定番の「Campus」ノートの開発を担当されている村上智子さんのお話は、今日で最終回です。
誕生から34年間、売れ続けてる理由がなんなのか、開発者としてのご意見を、訊いてみました。
研究や分析を惜しまない会社の出した答えとは‥‥?

[ほぼ日]
この「Campus」シリーズって、世のなかのノートのなかでも「定番」として定着していると思うのですが‥‥。

[村上]
ええ、そう認知していただけるのは、とてもうれしいことです。

[ほぼ日]
昨年、「ほぼ日」でやった「社会人アンケート」の
「製品・サービスに好感が持てる企業」ランキングでコクヨさんは第3位だったんですけど、その原動力のひとつは「Campus」だと思うんです。

[村上]
そうかもしれませんね。

[ほぼ日]
もう30年以上、こうして売れ続けてる理由が何なのかについて、開発側のみなさんはどのように、分析されてるんでしょうか?

[村上]
うーん、じつは‥‥よくわからないんです。

[ほぼ日]
え、わからない‥‥んですか?

[村上]
もちろん、理由を挙げようとすれば、いくつかは挙げられるんですけどね。

[ほぼ日]
たとえば‥‥。

[村上]
まず、日本全国どこでも売っているということ。



[ほぼ日]
なるほど。買えないということが、ない。

[村上]
お近くの本屋さん、文房具屋さん、コンビニなどにいけば、かならず、置いてあると思います。

[ほぼ日]
ノートって、同じものでそろえたい気がするし、
「探すのに苦労しない」っていうのは、
「また次も買う」ことの動機になりそうですね。

[村上]
でも、どこにでも売ってるノートって、きっと他にもあると思うんですよ。

[ほぼ日]
ああー‥‥それは、そうか。そうですよね。
「Campus」ほどブランドとして有名じゃなかったとしても。

[村上]
だから、その‥‥これを言ってしまったら当たり前すぎておもしろみのない答えかもしれませんが、
「Campus」の場合は専用紙をオリジナルで作っているんですね。
つまり、品質がいいとは、確実に言えます。

[ほぼ日]
なるほど。

[村上]
使っていた紙が手に入れづらくなったり、ちょっと仕様が変わったり、生産中止になっちゃったりしませんので、一定レベルの品質のノートを安定して、出すことができているんです。
ささいなことかもしれませんが、そうした点は、ひとつの強みかもしれません。

[ほぼ日]
どこでも売ってて、品質が変わらない。

[村上]
ええ。

[ほぼ日]
オリジナルの紙を作ってるということは、つまり、「書きごこち」を追求されてるわけですよね、主に。

[村上]
はい、ザラザラした紙のほうが好みだとか、つるつるしているのが書きやすいだとか、個人差はあるんですけども、たとえばザラザラならザラザラで、心地いいザラザラはどのへんかなどをサンプルをとって、地道に算出してるんです。

[ほぼ日]
はー‥‥。ザラザラの算出。

[村上]
或いは、各メーカーさんのペンで試してみて、書きごこちを調整したり、
「裏うつり」しないかどうかを検証したり、紙の開発については、もう、ありとあらゆる取り組みをしています。



[ほぼ日]
はー‥‥「書きごこち」って、実際は微妙な差なのかもしれないですけど、そこが「次も選ぶかどうか」の大きな分かれ目になってる‥‥んでしょうね。
そこまで、徹底的に研究しているんなら。

[村上]
いま出ている「Campus」に
「MIO PAPER(ミオペーパー)」という高級なシリーズがあるんですが、これを開発しているとき、スタッフが、
「いつまでも書いてたいー!」って(笑)。

[ほぼ日]
サラサラで?

[村上]
「受験生時代にこのノートがあったら もっと勉強したのにー!」と。

[ほぼ日]
やっぱりノートしだいで「変わる」ことって、いろいろと、あるんでしょうね。

[村上]
たぶん「勉強」は、その中のひとつだと思います。

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