語か何かだと思っていたのが実は「肩当て」という日本語だったこと、その日本語をうっとりしながら聞いていたことに、その日、彼は相当落ち込んだそうです。
(サエキ)


ははははは。カターテ。


こどものころ、夕焼けは、どうしていつも同じ方向にしか見えないんだろうと思っていました。山側に見えたり、海側に見えたり、空全体で見えないのはなんで? と思っていました。今となっては、太陽は西に沈むから、同じ方向なのは当たり前ってわかってますけど、こどものころは、晴れてれば空はどこでも青空だし、雨は見える限り全部に降ってるし、夜になって見える月は、いつも私についてくるし、空は一面同じだと思ってました。
(がっきー)


たまにはこういうきれいな「かんつがい」で終わってみましょうか。それでは、また次回。


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