[糸井]
伸坊がさ、そうやって、テレビに向かって、ああだこうだ言ってるとき、奥さんはどうしてるの?
いっしょになって突っ込んでるの?

[南]
うーんとね。
静観してるね。

[糸井]
あ、うちもそうだな。

[南]
で、オレがあんまりいつまでも
「なんだこれは」とか言ってるとうるさいよって言われちゃう(笑)。

[糸井]
それ、うちもまったく同じです。
厳しいですよね。

[南]
厳しいんだよ。

[糸井]
あの、オレとかみさんの関係をわかりやすく表すかみさんのひと言があって。
それは「なに考えてんだか、この人は」なんだよ。

[南]
奥さんが糸井さんに言うわけだ。

[糸井]
そうそう。
「なに考えてんだか、この人は」
それを何度も言われてるし、言われてない場合も、顔に書いてある。

[南]
うちもそんな感じかなー。

[糸井]
ああ、キミんところも。

[南]
あのね。

[糸井]
うん。
[南]
くだんないこと言ってウケたりすると、ものすごくうれしいんだよね。



[糸井]
そうなんだよねー(笑)。

[南]
基本的に、ほとんどウケないからさ。
たまにウケるとすごくうれしい。

[糸井]
うちもね、6回に1回くらい、ウケるんですよ。
で、それがうれしくてさ、ウケるんだと思ってたたみかけると‥‥。

[南]
ダメだね。

[糸井]
ダメなんだよ。ウケないどころか、
「それはおもしろくない」って言われる。

[南]
そう。はっきり言う。
「今のはぜんぜん」って。

[糸井]
で、ま、ちょっと優しいところがあってさ、
「それはおもしろくない」って言ったあとに、
「‥‥さっきのはよかった」
って言ってくれたりする。

[南]
あはは、あんまりいっちゃねカワイソウになる。

[糸井]
そのひと言を聞くとね、あ、この人はちょっと優しいなって思う。

[南]
しかし、なんでそんなにまでしなきゃいけないんだ?オレたち。

[糸井]
わかんないけど。なんだろうね。

[南]
やっぱり、うれしいからか。
その、6回に1回がうれしいから。

[糸井]
でも、そういう家、多いんじゃないかなぁ。

[南]
そうかもね。6回に1回ね。

[糸井]
不満があるわけじゃないし、言ってみれば自分のせいなんだけどさ、もうちょっと、ウケてくれたら、オレはすごく機嫌がよくなるんだけどな。
あの、会社の方がウケるんですよ。

[南]
それは、社員のみんなが優しいからだろう。

[糸井]
あと、単純に人数が多いせいというのもある。

[南]
あ、なるほど。
たくさん人がいると、中には笑うやつもいる。

[糸井]
そう。笑うやつもいる。
それがちょっと助かるんですよね。
ただ、甘やかすなって気持ちもありますよね、オレを。

[南]
あはは、どっちだ。



(そして、つづきます)


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