[南]
一時期、なんだかいろんな人が鎌倉に住んでた時期があったよね。
[糸井]
うん。樋口可南子さんも住んでたらしい。
[南]
あ、そうなんだ。
[糸井]
怖くて、すぐ東京に戻っちゃったんだって。
[南]
怖くて? なんで?
[糸井]
あのね、波の音が怖かったらしい。
夜になると、なんの気配もなくなって、海だけが「ザザーン」っていってるんだって。
もう、京極夏彦の『狂骨の夢』みたいな世界で、毎日が怖くて、しょうがないから、ビデオ屋でビデオ借りてビデオ観て、
「ザザーン」の音を誤摩化したりして。
[南]
へえ。
[糸井]
鎌倉って、雰囲気がいいとか、ムードがあるとかっていうけど、つまり、それは「鎌倉という安定感」でしょ?
[南]
そうだね。
[糸井]
安定ってさ、ある意味では、
「死のにおい」なんだよ。
[南]
ああ、うん、うん。
[糸井]
安定してて、ざわざわしてないでしょ。
だから恐いんだって、鎌倉は。
あの、江ノ電なんかもさ、観光客として見るといいものだけど、実際にそれに乗っているとようするに、「小さい電車」だから。
[南]
寂しいのか、ちょっと。
[糸井]
うん。寂しい、寂しい。
だからね、たまにっていうのがいいのかもしれないね。
[南]
鎌倉はたまに来ると。
[糸井]
そう。伸坊と同じ、生涯に10回くらいがいいね。
[一同]
(笑)
[南]
あ、そういえばね、思い出したんだ。
もうちょっと来てるよ、鎌倉。
[糸井]
なに?
[南]
あの、養老さん家が鎌倉なんだ。
[糸井]
あー。
[南]
養老(孟司)さん家に何回か来てるからさ。
[糸井]
じゃ、3回は増えたね。
[南]
うん。
[糸井]
ということは13回だ。
[南]
うん、まぁ、そんなもんかな。
[一同]
(笑)
(いつまで、つづくのかな?)
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