[糸井]
雨だなぁ。

[南]
雨だねぇ。



[糸井]
わざわざ、こんな日にねぇ。

[南]
でも、ちょっと小降りになってきたかな。

[糸井]
小降りがお好きですか?

[南]
ええ。あんまり、大降りは。

[糸井]
はははは。

[一同]
(笑)

[南]
あ、なんか、そこ、おもしろいもの売ってる店だね。



[糸井]
なんだろうね、マキビシ?

[南]
そうだね。手裏剣と。

[糸井]
「‥‥おじい、熊がいる。手裏剣投げていいか?」

[南]
え?

[糸井]
「‥‥おじい、熊がいる。手裏剣投げていいか?」

[南]
それ、なに?

[糸井]
思い出。

[南]
思い出?

[糸井]
うん。
高校1年生のときに、自動車修理工場にバイトに行ってたんだけど、そこの先輩の工員さんでちょっとおもしろい人が、しょっちゅう、それを言っててさ。

[南]
いきなり言うの?

[糸井]
いきなり言うんだ。

[南]
いきなり言われると、おかしいね。

[糸井]
うん。
それがもう、バイトのあとで思い出し笑いするくらいおかしくて、すっかり染みこんじゃっててさ。
たぶん、なんかのマネなんだけど。

[南]
なんのマネかはわかんないんだ?

[糸井]
そう。
わかんないからおかしいのかもしれない。

[南]
そうだね。

[糸井]
「‥‥おじい、熊がいる。手裏剣投げていいか?」

[南]
「‥‥おじい、熊がいる。手裏剣投げていいか?」

[糸井]
っていうか、そんなこと、ふつうは言わねぇだろ(笑)。

[一同]
(笑)

[南]
言わないよね。
まず、熊がいない。

[糸井]
そうだね(笑)。

[一同]
(笑)



[南]
熊がいるんだね。そこにね。
しかも「出た」んじゃなくて、もう、「いる」んだね。

[糸井]
どっかから、見てるわけだ。

[南]
で、手裏剣はいつも持ってる。

[糸井]
そういうことだね。
忍者なんだろうか。

[南]
忍者なんだろうね。

[糸井]
「‥‥おじい、熊がいる。手裏剣投げていいか?」

[南]
「‥‥おじい、熊がいる。手裏剣投げていいか?」

[糸井]
なんなんだろうなぁ、これ。

[南]
あ、ほんとに小降りになってきたね。

[糸井]
小降りがお好きですか?

[南]
ええ。あんまり、大降りは。

[一同]
(笑)



(つづくに決まってます)


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